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第二章 新たな策略
ミリヤのいる日常
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「おはよう! お姉ちゃん!」
屋敷のとある一室-------------
私はカーテンから指す光に照らされ、目が覚めた。
そして、例の如く、目を開けるとミリヤ・ファームの姿が視界に入って来る。
あれから、何日経ったのだろうか。
ミリヤ・ファームと共に、屋敷の連中と暮らす日々。
何か仕事する…………という訳でもなく、ただ、寝て、食べて、お風呂に入って、と怠惰に過ごす日常。
聖女やあのクソ騎士団長共は一体、何がしたいんだ?
とりあえず、いつものようにミリヤと朝食を取り、木剣で素振りをするミリヤの朝練を身の回りの世話をするメイド(という名の腕利きの監視者)と共に眺めている。
「えいっ!! やあっ!!」
ふ~ん…………意外に筋が良いわね。
最初に会った時、私に眠り薬を塗られた針を刺した動きからして、相当な実力はあると思っていたが、あのクソクナトの娘だけあって、剣の腕もかなりのものだと分かる。
恐らく、あの時の私よりも-------------
「……………………」
ほんと、才能のある奴は良いわよね。
無能な奴にとって、それは憎たらしい上に、妬ましいんだから…………。
「…………お姉ちゃん…………?」
私の不穏な様子に気付いたのか、ミリヤが素振りをする手を止めて、屋敷のテラスにいる私の所へ駆け寄って来た。
「…………何でもない…………」
私は素っ気なく答えて、既に冷め切ってしまっている紅茶を口に含んだ。
「……………………」
そんな私の態度に、ミリヤはジーっの私を非難するような目付きで睨んで来ている。
こういう時、ミリヤが私を睨んで来る理由はただ一つ-------------私が何か、悩んでいるのを見抜いている時だ。
しばらく、一緒に暮らしていて、分かった事なのだが、ミリヤはどうもあのクソ聖女アカネの後継者候補の一人-------------【次期聖女候補】と呼ばれる見習い聖女。
だからなのか、人一倍、聖女の持つ特有の能力を発現していて、人の持つ《負の感情》を見る事が出来る。
ミリヤの話では、そういった負の感情を持つ人を見ると黒い靄のようなものが身体から吹き出しているそうなのだ。
特に私からはそういった靄が、普通の人の何倍もの濃さで、火山の噴火の如く吹き出しているそうで、私が何処にいるのか一眼見て分かるそうだ。
恐らく、このミリヤの能力を使って、私が何処にいるのか、その一部分を探知していたのだろう。
つまり、ミリヤの《負の感情を察知する能力》がある限り、私が逃げても、すぐバレるという事だ。
だから、ミリヤを私と共に済ませているのだろう事が手に取る様に分かる。
だが、それ以外にも狙いがあるような気がして…………。
「お姉ちゃん…………?」
いつの間にか、考えに耽っていたようだ。
物凄く柔かに笑っているのに、目が笑っていないミリヤの顔が目の前にあった。
あぁ、これは、いつものようにお説教が待っているわね。
屋敷のとある一室-------------
私はカーテンから指す光に照らされ、目が覚めた。
そして、例の如く、目を開けるとミリヤ・ファームの姿が視界に入って来る。
あれから、何日経ったのだろうか。
ミリヤ・ファームと共に、屋敷の連中と暮らす日々。
何か仕事する…………という訳でもなく、ただ、寝て、食べて、お風呂に入って、と怠惰に過ごす日常。
聖女やあのクソ騎士団長共は一体、何がしたいんだ?
とりあえず、いつものようにミリヤと朝食を取り、木剣で素振りをするミリヤの朝練を身の回りの世話をするメイド(という名の腕利きの監視者)と共に眺めている。
「えいっ!! やあっ!!」
ふ~ん…………意外に筋が良いわね。
最初に会った時、私に眠り薬を塗られた針を刺した動きからして、相当な実力はあると思っていたが、あのクソクナトの娘だけあって、剣の腕もかなりのものだと分かる。
恐らく、あの時の私よりも-------------
「……………………」
ほんと、才能のある奴は良いわよね。
無能な奴にとって、それは憎たらしい上に、妬ましいんだから…………。
「…………お姉ちゃん…………?」
私の不穏な様子に気付いたのか、ミリヤが素振りをする手を止めて、屋敷のテラスにいる私の所へ駆け寄って来た。
「…………何でもない…………」
私は素っ気なく答えて、既に冷め切ってしまっている紅茶を口に含んだ。
「……………………」
そんな私の態度に、ミリヤはジーっの私を非難するような目付きで睨んで来ている。
こういう時、ミリヤが私を睨んで来る理由はただ一つ-------------私が何か、悩んでいるのを見抜いている時だ。
しばらく、一緒に暮らしていて、分かった事なのだが、ミリヤはどうもあのクソ聖女アカネの後継者候補の一人-------------【次期聖女候補】と呼ばれる見習い聖女。
だからなのか、人一倍、聖女の持つ特有の能力を発現していて、人の持つ《負の感情》を見る事が出来る。
ミリヤの話では、そういった負の感情を持つ人を見ると黒い靄のようなものが身体から吹き出しているそうなのだ。
特に私からはそういった靄が、普通の人の何倍もの濃さで、火山の噴火の如く吹き出しているそうで、私が何処にいるのか一眼見て分かるそうだ。
恐らく、このミリヤの能力を使って、私が何処にいるのか、その一部分を探知していたのだろう。
つまり、ミリヤの《負の感情を察知する能力》がある限り、私が逃げても、すぐバレるという事だ。
だから、ミリヤを私と共に済ませているのだろう事が手に取る様に分かる。
だが、それ以外にも狙いがあるような気がして…………。
「お姉ちゃん…………?」
いつの間にか、考えに耽っていたようだ。
物凄く柔かに笑っているのに、目が笑っていないミリヤの顔が目の前にあった。
あぁ、これは、いつものようにお説教が待っているわね。
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