8 / 34
【3】旅行で少女。
3-1
しおりを挟む
【3】旅行で少女。
ご主人サマの家を出てもう随分と経った。新宿から特急に乗り換えて、電車に揺られる事はや2時間。外の景色は一向に変わる事無く、のどかな田園風景が広がってる。最初は珍しくてワクワクしていたんだけど、流石にそんな景色にも見飽きて、睡魔も襲って来ていた。さっき車内サービスで駅弁を買って食べてお腹が膨れたっていうのもあるんだろうけど――、でもきっと朝早くに叩き起こされたせいだ。いつもだったらまだウトウトしてる時間帯なのだ。それを無理矢理起こして連れ出して――、そうだ。全部ご主人サマの責任だ。うん。私は悪く無い!
そんな風に言い訳をして、向かい合った4人がけのシートのうちの2つを占領して横になり、すやすやと可愛らしい寝息を立て始めた頃。ずしん、と体の上に何か重い物を乗せられて、目を覚ました。
「んぅ……、ねむいですよぉ……」
「……良いから起きろ」
体の上に置かれたのは私の可愛いリュックサックで、少し高い位置からはご主人サマが睨んでいた。
「んぅー……、どうしてこうも人の気持ちがわからないんでしょう……」
まどろみの気持ち良さを知らないんだろうか。まるでゆりかごの中にいるような、うとうとして、意識も曖昧になって来た時の――、
「ってちょっと待って下さいよ!!」
窓の外、既に駅のホームへと降り立った姿を見て慌てて私もイスから飛び降りる。
――少し位人の話聞いてくれても良いのに……!
っと、走り出してから靴を脱いでいる事に気がついた。確か「イスを汚しちゃいけないから」って思って座席の下に――下を覗き込むと少し奥の方に滑っていってしまっていて、手を伸ばすけどなかなか届かない。
「ぬぅー……んぅーっ……!」
肩が外れるかと思う程頑張って伸ばして――ようやく指先が引っかかり、そのまま引っ張りだす。少し汚れちゃったけど気にしない気にしないっ。
「ふぃ……」
救出した靴を前に溜め息が溢れた。もしこの靴を失ったお家まで裸足で帰らなきゃ行けないし、それはちょっと恥ずかしい。
「何はともあれ、よかったよかった……!」
靴を履いて、座席の間を抜け、るんるん気分で扉をくぐろうとした瞬間――、
「――――ん?」
ぷしゅーと扉が目の前で閉まった。
「あ、あれ……?」
一瞬意味が分からず呆然と立ち尽くして扉を見つめる。
ガラス越しにご主人サマも立ち尽くし、唖然としていた。
やがて動き出す景色。流れていく駅のホーム。
「ちょ、ちょちょちょちょ……! えっえええええ!?」
ようやく頭が理解して、扉に手を着き慌ててご主人サマに助けを求めるけど――その姿は豆粒みたいに小さくなってしまっていた。
知らない土地で一人、電車の中に取り残されてしまった。
一応おこずかいとしてお金は貰っているけれど、この特急列車が何処まで行くのか私は知らない。そもそも携帯電話を持ってないからご主人サマに連絡出来ないい。
「…………」
田園風景はいつの間にか山沿いの景色に姿を変え、生い茂った木々が流れる様に消えていく。
ガタンゴトンと心地よいリズムを電車が音を奏で、私はトボトボと元の席に戻って行った。
「……まぁ、仕方ないかっ」
リュックから駅弁と一緒に買ったお茶を取り出す。キャップを開けて、ぐいっとそれを仰ぎ「ふぅ」と溜め息。まさかのお出かけがこんなことになるなんて、なんだか先が思いやられる。
慌てた所で電車が止まってくれる訳でもないし、きっと次の駅で待ってればすぐに追いかけて来てくれるだろう、
「早く迎えに来てよねーっと」
窓ガラスには案外楽しそうにしてる私が映り込んでた。――旅ってのはハプニングが有るから楽しいよねーっと。
ご主人サマの家を出てもう随分と経った。新宿から特急に乗り換えて、電車に揺られる事はや2時間。外の景色は一向に変わる事無く、のどかな田園風景が広がってる。最初は珍しくてワクワクしていたんだけど、流石にそんな景色にも見飽きて、睡魔も襲って来ていた。さっき車内サービスで駅弁を買って食べてお腹が膨れたっていうのもあるんだろうけど――、でもきっと朝早くに叩き起こされたせいだ。いつもだったらまだウトウトしてる時間帯なのだ。それを無理矢理起こして連れ出して――、そうだ。全部ご主人サマの責任だ。うん。私は悪く無い!
そんな風に言い訳をして、向かい合った4人がけのシートのうちの2つを占領して横になり、すやすやと可愛らしい寝息を立て始めた頃。ずしん、と体の上に何か重い物を乗せられて、目を覚ました。
「んぅ……、ねむいですよぉ……」
「……良いから起きろ」
体の上に置かれたのは私の可愛いリュックサックで、少し高い位置からはご主人サマが睨んでいた。
「んぅー……、どうしてこうも人の気持ちがわからないんでしょう……」
まどろみの気持ち良さを知らないんだろうか。まるでゆりかごの中にいるような、うとうとして、意識も曖昧になって来た時の――、
「ってちょっと待って下さいよ!!」
窓の外、既に駅のホームへと降り立った姿を見て慌てて私もイスから飛び降りる。
――少し位人の話聞いてくれても良いのに……!
っと、走り出してから靴を脱いでいる事に気がついた。確か「イスを汚しちゃいけないから」って思って座席の下に――下を覗き込むと少し奥の方に滑っていってしまっていて、手を伸ばすけどなかなか届かない。
「ぬぅー……んぅーっ……!」
肩が外れるかと思う程頑張って伸ばして――ようやく指先が引っかかり、そのまま引っ張りだす。少し汚れちゃったけど気にしない気にしないっ。
「ふぃ……」
救出した靴を前に溜め息が溢れた。もしこの靴を失ったお家まで裸足で帰らなきゃ行けないし、それはちょっと恥ずかしい。
「何はともあれ、よかったよかった……!」
靴を履いて、座席の間を抜け、るんるん気分で扉をくぐろうとした瞬間――、
「――――ん?」
ぷしゅーと扉が目の前で閉まった。
「あ、あれ……?」
一瞬意味が分からず呆然と立ち尽くして扉を見つめる。
ガラス越しにご主人サマも立ち尽くし、唖然としていた。
やがて動き出す景色。流れていく駅のホーム。
「ちょ、ちょちょちょちょ……! えっえええええ!?」
ようやく頭が理解して、扉に手を着き慌ててご主人サマに助けを求めるけど――その姿は豆粒みたいに小さくなってしまっていた。
知らない土地で一人、電車の中に取り残されてしまった。
一応おこずかいとしてお金は貰っているけれど、この特急列車が何処まで行くのか私は知らない。そもそも携帯電話を持ってないからご主人サマに連絡出来ないい。
「…………」
田園風景はいつの間にか山沿いの景色に姿を変え、生い茂った木々が流れる様に消えていく。
ガタンゴトンと心地よいリズムを電車が音を奏で、私はトボトボと元の席に戻って行った。
「……まぁ、仕方ないかっ」
リュックから駅弁と一緒に買ったお茶を取り出す。キャップを開けて、ぐいっとそれを仰ぎ「ふぅ」と溜め息。まさかのお出かけがこんなことになるなんて、なんだか先が思いやられる。
慌てた所で電車が止まってくれる訳でもないし、きっと次の駅で待ってればすぐに追いかけて来てくれるだろう、
「早く迎えに来てよねーっと」
窓ガラスには案外楽しそうにしてる私が映り込んでた。――旅ってのはハプニングが有るから楽しいよねーっと。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる