78 / 99
第78話 マオだから
しおりを挟む
いくらマオ規格外の強さであったとしても相手がマオと同じ魔王であるとするにならば念には念をと用心するに越した事はない。
「では、ローレンさん。ありがとうございますわ」
本当はローレンさんは心の中では自分一人で行きたかったのでは無いか?
老い先短い自分が若者を危ない目に合わせて生きながらえるというのは、宮廷魔術師という立場からも正義感が強い筈である。
恐らくわたくしが思っている以上に苦しい思いをしている筈だ。
そんな事を思いながらわたくしは賢者の石のレプリカを手首に巻いていく。
「必ず、生きて帰って来るのじゃぞ」
「ええ、必ず帰って来ますわ」
そしてわたくしはローレンさんにそう力強く答えるのだが、何故かマオは返事をしなかった事がまるで喉に魚の小骨が刺さった様な、そんな違和感を感じてしまうのであった
◆
マオの背中に乗り一気に王都付近まで来たわたくし達は、王都城壁のそばで降り立つと正門をマオの魔術で吹き飛ばした後正々堂々と正面から王都の中へと入って行く。
「まだマオでは無い新しい魔王が現れてから一ヶ月も経っていないにも関わらず、まるで王国では無い違う国に来た様な程に変わってしまっていますわね」
そう言いなが見渡す風景はわたくしが知っている賑やかな王都では無く、生活音が全く聞こえて来ない上に当たり前なのだが人の姿も全く見られない。
まるで王都に住んでいる人々全てが神隠しにあったような、そんな気持ち悪さを感じてしまう。
「まぁ、みんな死にたく無いだろうしな」
そしてマオはわたくしへ言葉を返しながら襲いかかって来る魔獣達を次々と、手に持つ魔剣の一振りで一刀両断していく。
この、まるで羽虫の如く斬り伏せていく魔獣達は、それこそ一ヶ月前のわたくしであればであった瞬間死んでしまうと絶望していたであろう強さなのだが、それ程の危険度である様々な魔獣達をわたくしはマオよりかは遅いものの、聖剣でもって斬っていく。
何故魔族であり魔王でもあるマオが聖剣を持っていたのか、もしわたくしが勇者であったのならば全力で神を呪ってしまうレベルなのだが、そんな事は『マオだから聖剣くらい持っているだろう』と最早疑問にすら思わなくなって来たわたくしが怖い。
そうこうしながら王城へと向かい歩いてるのだが、王城へ近付けば近づく程周辺の空気は淀み始め、雲も厚くなり太陽の光を遮り始める。
「酷い………」
そして変化し始めたのはそれだけでは無く、串刺しにされた死体が野晒しにされており、それを肉食の野鳥が啄んでいる光景がチラホラと見え始めた。
「では、ローレンさん。ありがとうございますわ」
本当はローレンさんは心の中では自分一人で行きたかったのでは無いか?
老い先短い自分が若者を危ない目に合わせて生きながらえるというのは、宮廷魔術師という立場からも正義感が強い筈である。
恐らくわたくしが思っている以上に苦しい思いをしている筈だ。
そんな事を思いながらわたくしは賢者の石のレプリカを手首に巻いていく。
「必ず、生きて帰って来るのじゃぞ」
「ええ、必ず帰って来ますわ」
そしてわたくしはローレンさんにそう力強く答えるのだが、何故かマオは返事をしなかった事がまるで喉に魚の小骨が刺さった様な、そんな違和感を感じてしまうのであった
◆
マオの背中に乗り一気に王都付近まで来たわたくし達は、王都城壁のそばで降り立つと正門をマオの魔術で吹き飛ばした後正々堂々と正面から王都の中へと入って行く。
「まだマオでは無い新しい魔王が現れてから一ヶ月も経っていないにも関わらず、まるで王国では無い違う国に来た様な程に変わってしまっていますわね」
そう言いなが見渡す風景はわたくしが知っている賑やかな王都では無く、生活音が全く聞こえて来ない上に当たり前なのだが人の姿も全く見られない。
まるで王都に住んでいる人々全てが神隠しにあったような、そんな気持ち悪さを感じてしまう。
「まぁ、みんな死にたく無いだろうしな」
そしてマオはわたくしへ言葉を返しながら襲いかかって来る魔獣達を次々と、手に持つ魔剣の一振りで一刀両断していく。
この、まるで羽虫の如く斬り伏せていく魔獣達は、それこそ一ヶ月前のわたくしであればであった瞬間死んでしまうと絶望していたであろう強さなのだが、それ程の危険度である様々な魔獣達をわたくしはマオよりかは遅いものの、聖剣でもって斬っていく。
何故魔族であり魔王でもあるマオが聖剣を持っていたのか、もしわたくしが勇者であったのならば全力で神を呪ってしまうレベルなのだが、そんな事は『マオだから聖剣くらい持っているだろう』と最早疑問にすら思わなくなって来たわたくしが怖い。
そうこうしながら王城へと向かい歩いてるのだが、王城へ近付けば近づく程周辺の空気は淀み始め、雲も厚くなり太陽の光を遮り始める。
「酷い………」
そして変化し始めたのはそれだけでは無く、串刺しにされた死体が野晒しにされており、それを肉食の野鳥が啄んでいる光景がチラホラと見え始めた。
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~
巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!?
////////////////////////////////////////////////////
悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。
しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。
琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇!
※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……?
※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。
※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。
隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる