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新しい世界
勉強会はしましたが
しおりを挟む「あれ…?」
朝学校に行く前の準備をしているとカバンに同じ教科書が二冊ある事に気づいた。
(昨日片づけるときに間違えて入れちゃたのか)
授業があって困ってもいけないし、朝一で届ける事にした。
教室に向かうとすぐに渚を発見。
渚はクラスの誰よりも目を惹くオーラがあった。
「渚!!ごめんね、教科書奪っちゃってた」
「ああ、大丈夫だよ、今日その授業ないし」
「そっか」
とりあえず教科書は渡して、自分の教室に戻ろとすると俺の前に数人の生徒が現れた。
「中山雪!貴方って人は渚様を呼び捨てにした挙句、馴れ馴れしくも教科書まで貸してもらうなんてなんて図々しいのですか!」
その一人が声をあげる。
(渚のファンクラブか何かかな…)
未だに俺の事はあまり良く思われていないので、たまにこうして直接言ってくる人もいる。
渚もいるし…さて、どうやってこの場をおさめようかと思っていると、渚がひょっこりと俺の横から顔を出した。
「みんなも渚って呼んでいいんだよ?」
コテンと首を傾げるように彼らに向けた表情は天使のような笑顔だった。
(わぁ…渚は天然タラシだな…)
「そ、そんな渚様に畏れ多く…」
彼らはその笑顔をみて顔を真っ赤にして震わせた。
「とにかく授業始まるし、解散解散♪君たちも、ね」
「は、はい…」
今絶対ファンクラブの人達目ハートになってたな。
(こうやってファンクラブが出来上がるのか…)
と言う光景を目の当たりにした。
そして俺も急いで自分の教室に戻った。
「あれから変な事言われなかった?」
「ん?大丈夫。なにもなかったよ」
いつものように俺は放課後は渚の部屋を訪れた。
テスト勉強を終えると、俺は渚の部屋で特に何もするわけでもなくだらだらと過ごしていた。
渚は同じ学年で、気を遣う事もなければ、俺にも懐いてくれていて一緒にいて居心地がよかった。
「もうすぐテストが始まるって事は雪ちゃんとのテスト勉強会も終わりか~」
「生徒会でも会えるし、すぐ期末テストもくるよ」
「それもそうなんだけど、寂しいなって…なにもない日でも遊びにきてね?」
「う、うん…」
お願いするときの表情に弱い俺。
テストが終わったら圭からも遊びにおいでって言われてるし上手な距離で付き合えないものかと考える。
ちょっと近くで彼らの事見れたらいいのになって思っていただけなのに、徐々に変わりつつある日常が、そのうち身体にも変化をもたらすことに今の俺はまだ気づかないでいた。
そう、これは創造主が作った世界だと言う事を忘れていた。
………
「それで、これが今回のテスト結果か?…まぁまぁだな…」
「そりゃ秋人にとってはひどい結果かもしれないけど…」
中旬テストが終わり、その結果が出たので俺は秋人の元に訪れていた。
一応特待生枠って事だし、頑張ったつもりではあったが、渚を超えれず、学年二位だった。
前世の記憶があるのに俺ってば。
「で?渚と一緒にテスト勉強してたんだって?はかどったのか?」
秋人のその言葉にどきりとした。
どこまで知っているのだろうかと。
「う、ん。でも渚は勉強会しなくても理解してたし、俺の方が教えられっぱなしだったかな…」
「そうか…」
それ以上はとくに追及されなくて、心の中でほっとした。
それに、嘘は付いていない。言われた事に応えただけだし。
「取りあえず報告しにきただけだし、俺は戻るよ」
「雪…」
俺が立ち上がって、ドアを開けようとすると、惜しむように口づけをされた。
「んっ…ぁ…、じゃ、またね」
俺は秋人の表情をみて後ろ髪惹かれる思いだったが部屋を出た。
秋人も忙しいのだろう。
本当に引き留めるときは強引だし、それがないから、今日はここで終了。
俺は急ぎ足で自分の部屋に向かった。
(秋人に会うとペース乱されちゃうなぁ…)
キスされただけなのに身体がドクドク鳴って熱くなった。
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