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しおりを挟む久々の屋敷に到着すると、屋敷で働いている人は全員様替わりしていた。
信頼のおける人ばかり集めたと、以前より人数は少ないものの、私達三人は笑顔で迎え入れられた。
先に引き取られた黒猫の子供ルイとルークは貴族ではよくある乳母に育てられていたが、アイルを見ると甘えるように泣き叫んだ。
アイルは二匹をすぐに抱き抱えるとほっとした感覚を覚える。
それから旦那様に連れられて案内された部屋は大きな部屋だった。
以前は小さな一室を与えられていたが、今日から二人の部屋らしい。奥の扉を開けると寝室で、この大きな部屋を中心に子供部屋やカーラの部屋が用意されてあった。何かあってもすぐに行き来できるようだ。
それからの日常は一変した。
旦那様は忙しい人ではあったから、平日は帰らないこともあったが休日は必ず屋敷に戻った。
平日も勿論帰って来る事もあるし、忙しくて帰れない日は連絡が入ってくるようになった。
料理は毎日美味しいものが出てくるし、乳母もいい人でカーラと三人で子供達の面倒をみた。
休日、庭を三匹が一生懸命走り回る姿に旦那様も穏やかな表情で見ていた。
アイルと名前を呼ばれて傍に寄ると、庭を散歩しようと誘われる。
子供達はカーラ達がしっかり見ていてくれるのでこうして二人きりで過ごすことも増えた。
ずっと部屋に閉じこもっていた生活から、こうして外に出る事が出来てアイルは少し肌が健康的な色になっように感じる。
薔薇の庭園を抜けて物陰に隠れる様な場所にあるベンチは最近二人のまぐわい場所になっている。
猫族は元々発情期という物が存在するが、軍人として生活していたルイス様は禁欲的な生活を送っていたらしい。
それが今は型が外れたように、発情期以外でも欲情的な目をしてアイルを誘う。
40歳にもなって、と言われるかもしれないがいいか?と初めの頃は少し恥ずかしそうに聞いてきて、年上の男性だと言うのに少し可愛いと思ってしまった。
うんと返事をしてからかなりの頻度で身体を合わせている。休みの日以外にも平日帰ってきたら夜は必ず確かめあった。
黒い艶やかなしっぽをしゅるりと足に巻き付けられたら始まりの合図で、椅子に座ったルイス様に跨るようにアイルも座る。
身長も高く軍で鍛えられた身体は華奢なアイルにと体格差が大きく、負担になる体勢がほとんどだ。
座位は身体をルイス様に預ける事が出来るのでアイルはこの体勢でまぐあうのが好きであった。
初めての時は苦しくて痛くてもう二度としたくないと思っていたが、今ではすっかりルイスの手によって身体は落とされていた。
自分の指とは違う剣を持つ太ましい指が後孔をくちゅくちゅと解していく。
妊娠出来る身体である為、アイルの後孔は女性器と同じ様な働きを持つ。気持ちいいと感じれば愛液が零れるし、すぐに入口も解れる。
身体は小さくても、ルイスの大きな陰茎をしっかりと奥まで受け入れることが出来るのだから身体とは不思議なものだ。
「ほら、少し腰を浮かせて」
亀頭をあてがう様に腰を浮かせれば、しっかりとルイス様が腰を支えてくれる。
ゆっくりと無理のないようゆっくり挿入されて、ゾクゾクと刺激が走った。
「あっ…んっ…ルイス様…」
ルイス様は絶対に乱暴にはしない。
ゆっくりと身体持ち上げ、ゆっくりと落とす。
ぐちゅっぐちゅっと音がどんどん大きくなって、律動も激しくなる。押し寄せる快楽もまた大きくなってたまらずピンっと背筋が弓なりのようにしなった。
「ん、はぁ…気持ちいいですルイス様…」
「私もだよアイル」
ルイス様のうっとりした表情にきゅんっと胸が高鳴る。年季の入った目じりのシワにちゅっちゅとキスをするのがアイルの好きな事の一つだ。
その後もルイス様のゆっくりとしたストロークに若いアイルは何度も達してしまう。
(気持ちいい…気持ちいいがいっぱい…)
そして暖かい熱が身体の奥に満たされていく感覚に堪らす一際高い喘ぎ声を上げてしまうが、辺りに人の気配はない。
余韻に酔いしれながら、くたりと身体を預けるとルイス様は必ずアイルの小さな耳を舐めた。
猫族の舌はザラザラする為、嫌だと言ったのに辞めてくれない意地悪だ。敏感になっている身体はピクピクと反応を見せるが、疲れ切った身体はその行為を受け入れるしか出来ない。
さらさらと白銀に輝く髪を撫でながら、ルイスは満足行くまでアイルを堪能した。
季節が変わり、アイルはルイスからの愛情を受け、すぐにまたお腹を大きくした事は周囲を驚かせた。
こうして平和条約で結ばれた夫婦が仲睦まじいとすぐに噂は広まり、二つの種族はようやく雪解けを見せ始めたのだった。
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