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始まりは
番が嫌いな理由
しおりを挟む俺の名前は中山雪。女っぽい名前だが、男だ。
男性と言う性別の他にΩの性も持つ。
俺には近衛秋人と言う番がいる。
その番であるαが俺は嫌いだ。
なんでかって、それはこれから語ろうと思う。
家が近所で幼なじみだった俺たちは同い年で仲がよかった。
事件が起きたのはαβΩ性の検査をした時、俺がΩ、秋人がαである事が分かった後だった。
忘れもしない中学を卒業した春休み。
秋人の家は幾つもの大きな病院を経営しているお金持ちで、高校では偏差値の高い高校に入学する為、この春から一人暮しを始める事になっていた。
引越し当日、秋人の引越しの手伝いをしていると強烈な発情期に襲われた。
Ωと言えど、発情期が来る時期ははそれぞれ。
Ωと分かってからは定期的に病院に通い、平均的に言われている発情期が始まる時期が15~18歳頃、俺の場合は身体の発育的にもう少し先になるだろうと診断されていた。
ところが昼食を食べ終わった頃から、身体の様子がおかしくなり始めた。
それは初めての発情期。
俺は秋人によって発情期誘発剤を使われて、無理矢理発情期を起こさせられたのだと後から知った。
その時は何も分からず傍に居たαである秋人を求め、俺は秋人に抱かれ、合意の無いままうなじを噛まれて番になったのだった。
病院関係に色々融通の利く秋人は簡単に誘発剤を手に入れる事が出来たのだろう。
何故それを使ったのか、答えは残酷なものだった。
発情期のΩとするセックスは想像を超える気持ちよさがあると聞いたから試したかった。
ただそれだけだった。
俺の母親は泣いていた。
母親の泣く姿は初めて見た。
俺の両親からも秋人の両親からもまだ早すぎると何度も何度も怒られた。
番はαから解除する事ができ、αは別のΩの番を作ることが出来る。
ところがΩは解除されても次の番を作ることが出来ない。
身体が最初の番以外は拒否反応を起こすからだ。
そうなった場合、Ωはずっと一人なのだ。
発情期も一人、薬を飲んで苦しむしかない。
その事を知ってもなお、秋人は俺との番を切ることはなかった。
あぁ、どうして過去は戻せないのか。
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