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記憶を失って…………

私のこれから

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「美味しいですか……?」


「は、はい…………」


 学園長室のソファーに腰掛けながら、学園長と向き合う私。


 終始、学園長に怯えてビクビクする私を見て苦笑する未来さん。


 それが面白いのか、艶かしく、獲物を狙うような眼で微笑む学園長。


 恐い!!


 今すぐ、ここから逃げ出したいっ!!


「ふふっ…………♪

 本当に可愛らしいですね」


「学園長。


 彼女も怯えているようですし…………。


 そろそろ本題に移りましょう」

 
 怯え切った私に、未来さんがそれとなく助け船を出してくれた。


 ありがとうございます!!

 未来さん!!


「そうですね…………。

 少しつまらないですが、そう致しましょうか」


 本当につまらなそうにため息を吐いた学園長。


 だが、すぐに顔を正して、真剣な顔付きになると、ジッと私の方を見つめて来る。


「それでは、改めて…………。

 ようこそ、防人学園へ。

 私達はあなたを歓迎致します」


 それからというもの…………。


 私は学園長から、これから私がやるべき事を事細かに順を追って説明してくれた。


 どうやら、私は防人としての素質はあるものの、防人としてが欠けているそうだ。


 それが見つかるまで、私はサポート科と呼ばれる、防人を補助する人達のクラスへと編入される事になるらしい。


 私がこれから、住む場所の手配も既に終わっているみたいで、その部屋の鍵を学園長から手渡された。


 家賃は何故か、払う必要はないそうだ。


 そして、ここが一番大事な所なのだが…………。


 私にも、何かアルバイトをさせても貰えるらしい。


 流石に、防人に関しての仕事には携われないが…………。


 その分、この学園の図書館で、カウンター業務や蔵書点検などの雑用をやらせて貰えるそうだ。


 バイト代も割と良いみたいだし、小遣い稼ぎには、丁度良い感じだ。


 家賃もなく、学園にも通えて、適度なアルバイトも出来る。


 何か、これだけ待遇が良いと、逆に不安になるが…………。


 それでも、美冬さんや学園長先生のご好意だ。


 ここは素直に受け取っておこう。


「では、後程…………。

 また、お会い致しましょう」


「はい。

 ありがとうございました」


 私は学園長先生に頭を下げて、学園長室を後にする。


 そんな私をずっと監視していた人物がいたとも知らず…………。
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