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新しい世界
危険な週末
しおりを挟む「圭…先輩?ど、どこまで行くんですか?」
「もうちょっとだよ」
そういって、どれくらい歩いただろうか。
会場からは離れていて、気づけば学生寮の方まで戻ってきていた。
手を引かれるがままたどり着いたのは一つの部屋の前だった。
(ここって…)
圭はカードキーを取り出して、ドアをガチャリと開けた。
「さ、どうぞ」
「…………」
(しまった…しまった!油断していた!!)
俺はそこでようやく気付いてしまった。
圭の部屋に連れ込まれたのだと。
さっき、助けられたことでかなり圭に心を許してしまっていた。
時既に遅し。
俺の後でガチャリと鍵が閉められたのが分かった。
「や、やっぱりかえります!」
「雪…?逃げるなら酷くしちゃうかもよ?」
圭の目は俺の瞳を捉えて逃がさない。
俺の足はその場から動けなくなってしまった。
「雪、おいで…」
ふ、と笑うと圭は先に部屋の中に入ってしまった。
「………」
これ以上考えても無駄だと思い、靴を脱いで俺も圭に続いて部屋に入った。
俺の学生寮の部屋とは違って、完全に一人用の部屋で、広く綺麗な部屋だった。
(お金を払えば専用部屋とかあるのかな?)
圭は何事にもあまり執着しないタイプで、それが部屋に現れており、物があまり置かれていてなかった。
「疲れた?ソファ座って、適当に飲み物だすから」
「う、ん……」
このまま圭と夜まで過ごす事になるのだろうか。
貞操は守るって決めたのに、疑いもせず、自分からついてきてしまった。
はぁ…と思わずため息が漏れた。
出された飲み物はあまり喉を通りそうにない。
必死に言い訳を考えても、行きつく先はどう頑張っても圭によって丸め込まれる未来しか見えなかった。
「雪…緊張してるの?」
ブンブンと首を縦にふる。
心の準備が出来ていないし、出来れば思いとどまってほしい。
そんな意味も込めて圭の目を見つめた。
「本当に秋人さんから大事にされてるんだね…、大事なものを奪うって思うとぞくぞくする」
「……!!!」
その顔は悪魔のような微笑みだった。
俺のソファの横に座り、身体を押し倒すようにして唇を重ねた。
「んっ、っぁ……、――……」
ドンと圭の胸を何度か叩くとようやく唇が離れていった。
「っ、スーツ、シワになるから……」
圭はクスッと笑うと、スーツがシワにならなければいいのかと言われ、墓穴を掘ったと思った。
圭に慣れた手つきであっという間に服が脱がされた。
場所もソファからベッドへお姫様抱っこで運ばれ恥ずかしさで顔を手で隠した。
「へぇ…ここ、秋人さんに付けられたの?」
指を指された場所は先日秋人に付けられたキスマークだった。
まだ印が残されている事にさらに恥ずかしさが込み上げ、自分では見えないが顔が茹蛸のようになっていると思った。
「雪ってガードが堅いのか緩いのか分からないね」
そう言って、俺の身体に圭が触れる。
また深い口づけをされて、頭がくらくらしてくる。
(恥ずかしいのに気持ちいいなんて…)
口の中を味わった後は顔中にもキスを沢山降らして、ゆっくり首筋から下に降りていく。
「雪の乳首ピンクでえろいね…」
胸の頂きを口含むとじゅっと強く吸われた。
「っ、ん…」
ふっくらと頂きが主張してくると、歯で優しく噛んだり、指先でつまんだりゆっくりと刺激が与えられる。
じわじわと与えられる甘い刺激が物足りなくなってくる。
「け、けい…」
「ふふ、胸弄られただけで感じたの?」
胸を触っていた手は俺の下半身へと伸び、少し芯を持ち始めていた性器へと触れる。
口で胸を弄られ、手でやわやわと扱かれると圭が触れたところすべてに熱が籠り始めた。
「ぁ…、んっ…」
ゆっくりと思考が解けていくのが分かった。
(気持ちいい…)
「雪は快楽に弱いんだね…」
すっかり力が抜けた身体は次の刺激を期待しているようだった。
とろとろと鈴口から零れ始めた蜜を手で絡めてぐちゅぐちゅと音を奏でながら更に擦り上げる。
「あっ、あぁ…んっ」
口から喘ぎ声が抑えることが出来ず部屋に響いた。
「雪、後向いて、ゆっくりほぐすから」
「っ、圭…前からがいい。後ろからはやだ…顔が見えないと……怖い…」
「雪は後ろから触られるのが怖いの?」
前にも圭が後ろから肩を叩いて驚いた事を言っているのだろう。
こくこくと頷く。
「電車で…よくチカンにあってたから…後ろからお尻触られたり…」
今思い出しただけでも気持ち悪い。
圭は嫌な思い出を思い出させてごめんと言って、少し体勢きつくなるけどと俺の足を抱えるように持ち上げた。
腰に負担がいかないようにと枕をひいてくれたが、それが後孔を圭の前に晒すようになってしまい、余計恥ずかしくなった。
「ここも綺麗な色してる」
後孔をつんと触られて、足を閉じそうになったのを阻止された。
(そんなマジマジと見ないで欲しい…)
ベッドのチェストからローションをとりだし、手に取ると人肌に温められたローションが後孔にゆっくり塗られていく。
「っっ…」
固く閉ざした後孔にゆっくり襞が拡がるよう指の腹が撫でる。
この身体は初めての感覚なのに、ぞくりと腰が重くなるのを感じ、本当に俺は快楽に弱いのだろうか。
(圭とこれから身体を重ねると思うと背徳感を感じた)
ちゅぷちゅぷと音を立て、指がゆっくり入ってくる。
最初は浅いところを擦り、ゆっくり拡げるように動かしてから指が奥に侵入ってくる。
(初めてっていったからゆっくりしてくれてるのかな…)
今の身体は発情期もなければ、後孔が勝手に濡れたりもしない。
その優しさは嬉しいのに、ゆっくりとした時間は俺にとって羞恥地獄だった。
「け、けい…そんな丁寧じゃなくても…」
「雪を傷つけたくない、それに雪の百面相になっていく顔もっとみたい…」
「……!」
ダメだ。圭はその行為すらも楽しそうだった。
(そんな百面相になる程顔変わってたのかな?)
こっちはもう恥ずか死にそうなのに…!
指がもう一本入り少しずつ後孔がほぐれてくると、とろとろと蜜を零していた性器を扱く。
「あ…あ…、いっしょは…」
身体の力が抜け、二本目の指がが侵入る。
指がぐぱぐぱと拡げるように襞を伸ばして内壁を指の腹で押し上げいい所を探す。
見つけたと、指の腹が前立腺に当たれば、身体は反上がるようにビクンと跳ね上がった。
「雪、わかりやすいね…」
「ひゃ、あ…あぁ…だめ…そこ…ッ」
俺の感じる場所を見るけると、意地悪するように、近くをかすめて押したり、前の扱いている性器の刺激と合わせて前立腺押し上げたり、反応を楽しむかのように身体を弄る。
ぐちゅっぐちゅっと耳を侵すように響く卑猥な音と強く刺激される前立腺からの快楽が絶頂へと導かれる。
「あぁ…ンッ、も、イキたいっ…」
「まだダーメ」
イキたいのにギリギリの所で止められ、もどかしさが更に理性を狂わす。
(い、いじわるだ…)
その頃には後孔もかなり拡がっており、指三本は簡単にはいるようになっていた。
「そろそろ入れていい?」
そう言うと自分の性器を見せつけるように後孔に擦りつける。
立派なサイズのそれは、初めての俺に入るのか?と言う凶暴なサイズだった。
ゴムを取り出して、しっかり芯を持つように擦り、ゆっくりと被せていく。
「入れるよ、雪…」
「…ん、」
優しく口づけが落とされると、ゆっくり後孔に圭の肉棒が挿入される。
吸い付くように襞が拡がり圭の亀頭を包み込んだ。
「―――ッ、はぁっ…ぅ」
「っ、くッ……」
しっかり柔らかくしたとはいえ、大きな質量が入ってくるのは苦しかった。
それでもゆっくりと隘路を進んでいく。
「雪、もっと力抜いて、俺の方が持ってかれそ…」
「んっ、はぁ……わかってる…」
自分の身体の負担の為にも力を抜かないといけないのは分かっているのに身体の中に入ってくる質量が大きすぎて身体が悲鳴を上げた。
「あ…ぅ、けい…もっと小さくして…」
「それは無理…」
クスッと笑った振動で身体がまたビクリと震えた。
呼吸が整うまで待ってくれて、優しく髪が撫でされる。
「いいよ…もう動いても」
そう言うと、ゆっくり律動が始まった。
ぐちゅぐちゅと中のローションが擦れ合って音を立てて、泡立つ。
「あっ、あぁ…っ」
奥へと入ってくる肉棒が苦しさからゆっくり心地よさに変ってくる。
もっと奥にと自然と腰が揺れた。
「あぁ…全部入った」
お互いの結合部が持ち上げられている体勢から見える。
(ドクドク波打って熱い…)
そこからゆっくり引き抜かれ、また奥まで貫かれる。
ぱちゅぱちゅっと肌がぶつかる音も激しくなり、挿入が楽になると動きが速くなる。
入口の襞が出し入れされるたび捲れて、擦れるたびピリピリと刺激が走ると口から喘ぎ声が沢山零れた。
ごちゅごちゅと中の気持ちいいところを擦って、ぞくぞくと鳥肌が立つような感覚が全身に駆け巡り身体は快楽に酔いしれていた。
「はぁっ、も…、いく、いっちゃうっ…ッッ!」
込み上げてくる絶頂に俺は指先をピンと反らせて嬌声をあげた瞬間、目の前が花火が散ったようにバチバチと光が光って散った。
「~~~ひぁ、――あああッッ……!!」
「くっ、ッッ…」
子宮があるわけでもないのに、身体は男の肉棒から精を搾り取ろうと強く締め付け、肉棒が震えたのが分かった。
それと同時にゴム越しに熱い熱を感じた。
はぁ、はぁと部屋に熱い二人分の吐息が漏れた。
「ゆき…」
名前を呼ばれて唇が重なって、深く口づけ合う。
全身が一つになるように感じた。
ずるりと性器が抜けると、手早く新しいゴムに変えて、俺はもう一度圭を受け入れた。
今度は先程よりも激しく身体を重ね合った。
「あぁ…ゆき、ゆきのなか気持ちいいッ…」
「け、い…はげしッ…」
ガツガツと腰を打ち付けて、本能のまま熱をぶつけられる。
二回目の絶頂を迎えるころには俺の身体はすっかり蕩けていた。
(う…シャワー浴びたい…でも身体動かしたくない)
圭のベッドで重なるよう倒れて、圭はそのまま寝落ちていた。
腰に手を回され、首元に顔を埋めて規則正しい寝息が聞こえる。
後から抱き疲れているのに、嫌悪感はなかった。
重い瞼がのしかかるが、このまま寝るわけにもいかず、完全に圭が寝たのを見計らって、ここから脱出を試みようとしていた。
時間は深夜を回っており、さすがに交流会も終わって、皆寝付いている時間だろう。
バレないよう自分の部屋に戻らなければならない。
ゆっくり腰に回った手を外すと、沢山ある枕の一つを挟んでやった。
がくがくする足と腰に鞭を打ち、とりあえずシャツとズボンだけ履き終えて、圭がまだ寝ているのを確認すると静かに部屋を去った。
壁をつたい、ゆっくり音を立てないよう歩き、なんとか自分の部屋の前までたどり着くことが出来た。
ポケットに入れておいた鍵を取り出し、ドアを開けようとすると、隙間から光が漏れている事に気が付いた。
(あれ、電気消し忘れたかな?)
ガチャリと扉を開けると、玄関には自分のものではない大きな靴が置いてあった。
「…………」
「雪、遅くまでどこに行っていたのかな?」
ゾクリとその声に俺は背筋が凍った。
顔をあげると、表情をごっそりと落とし顔に青筋を立て、腕を組んだ秋人が立っていた。
「…………」
「交流会を抜け出して、圭とどこに行っていたのかな……雪…」
(全部バレている…)
あれだけ圭と身体を重ね、火照っていた身体が急激に冷えたのが分かった。
(殺されるかもしれない…)
こんな表情の秋人は見た事なかった。
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