聖女転生魔法 〜憎き聖女を殺す為に、俺は聖女へと生まれ変わる〜

第二章 新たな策略

弟子にしてください

「弟子にしてください！！！」

　こんにちは、皆さん。

　私は今、非常に面倒な事に巻き込まれています。

　それは、ミリヤの稽古を付けるという名目で、模擬戦を行った日の後-------------

　目を覚ましたミリヤは、使用人方から話を聞き、一目散に私の元へと向かった。

　そして、再び会うや否やいきなり土下座して来て、弟子入りを懇願して来たのだ。

　私はにべも無く即座に断ったのだが、ミリヤの執念は深く、暇を見つけては毎日のように土下座しながら、懇願して来る。

　そんな光景を見つめる使用人方の視線は当然ながら痛い。

　何で、何もしていないにも関わらず、メンタルにダメージを負うのか。

「いい加減諦めてはくれないのかしら…………？」

「嫌です！！！　弟子にしてくれるまで止めません！！！」

　私に向けられたミリヤの目は真剣そのもの。

　絶対に諦めないという意思が宿っているのが、一眼見て分かる。

　何とも迷惑な…………。

　周りに控えているメイド達からも、非難の眼差しが降り注いでいる。

　居心地悪いなぁ～…………。

　思わず、深い溜め息を落とす私はミリヤに向き直ると諭すように口を開く。

「ねぇ、あなた…………あなたは、一体、誰に頼み込んでいるのか、理解しているの…………？」

「もちろん！！　優しくて、綺麗な聖女様ですよね！？」

　はい、理解していませんね。

「分かっていないようだから、一応、言っておくけど…………。私、この国の聖女を害そうとした賊だからね」

「それも知っています！！！」

　知っているなら、弟子になろうとするな！！！

「でも、それでも、私はあなたの弟子になりたいんです！！！」

「……………………」

　今、私に対して、淀みの無い真っ直ぐな瞳が向けられている。

　それは鬼気迫るとか、もう後がないかのような必死なもの。

　死んでも喰らい付こうとする想いが滲み出ていた。

　一体、何が彼女をそうさせるのか-------------

「……………………一つ…………聞いても良いかしら…………？」

「何ですか！？」

「あなたは…………どうして、強くなろうとしているの？」
　
　そんな私の問いに、彼女は一切の躊躇もなく、簡潔に答えた。

「私のパパのようになりたいからです！！！」