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始まりは
高校生になってから7
しおりを挟む『雪ちゃん!雪ちゃん!大変なの。秋人の学校から熱で早退したって連絡がきたの。秋人からは大丈夫だって言われたんだけど心配だから学校終わった後様子見てきてくれない?私も旦那も手が離せなくて…』
と連絡が秋人の母親からメールが届いていた。
秋人のご両親は仕事で忙しい人だ。
『わかりました』
とだけ返信を入れて、放課後が来るのが一気に憂鬱になった。
薬局で熱冷ましシートや補給食などを買って、秋人の家に向かう足取りはかなり重かった。
どうせ、女の子たちが面倒見てくれてるんじゃないの?と思いながら、久々に合い鍵を取り出した。
寝ているかも、と思って静かに開けた玄関に女性ものの靴はなく、シン…と静まりかえっていた。
リビングの扉を開けると、人が生活していない。
と言った感じがあった。
そのまま寝室には向かわず、キッチンに向かうと、ここもまったく使われていないようだった。
(秋人大丈夫かな…)
コンコンと静かにノックをして、扉を開けると、本当に具合が悪そうな秋人がベッドで寝ていた。
飲み物を置いて、汗をかいていたので、タオルで汗を拭って、おでこに熱冷ましシートを貼った。
「ん……」
そこで秋人が目を覚まし、俺と目が合った。
「具合悪いって聞いたから…」
「ん…」
そう返事をして秋人はまた瞼を閉じた。
俺はそのまま寝室を出て、溜まってる洗濯物を洗い、部屋の掃除して、おかゆを作った。
秋人は食欲はあったので、あとは薬を飲んで寝れば二、三日で治るだろう。
食べ終わったら身体を拭いて、新しい服に着替えさせた。
「また明日様子見に来るから、大人しく寝ててね。なにかあったら連絡頂戴」
「ん…」
それだけ言って、部屋を出ようとすると、「雪ありがと…」と小さく聞こえた。
(なんか調子狂う…)
それから放課後三日ほど通えば秋人がすっかり元気になった。
四日目は一応安静を取って、休みにしたらしいが、やる事なくて暇だから来い。と呼ばれたのでしぶしぶ行くことに。
(そういえば来いとか言われた事なかったかも…)
まぁ風邪の事もあるし、家事でもしてあげるかと思い放課後訪れると、秋人はもう一つの部屋で勉強していた。
部屋にはめちゃくちゃ勉強してますといった、使い古された参考書などがたくさん置いてあった。あと難しそうな本。
てっきり遊んでばかりいるのかと思っていたので、ちょっとびっくりだ。
意外だなぁとぼそり言った言葉を聞き取られ、笑うように心外だと言われた。
そっか、難しい大学受けるんだもんね。
なにも考えてないのは自分だけなような気がして焦りを感じた。
休憩もかねて、買ってきたおやつをだし、とコーヒーを淹れた。
なんかこうやってゆっくり二人で過ごすのはいつぶりだろうか。
もともと幼馴染で、仲は良かったのだ。
夕飯の支度だけしてあげると、もう大丈夫みたいなので、帰ると告げる。
そうすると、何か言いたげに俺を抱き寄せた。
「秋人…?」
「…発情期、まだこないって。雪の担当の先生から聞いて、俺のせいだってずっと思ってた。ごめん雪…ごめん…」
最後は消え入りそうな声だった。
そんな事をまだ気にしているなんて思いもよらなかった。
「俺は嬉しいと思ってるよ?もうずっと発情期なくなればいいって思ってる。Ωだけにある発情期なんてなければいいって。だから、俺はなんとも思ってないよ?あ、もし発情期セックスがしたいなら、俺と番解除して、他のΩと番になって…「雪…!!」」
その言葉は最後まで言えなかった。
乱暴に口を封じられる。
秋人の目は怒っていた。
俺の身体は秋人によって軽々と抱え上げられ、ベッドに倒される。
「秋人…?俺…発情期じゃないよ…?」
「そんなの分かってるッ!少し黙れ」
そう言ってまた乱暴に口づけされた。
初めてだった。
発情期じゃない秋人とのセックスをしたのは。
そしてこんなに怒った秋人も初めて見た。
10
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