幸せを噛みしめて

ゆう

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新しい世界

新学期

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 次の日、朝登校してみると、掲示板に人だかりが出来ていた。
 
 重要な事かな?でも人だかり嫌い(通学の電車でよくチカンに合っていたので)あとで人が減ったらみよーくらいの気持ちで先に教室に向かう事にした。
 途中人々が振り返り俺の事をジロジロとみてくるので、一貫校に編入すると目立つのかぁ…と思った。
 でもせっかくなら声をかけて欲しい。男ばかりの学園なら友達沢山欲しい。
前世では和真くらいしか友達居なかったしなぁ。
 なんて思いながら教室の席に着くとなぜジロジロ見られていたのかその原因が分かった。
 
 机にはビッチ!淫乱!などと殴り書きがされており、引き出しの中に詰まった紙を開くと、昨日の写真が載ってある記事の紙だった。
 理事長が俺を抱き寄せている写真に圭とのキス写真。
 編入生は淫乱野郎などと言う記事が書いてあるものだった。
 
(ああ、なるほど)
 
 ファンクラブがあると言っていたし、ストーカーのようなものがいるのだろう。
 机も油性マジックで書かれていたので、消せそうにない。
 なんかこういうのドラマでみたなぁ。
 まさか自分にもこんな事が起きるなんてとどこか他人事のように思えた。
 まぁ教室入った時自分の机が分かりやすくていいか…。
 と抜けた考えのような気もするが、こういう嫌がらせをする人は相手が悲しんだりする態度をみて楽しんでいるのだ。
 とりあえず文字は消えないが机を片づけて、ホームルームが始まるのをまった。
(はぁ…楽しみにしていたが友達を作るのは無理そうだ)
 俺は新学期から早速躓くのであった。
 
 
 ほどなくすると担任が入ってきた。
 流石にざわざわと噂だっていた生徒たちは席に着いた。
 
 まだ一年生は良かった。
 遠巻きに噂する程度だったから。
 二三年生になると露骨に態度をしめしてきた。
 廊下を歩いていたらわざと肩をぶつけられたり。
 後からものを投げられたり。
 汚い言葉を言い捨てたりとえらい嫌われようだった。
 
 帰ろうかなっと思ったら先輩たちのファンクラブ軍団に囲まれたり。
(チカンとかにあった時様に護身術はならったけど流石に多人数は無理!)
 まずいなーって思ってたら、先生が現れて事なきを得たり。
 
 そういうのが何回もあって。
 ここのセキュリティがしっかりしているのか、秋人の手回しなのか。
 俺的には痛い思いしなくてほっとしている。
 
 なので、地味な嫌がらせ程度で、現状は止まっている。
 言わずもがな担任に呼び出された。
 
「中山、今いろいろ噂になっているが大丈夫か?」
 
「あ、はい。俺は大丈夫です」
 
 担任はこの学園の初日に案内してくれた入江和真、前世では唯一の友達だった。
 先生になりたいなーっと言っていたので、こうして先生になった姿を生徒として見れるのは嬉しい。
 面倒見がよいらしく、生徒からは人気がるようで、他人の事じゃないように嬉しかった。
 
 こんな写真が出回ったが、退学とか謹慎とかないのかなぁと思った。
 あまりそういった処分にならないのには理由があった。
 私立であるこの学園は多くの寄付金で成り立っているらしい。
 次男である西園寺家も多額の寄付金を出しており、こういった問題が上がっても、先生たちは何も言えないのである。
まぁ理事長からバレないところでしろとは言われているらしいが。(本人も本人だしな)
 それにより、ここではお金持ちである生徒たちが天下なのだ。
 
 かず…入江先生に色々心配されたが、今のところ平気そうだったので、心配してくれたお礼だけ言って職員室を後にした。
 秋人からも心配のメールをもらったが、前世のΩの立場を経験している俺からしたら全く平気であった。
 Ωだった時なんて、α相手だとなにも抵抗もできなかったが、今は違うのだ。
 人の噂も75日と言うし、大人しく生活しよう。
 そう、平凡な日常のためにね…。
 
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