26 / 52
〇 4
4-3 再びのお風呂
しおりを挟む
「そんなにお照れになる事でしょうか?」
「なっ……慣れていないものでっ……」
「いつもお一人で?」
「ひゃっ!!? ど、どこさわっ」
「ダメですよー暴れちゃ、綺麗な肌に傷がついてしまいます」
「あわわ」
泡まみれにされていた。
「んあ!?」
「うふふ」
あちこち触られまくっていた。
「ううぅ……」
「本当に綺麗な髪をしていらっしゃいますわー?」
「嘘だ……こんなの嘘だ……」
自分の体をいいように遊ばれているような気がしてプライドがズタズタだった。まな板の上の鯉。悪意はないんだろうけどイジメられる側の女の子ってこんなに屈辱的なのかっ……!!
変な扉が開きそうな予感に僕は震える。
このまま元の体に戻っても「あーあ、女の子のほうがよかったなー」とか思い始めたらどうしよう……! って言うか、どうしようってなんだよ!? すでにどうしたんだよ僕はっ……!?
「何かお考え事でも?」
「ぁっ……」
後ろから抱きしめられ、耳元で囁く言葉に全身が疼く。
背中に押し付けられているっていうか、全身を包み込んでいる柔らかさに「あばばば」言葉が出てこなかった。
そんな僕の気を知ってか知らずか、もしくはただ緊張した体を解そうとしてか、そっとその腕が僕の手を取った。
泡にまみれた細い指が湯気の中でしっとりと動く。
肌のぬくもりを直接感じ、その暖かさにまたびくりと体が硬くなっていく。
「大丈夫……大丈夫ですわ……?」
まるで子守唄のように囁きかけられる優しい言葉はそっと心に触れ、体だけではなくそこも解していくような心地さえ覚える。
そうして僕は初めてゆっくりとその横顔を眺め、やっぱり綺麗な人だなと漠然と思った。
この国のお姫様は、両親が亡くなっているからもはや王女か女王様のような位なんだろうけど、彼女は凄く綺麗な女の子だった。
……多分、僕とそう年も変わらないんだよな……?
年を聞いた覚えはないし、いまは僕が女の子になってて……ましてや年も幼くなってるけど、元の体に戻れば多分同い年かエシリヤさんが一つ上か……。そんな子が、今、自分の国が大変になってるのに僕のことまで気遣ってーー、「っ……」何してるんだろ……僕は……。
「ほーら、またそのような難しいお顔をしてっ」
「わわわっ」
ぐいっと回り込むようにしてエシリヤさんが前に来る。
思わず見入ってしまいそうな体に慌てて僕は首をひねり、お湯を吐き続けるライオン(?)の像を眺めた。
「……こんなことに巻き込んでおいて本当に申し訳ないとは思います。……しかし、アカリ様が気を病むことではないのですよ?」
優しく、まるでこの部屋全体を包み込んでいる湯気のように温かな口調でエシリヤさんは告げる。
「いつも通りでいてください。そう肩の力を入れないで」
「あっーー、」
前から抱きしめられ、思わずそちらに向き直ってしまう。
長く、軽くウェーブかかった髪は濡れ、その艶やかな体を流れていた。
小さく、ほのかに赤くなったおし「ええええエシリヤさんっ!!」
「はいっ?」
「だっ……?!」
慌てて肩をつかんで引きはがしたけど今度はたわわに実ったアレがアレでああああ
「お、お湯に入りましょう! お湯に!!」
「ーーーー、ふふっ……。ええっ?」
首を今度は逆方向に背けながら僕が叫ぶとエシリヤさんは頷いてくれた。
このままの体勢でいるのは心臓に悪い。いや、本当に。
首をギリギリと限界まで捻りながらお湯を流す間、ずっとエシリヤさんは笑ってくれていたような気がした。
「なっ……慣れていないものでっ……」
「いつもお一人で?」
「ひゃっ!!? ど、どこさわっ」
「ダメですよー暴れちゃ、綺麗な肌に傷がついてしまいます」
「あわわ」
泡まみれにされていた。
「んあ!?」
「うふふ」
あちこち触られまくっていた。
「ううぅ……」
「本当に綺麗な髪をしていらっしゃいますわー?」
「嘘だ……こんなの嘘だ……」
自分の体をいいように遊ばれているような気がしてプライドがズタズタだった。まな板の上の鯉。悪意はないんだろうけどイジメられる側の女の子ってこんなに屈辱的なのかっ……!!
変な扉が開きそうな予感に僕は震える。
このまま元の体に戻っても「あーあ、女の子のほうがよかったなー」とか思い始めたらどうしよう……! って言うか、どうしようってなんだよ!? すでにどうしたんだよ僕はっ……!?
「何かお考え事でも?」
「ぁっ……」
後ろから抱きしめられ、耳元で囁く言葉に全身が疼く。
背中に押し付けられているっていうか、全身を包み込んでいる柔らかさに「あばばば」言葉が出てこなかった。
そんな僕の気を知ってか知らずか、もしくはただ緊張した体を解そうとしてか、そっとその腕が僕の手を取った。
泡にまみれた細い指が湯気の中でしっとりと動く。
肌のぬくもりを直接感じ、その暖かさにまたびくりと体が硬くなっていく。
「大丈夫……大丈夫ですわ……?」
まるで子守唄のように囁きかけられる優しい言葉はそっと心に触れ、体だけではなくそこも解していくような心地さえ覚える。
そうして僕は初めてゆっくりとその横顔を眺め、やっぱり綺麗な人だなと漠然と思った。
この国のお姫様は、両親が亡くなっているからもはや王女か女王様のような位なんだろうけど、彼女は凄く綺麗な女の子だった。
……多分、僕とそう年も変わらないんだよな……?
年を聞いた覚えはないし、いまは僕が女の子になってて……ましてや年も幼くなってるけど、元の体に戻れば多分同い年かエシリヤさんが一つ上か……。そんな子が、今、自分の国が大変になってるのに僕のことまで気遣ってーー、「っ……」何してるんだろ……僕は……。
「ほーら、またそのような難しいお顔をしてっ」
「わわわっ」
ぐいっと回り込むようにしてエシリヤさんが前に来る。
思わず見入ってしまいそうな体に慌てて僕は首をひねり、お湯を吐き続けるライオン(?)の像を眺めた。
「……こんなことに巻き込んでおいて本当に申し訳ないとは思います。……しかし、アカリ様が気を病むことではないのですよ?」
優しく、まるでこの部屋全体を包み込んでいる湯気のように温かな口調でエシリヤさんは告げる。
「いつも通りでいてください。そう肩の力を入れないで」
「あっーー、」
前から抱きしめられ、思わずそちらに向き直ってしまう。
長く、軽くウェーブかかった髪は濡れ、その艶やかな体を流れていた。
小さく、ほのかに赤くなったおし「ええええエシリヤさんっ!!」
「はいっ?」
「だっ……?!」
慌てて肩をつかんで引きはがしたけど今度はたわわに実ったアレがアレでああああ
「お、お湯に入りましょう! お湯に!!」
「ーーーー、ふふっ……。ええっ?」
首を今度は逆方向に背けながら僕が叫ぶとエシリヤさんは頷いてくれた。
このままの体勢でいるのは心臓に悪い。いや、本当に。
首をギリギリと限界まで捻りながらお湯を流す間、ずっとエシリヤさんは笑ってくれていたような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜
れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが…
勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる