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4-5 立ち上がる意思
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思えば、爺さんは僕を鍛えようとしてくれていたんだと思う。なんて言ったら「どういうつもりだと思っとんたんだ」てゲンコツ貰いそうだけど、でもあの頃の僕は「お仕置きか意地悪」なんだと思ってた。
毎日毎日学校から家に帰る前に結梨の家に寄ってボッコボコにされる。
子供相手に大人気ない程の容赦のなさで殴られ、締められ、放り投げられた。
怪我をしても「子供のうちはすぐに治る」と言って聞いてくれなかった。
傷だらけになって帰ってくる我が子に何も言わず、時には他人の家で夕食まで頂いて帰ってくるのを良しとしていた両親もどうかと思うけどおかげさまで痛みには強くなった。
「っ……」
ぐるりと世界が反転したかと思うと胸元を押さえこむアルベルトさんの姿を見上げていた。
打ち付けられる瞬間に引っ張り上げてくれたのか頭を打たずには済んでいた。ただ、お尻はめっちゃ痛い。
「そろそろ打ち止めと致しましょう。日も暮れますし余計なことを考えていたように思える」
額に汗をにじませつつも息は整ったままの元王国騎士団長は告げる。
「そこまで急いたところで身につくものでもないですから」
魔法を使わずに挑みかかること数十回。まともな攻防戦ではどれだけ奇襲に打って出たところで躱され、かといって防戦に回ればジリ貧に追い込まれて足元を蹴り上げられた。
全くもって敵うビジョンが見えず、ただ地面に転がり続けていた。無駄な足掻きと思われても仕方ないけどそれでも挑み続けるしかない。
「あともう一回……、もう一回だけ……ダメですか……?」
髪をまとめていた紐はとうの昔に千切れ、肩に掛かるそれが鬱陶しくも感じる。
しかし闘志は燃え尽きてはくれない。
手応えもなく、ただ敗北を重ねてるだけだ。でもそれは以前にも経験があった。
無意味に思える稽古。ただ、傷が増えていくだけの日々。
効率は悪かったかもしれない。理論に基づいたものなんかじゃ絶対なかった。
それでも僕は鍛えられ、最終的には爺さんから一本取れるようにはなったーー。
「やけになったところで戦局は覆るものではないですぞ?」
「わかってます……わかってますけど、繰り返さないと体は覚えてくれないんです……。僕は運動……そんな得意じゃないから……」
黒の魔導師の体のおかげで身体能力は向上している。思うように四肢は動き、戦うことができる。
でもそれだけじゃダメだ。ルールの決められた武道とも学校の裏で行われる喧嘩とも違う。
相手の息の根を止めるための殺し合い。戦闘におけるセンスと経験は圧倒的に僕には足りてない。咄嗟の判断を誤れば文字通り命取りに繋がる世界でそれは致命的だ。
ランバルトは僕を殺そうとはしていなかった。あの黒いドラゴンもだ。
狙いはただ一人、エミリア。彼女だけを片付けようとしていた。でなければ、防壁の消えたもの国を焼き払うことだって出来たはずだ。
だから生き延びることができた。こうして戦う為の準備をすることができる。多分次は、もう、手加減なんてしてくれやしないから。
「参りますッ……」
「仕方ありませんな」
あくまでも「執事」としての振る舞いで対応されてしまう。
身体強化の魔法すらかけていない身では当然だ。
確かに普通の人と比べればありえないほどの速さで駆け抜け、宙を舞うことができる。
それでも、「元王国騎士団団長」にとってはそれだけだ。騎士として名を轟かせていたというのは伊達じゃない。
右へ左へとフェイントを掛けながら宙に跳躍すると見せかけ、体を沈ませまま懐に潜り込む。
視線はフェイントに引っかかってくれたものの、打ち出した拳はあっさりと受け止められその勢いのままに引き上げられる。
「くっそッ……」
地面から足が浮いた。
避けられないことを分かって蹴りだされた足は、膝を曲げて受け止める。
拳を掴まれたまま、持ち上げられるような形でさらにもう一発、もう一発と引いては打ち出されてくる足を必死に耐えつつ、もう片方の腕でアルベルトさんの手首を掴み、逆に「自分を引き上げる」。と同時に、手首に膝を打ち付けその手から逃れる。が、まだ空中に浮く僕を後ろ側から衝撃が襲った。オーバーヘッドキックでもするかのようにアルベルトさんが蹴り上げたのだ。
腰が反り、視界がぶれるなか必死に相手の動きを読む。
「ぬァあああああッ」
無茶だと思いながらもその足を後ろで掴むと反った体を曲げる。
さながら背負い投げのように。全身がビキビキと音を立てアルベルトさんが驚きに声を漏らすのが聞こえた。
あとはもうぐだぐだだ。
結局そんな体制で、宙に浮いた状態で投げられるわけもなく、二人とも縺れ込むように地面に転がり立とうとする相手の手足を払いながら蹴りなりパンチなりを繰り返して最終的にアルベルトさんに押さえつけられた。
さっきの再演のようだ。何度目かのマウントポジションに呻く。
「ありがとう……ございました……」
息が上がって自分でも肩が上下するのがわかる。限界だ、これ以上動けないーー。
悔しい、結局敵わなかった。
それでもこれ以上挑みかかる力は残されていなかった。
文字通り限界だったから……。
「そのしつこさはエシリヤお嬢様に通じるものがございますな」
崩れた髪型を直しつつアルベルトさんが苦笑する。
「事が片付きましたら是非また稽古を。……久しぶりにいい汗をかきました」
「ぁ……」
「……? どうかされましたかな?」
「いえ……アルベルトさんが笑うとなんだか不気味だなぁって」
「なっ……!」
実のところ、男はいくつになっても少年だっていうのは本当なんだなーとか思ってた。
それほどに初老にもなろうというその人の笑顔が若々しく見えたから。
「そのためには私も決着をつけねば」
「……ええ」
その一言だけで察する。察するには十分だった。
アルベルトさんにとってランバルトは部下であり、弟子であり、息子のような存在だったんだろう。
先の戦闘では不意を突かれて眠らされてしまっていたらしいけど、今度は自分が止めるつもりでいるらしい。
できれば、そんなことはさせたくない……と僕は思う。
無理かもしれないけど、そんな力、ないのかもしれないけど。できれば、そんな悲しいことはさせたくない。
そう思えばこそ、力の入らない体であっても闘志だけは燃やし続けることが出来た。やらなきゃいけない事ばかりで頭も体も重い。それでも立ち止まりたいとは思えなかった。
空に浮かび始めた月の明かりが静かに僕の心を落ち着かせてくれた。
毎日毎日学校から家に帰る前に結梨の家に寄ってボッコボコにされる。
子供相手に大人気ない程の容赦のなさで殴られ、締められ、放り投げられた。
怪我をしても「子供のうちはすぐに治る」と言って聞いてくれなかった。
傷だらけになって帰ってくる我が子に何も言わず、時には他人の家で夕食まで頂いて帰ってくるのを良しとしていた両親もどうかと思うけどおかげさまで痛みには強くなった。
「っ……」
ぐるりと世界が反転したかと思うと胸元を押さえこむアルベルトさんの姿を見上げていた。
打ち付けられる瞬間に引っ張り上げてくれたのか頭を打たずには済んでいた。ただ、お尻はめっちゃ痛い。
「そろそろ打ち止めと致しましょう。日も暮れますし余計なことを考えていたように思える」
額に汗をにじませつつも息は整ったままの元王国騎士団長は告げる。
「そこまで急いたところで身につくものでもないですから」
魔法を使わずに挑みかかること数十回。まともな攻防戦ではどれだけ奇襲に打って出たところで躱され、かといって防戦に回ればジリ貧に追い込まれて足元を蹴り上げられた。
全くもって敵うビジョンが見えず、ただ地面に転がり続けていた。無駄な足掻きと思われても仕方ないけどそれでも挑み続けるしかない。
「あともう一回……、もう一回だけ……ダメですか……?」
髪をまとめていた紐はとうの昔に千切れ、肩に掛かるそれが鬱陶しくも感じる。
しかし闘志は燃え尽きてはくれない。
手応えもなく、ただ敗北を重ねてるだけだ。でもそれは以前にも経験があった。
無意味に思える稽古。ただ、傷が増えていくだけの日々。
効率は悪かったかもしれない。理論に基づいたものなんかじゃ絶対なかった。
それでも僕は鍛えられ、最終的には爺さんから一本取れるようにはなったーー。
「やけになったところで戦局は覆るものではないですぞ?」
「わかってます……わかってますけど、繰り返さないと体は覚えてくれないんです……。僕は運動……そんな得意じゃないから……」
黒の魔導師の体のおかげで身体能力は向上している。思うように四肢は動き、戦うことができる。
でもそれだけじゃダメだ。ルールの決められた武道とも学校の裏で行われる喧嘩とも違う。
相手の息の根を止めるための殺し合い。戦闘におけるセンスと経験は圧倒的に僕には足りてない。咄嗟の判断を誤れば文字通り命取りに繋がる世界でそれは致命的だ。
ランバルトは僕を殺そうとはしていなかった。あの黒いドラゴンもだ。
狙いはただ一人、エミリア。彼女だけを片付けようとしていた。でなければ、防壁の消えたもの国を焼き払うことだって出来たはずだ。
だから生き延びることができた。こうして戦う為の準備をすることができる。多分次は、もう、手加減なんてしてくれやしないから。
「参りますッ……」
「仕方ありませんな」
あくまでも「執事」としての振る舞いで対応されてしまう。
身体強化の魔法すらかけていない身では当然だ。
確かに普通の人と比べればありえないほどの速さで駆け抜け、宙を舞うことができる。
それでも、「元王国騎士団団長」にとってはそれだけだ。騎士として名を轟かせていたというのは伊達じゃない。
右へ左へとフェイントを掛けながら宙に跳躍すると見せかけ、体を沈ませまま懐に潜り込む。
視線はフェイントに引っかかってくれたものの、打ち出した拳はあっさりと受け止められその勢いのままに引き上げられる。
「くっそッ……」
地面から足が浮いた。
避けられないことを分かって蹴りだされた足は、膝を曲げて受け止める。
拳を掴まれたまま、持ち上げられるような形でさらにもう一発、もう一発と引いては打ち出されてくる足を必死に耐えつつ、もう片方の腕でアルベルトさんの手首を掴み、逆に「自分を引き上げる」。と同時に、手首に膝を打ち付けその手から逃れる。が、まだ空中に浮く僕を後ろ側から衝撃が襲った。オーバーヘッドキックでもするかのようにアルベルトさんが蹴り上げたのだ。
腰が反り、視界がぶれるなか必死に相手の動きを読む。
「ぬァあああああッ」
無茶だと思いながらもその足を後ろで掴むと反った体を曲げる。
さながら背負い投げのように。全身がビキビキと音を立てアルベルトさんが驚きに声を漏らすのが聞こえた。
あとはもうぐだぐだだ。
結局そんな体制で、宙に浮いた状態で投げられるわけもなく、二人とも縺れ込むように地面に転がり立とうとする相手の手足を払いながら蹴りなりパンチなりを繰り返して最終的にアルベルトさんに押さえつけられた。
さっきの再演のようだ。何度目かのマウントポジションに呻く。
「ありがとう……ございました……」
息が上がって自分でも肩が上下するのがわかる。限界だ、これ以上動けないーー。
悔しい、結局敵わなかった。
それでもこれ以上挑みかかる力は残されていなかった。
文字通り限界だったから……。
「そのしつこさはエシリヤお嬢様に通じるものがございますな」
崩れた髪型を直しつつアルベルトさんが苦笑する。
「事が片付きましたら是非また稽古を。……久しぶりにいい汗をかきました」
「ぁ……」
「……? どうかされましたかな?」
「いえ……アルベルトさんが笑うとなんだか不気味だなぁって」
「なっ……!」
実のところ、男はいくつになっても少年だっていうのは本当なんだなーとか思ってた。
それほどに初老にもなろうというその人の笑顔が若々しく見えたから。
「そのためには私も決着をつけねば」
「……ええ」
その一言だけで察する。察するには十分だった。
アルベルトさんにとってランバルトは部下であり、弟子であり、息子のような存在だったんだろう。
先の戦闘では不意を突かれて眠らされてしまっていたらしいけど、今度は自分が止めるつもりでいるらしい。
できれば、そんなことはさせたくない……と僕は思う。
無理かもしれないけど、そんな力、ないのかもしれないけど。できれば、そんな悲しいことはさせたくない。
そう思えばこそ、力の入らない体であっても闘志だけは燃やし続けることが出来た。やらなきゃいけない事ばかりで頭も体も重い。それでも立ち止まりたいとは思えなかった。
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