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第二章 新たな策略
勇者と魔王の伝説
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勇者と魔王の伝説-------------
それはこの世界で最も語り継がれている伝説だ。
人類を滅ぼそうとする魔王と神によって、異世界から召喚された人類の救世主である勇者のお話。
かつて、人類が魔王の脅威に怯え、為す術もなく蹂躙されていた頃、神々の奇跡によって、一人の青年が異世界から召喚された。
召喚された青年は神より託された剣を手に取り、人類の敵たる魔族と戦い続けた。
いつしか、その青年は《勇者》と呼ばれ、人類の希望となり、自らの命と引き換えに《魔王》を倒した。
かなり話の長い伝説で、うる覚えの所もあるが、要約するとこんな感じだ。
確か、あの伝説だと、勇者の遺体は《聖地》と呼ばれる場所で眠っているという話だ。
なら、人類側と同じで魔族側も、魔王の遺体があるなら、蘇らせたいと考える筈。
しかし、それなら、それで解せない事もある。
「あなたの話が本当なら私は光の属性の魔法を一人で扱う事が出来る。
でも、光の属性で、人を蘇生させるには、かなりのリスクがあった筈よね?」
そう、光の属性は、それぞれ異なる五つの属性を同時に使用する五人の魔法の使い手が必要。
瘴気の浄化や人の治療などなら問題はないが、死した人の蘇生だと話が、かなり違って来る。
光の属性で、死人を蘇生させようとすると必ずと言って、魔法を発動した者に何らかのリスクが発生する事例が多発しているのだ。
その確率は必然-------------
確実に、身体に何らかの不調を来たす。
私が覚えている限りだと、中には蘇生が成功しず、発動者全員が死亡したケースもあった筈-------------
「そうよ。普通なら、死者を蘇らせようとすると、必ずなんらかのリスクが発生するわ。でも、あなたなら何の問題はない」
私なら問題がない?
どういう意味?
「何故なら、あなたの闇属性の利点は、あらゆるリスクの完全相殺と完全無効だから」
「なっ!?」
確信を持った聖女の言葉に、流石の私も絶句した。
あらゆるリスクの完全相殺と完全無効。
もし本当なら、どれだけのメリットが私にあるのか想像も付かない。
リスクを軽減どころか無くせるのが、闇属性のメリットなら、それはつまり《何のリスクもなく、代償を支払わずに、確実に死者の蘇生が出来る》という事-------------
恐らく、何度でも…………。
そう考えると、ゾッとしないわね。
あの勇者と魔王の伝説の内容を思い返す。
確か、あの伝説の内容だと、勇者と魔王の戦闘能力が高過ぎたが故に、戦いの余波で、人類の半数と世界の半分が焼け野原として、荒廃して行った筈だ。
もしそんな勇者と魔王が何度、死しても蘇られる保証があるのなら、これは恐ろしい力だ。
そして、私を人類と魔族のどちらかが、自陣に引き込んで、守っていれば、自ずと勇者と魔王のどちらかの復活を阻止出来る上に、蘇らせられる。
道理で、どちらも必死になる訳ね。
これなら、あのクソ真面目なクナトが、あれだけの危険を犯したのも納得ね。
「で…………? クソ聖女様は、私に自分の仲間になれと…………? そう言いたい訳?」
今の話の流れからして、そういう事でしょ?
残念だけれど、そんな事は一ミリもあり得ないから…………。
そんな否定的な考えを心の内で愚痴りながら、冷たく聖女を睨み付ける私に対して、聖女アカネは不思議そうに小首を傾げて、こう言い放った。
「いや、そんなつもりはないけど…………」
それはこの世界で最も語り継がれている伝説だ。
人類を滅ぼそうとする魔王と神によって、異世界から召喚された人類の救世主である勇者のお話。
かつて、人類が魔王の脅威に怯え、為す術もなく蹂躙されていた頃、神々の奇跡によって、一人の青年が異世界から召喚された。
召喚された青年は神より託された剣を手に取り、人類の敵たる魔族と戦い続けた。
いつしか、その青年は《勇者》と呼ばれ、人類の希望となり、自らの命と引き換えに《魔王》を倒した。
かなり話の長い伝説で、うる覚えの所もあるが、要約するとこんな感じだ。
確か、あの伝説だと、勇者の遺体は《聖地》と呼ばれる場所で眠っているという話だ。
なら、人類側と同じで魔族側も、魔王の遺体があるなら、蘇らせたいと考える筈。
しかし、それなら、それで解せない事もある。
「あなたの話が本当なら私は光の属性の魔法を一人で扱う事が出来る。
でも、光の属性で、人を蘇生させるには、かなりのリスクがあった筈よね?」
そう、光の属性は、それぞれ異なる五つの属性を同時に使用する五人の魔法の使い手が必要。
瘴気の浄化や人の治療などなら問題はないが、死した人の蘇生だと話が、かなり違って来る。
光の属性で、死人を蘇生させようとすると必ずと言って、魔法を発動した者に何らかのリスクが発生する事例が多発しているのだ。
その確率は必然-------------
確実に、身体に何らかの不調を来たす。
私が覚えている限りだと、中には蘇生が成功しず、発動者全員が死亡したケースもあった筈-------------
「そうよ。普通なら、死者を蘇らせようとすると、必ずなんらかのリスクが発生するわ。でも、あなたなら何の問題はない」
私なら問題がない?
どういう意味?
「何故なら、あなたの闇属性の利点は、あらゆるリスクの完全相殺と完全無効だから」
「なっ!?」
確信を持った聖女の言葉に、流石の私も絶句した。
あらゆるリスクの完全相殺と完全無効。
もし本当なら、どれだけのメリットが私にあるのか想像も付かない。
リスクを軽減どころか無くせるのが、闇属性のメリットなら、それはつまり《何のリスクもなく、代償を支払わずに、確実に死者の蘇生が出来る》という事-------------
恐らく、何度でも…………。
そう考えると、ゾッとしないわね。
あの勇者と魔王の伝説の内容を思い返す。
確か、あの伝説の内容だと、勇者と魔王の戦闘能力が高過ぎたが故に、戦いの余波で、人類の半数と世界の半分が焼け野原として、荒廃して行った筈だ。
もしそんな勇者と魔王が何度、死しても蘇られる保証があるのなら、これは恐ろしい力だ。
そして、私を人類と魔族のどちらかが、自陣に引き込んで、守っていれば、自ずと勇者と魔王のどちらかの復活を阻止出来る上に、蘇らせられる。
道理で、どちらも必死になる訳ね。
これなら、あのクソ真面目なクナトが、あれだけの危険を犯したのも納得ね。
「で…………? クソ聖女様は、私に自分の仲間になれと…………? そう言いたい訳?」
今の話の流れからして、そういう事でしょ?
残念だけれど、そんな事は一ミリもあり得ないから…………。
そんな否定的な考えを心の内で愚痴りながら、冷たく聖女を睨み付ける私に対して、聖女アカネは不思議そうに小首を傾げて、こう言い放った。
「いや、そんなつもりはないけど…………」
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