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生まれ変わって…………
記憶喪失
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ここが何処なのか分からない。
気が付いた時には、私はとある病室で目が覚めた。
目が覚めた時、私の近くにあった花瓶の水を取り替えていた看護婦が慌てて、誰かを呼びに行った。
恐らく、医師の誰かを呼びに行ったのだろうと朧げながら、外の景色を眺めた。
そして、そのすぐ後に、医師らしき男の人が来て、私に色々な事を聞いてきた。
私は答えられる事は全て答えた。
それを聞き終えた医師は、何やら深刻そうな顔をして、私を色々な検査に掛けた。
そうして、分かった事は、私が『記憶喪失』というもので、殆どの記憶を失ってしまっているという事。
その証拠に、私は自分が何ものであるのかすら思い出せない。
幸いにも、日常生活は送れるらしいが、私は私が何者であるのか、知りたかった。
そんな時、彼女----------------美冬と名乗る人が私の元に訪れた。
医師である先生の話では、彼女が私を保護してくれたらしい。
「こんにちは…………」
「こ、こんにちは……?」
ぎこちない挨拶を返した私は、ふと、彼女にお礼を言おうとして…………。
「ちょっと、あなたに聞きたい事があります」
「…………え……?」
私のいるベッドの横の椅子に腰掛けた彼女は懐から一枚の写真を私に見せて来る。
その写真には、彼女と双子らしき少年の姿が写っている。
「これは……?」
「これは、わたくしとわたくしの幼なじみのものです。
あなたに聞きたいのは、この写真の中央にいる少年の事です。
あなたはこの少年の事を何か知っていますか……?」
「…………いえ、見覚えはありませんが…………。
この少年が何か……?」
私はその写真の少年を見て、答えるか否か少し迷ったが、私は正直に答える事にした。
すると、彼女は悲痛な面持ちで、私にとって、衝撃的な事を口にした。
「あなたが保護された時、彼の服を身に付けていたの……?
もしかしたら、何か知っているかもしれないと思って…………」
「…………そう、なのですか……?
申し訳ありません…………」
私は彼女に対して、頭を下げた。
「いえ、記憶喪失である、あなたに責はありません。
どちらかと言えば、これは私達の責任です。
私がもっと彼の事を気にかけていれば、こんな事には…………」
最後の言葉は聞こえなかったが、彼女は気を取り直したように私に向き直った。
「そういえば、あなた…………これから、どうするの?」
その質問に私は答えられなかった。
素性も分からない。
記憶もない私がこれから先、どうやって生きていけば良いのか。
何も分からないからだ。
記憶を取り戻すとしても、手がかりになるのは手の甲に刻まれた、この紋章のみ。
「…………もし良ければなんだけど…………」
言い淀む私に、彼女は思いがけない提案をして来た。
思わず、驚きのあまり目を見開いた私は、他に選択しがある筈もなく…………。
ただ、彼女の提案を受け入れる事にした。
これが、私の苦難と戦いの歴史の始まりだった。
気が付いた時には、私はとある病室で目が覚めた。
目が覚めた時、私の近くにあった花瓶の水を取り替えていた看護婦が慌てて、誰かを呼びに行った。
恐らく、医師の誰かを呼びに行ったのだろうと朧げながら、外の景色を眺めた。
そして、そのすぐ後に、医師らしき男の人が来て、私に色々な事を聞いてきた。
私は答えられる事は全て答えた。
それを聞き終えた医師は、何やら深刻そうな顔をして、私を色々な検査に掛けた。
そうして、分かった事は、私が『記憶喪失』というもので、殆どの記憶を失ってしまっているという事。
その証拠に、私は自分が何ものであるのかすら思い出せない。
幸いにも、日常生活は送れるらしいが、私は私が何者であるのか、知りたかった。
そんな時、彼女----------------美冬と名乗る人が私の元に訪れた。
医師である先生の話では、彼女が私を保護してくれたらしい。
「こんにちは…………」
「こ、こんにちは……?」
ぎこちない挨拶を返した私は、ふと、彼女にお礼を言おうとして…………。
「ちょっと、あなたに聞きたい事があります」
「…………え……?」
私のいるベッドの横の椅子に腰掛けた彼女は懐から一枚の写真を私に見せて来る。
その写真には、彼女と双子らしき少年の姿が写っている。
「これは……?」
「これは、わたくしとわたくしの幼なじみのものです。
あなたに聞きたいのは、この写真の中央にいる少年の事です。
あなたはこの少年の事を何か知っていますか……?」
「…………いえ、見覚えはありませんが…………。
この少年が何か……?」
私はその写真の少年を見て、答えるか否か少し迷ったが、私は正直に答える事にした。
すると、彼女は悲痛な面持ちで、私にとって、衝撃的な事を口にした。
「あなたが保護された時、彼の服を身に付けていたの……?
もしかしたら、何か知っているかもしれないと思って…………」
「…………そう、なのですか……?
申し訳ありません…………」
私は彼女に対して、頭を下げた。
「いえ、記憶喪失である、あなたに責はありません。
どちらかと言えば、これは私達の責任です。
私がもっと彼の事を気にかけていれば、こんな事には…………」
最後の言葉は聞こえなかったが、彼女は気を取り直したように私に向き直った。
「そういえば、あなた…………これから、どうするの?」
その質問に私は答えられなかった。
素性も分からない。
記憶もない私がこれから先、どうやって生きていけば良いのか。
何も分からないからだ。
記憶を取り戻すとしても、手がかりになるのは手の甲に刻まれた、この紋章のみ。
「…………もし良ければなんだけど…………」
言い淀む私に、彼女は思いがけない提案をして来た。
思わず、驚きのあまり目を見開いた私は、他に選択しがある筈もなく…………。
ただ、彼女の提案を受け入れる事にした。
これが、私の苦難と戦いの歴史の始まりだった。
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