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新しい世界
夏休み旅行記~王都編3~
しおりを挟む夕刻の時間になり、俺たち三人は晩餐会が開かれる会場へと向かった。
その部屋はまた金ピカに輝く黄金にと鮮やかな色合いの部屋だった。長いテーブルではなく、円卓になっており案内された席へと着いた。
まだ王様は来ていなかったけど、これから来るのかと思うと緊張する。
ソワソワとし出す侍従さん達。
ノックがされ扉が開くと扉の真ん中には王様ではなく一人の若い男性が立っていた。
けれど身分の高そうな装いに只者では無いことが分かる。座っていた俺たち三人は起立をしたと同時に第二王子様が口を開いた。
「兄さん!間に合ったのですね」
「ああ、秋人が戻ってくると聞いて外遊から直ぐに駆けつけたのさ」
「久しぶりだな煌雅」
「久しぶり秋人」
秋人の前に現れた彼は第一王子様だった。そりゃ第二王子様が居るのだから当たり前だけど。第二王子様とは違ったオーラをまとっていて、第二王子様と同じ黒髪を一本に束ねているが、顔つきは似ているようで違うなと思った。
美人系でクールな感じだな。
つい目線が離せずにいるとその視線を感じたのか第一王子様は俺の方に視線を下げる。
(やば…不躾に見すぎたかな)
美人な人の真顔って怖いよね。
慌てた俺を見て、彼はふっと笑みをこぼした。
「彼が秋人の恋人かな?」
「ああ、雪って言う。よろしくやってくれ」
「あ、秋人!?なんか紹介雑になってきてない?」
「ふふ、気にしないでくれ。秋人とは旧知の仲だ。よく真顔が怖いと言われるが…怒ってはいないので気軽に話しかけてくれ」
思ってた事がバレてるし、気軽になんか話しかけれないし!あわあわしている俺を見て三人はクスクスと笑いだす。
(全然笑えないけどー!)
そんなやり取りをしていると、扉の向こうからノックが聞こえる。侍従さん達がドアを開くと今度こそ王様が立っていた。
「父さん遅いよ」
「父上、どうせまた変わらない髪型にでも時間をかけていたのでしょう」
俺が頭を下げようとするよりも先に口を開いたのは王子二人だった。
(え、なんか会話がフランクじゃない?)
この光景にも俺があわあわしていると横で秋人が笑っていた。
「今日は雪ちゃんが居るからバッチリオシャレしないと思ってね?あ、お腹減ってるだろうから早く席に着いて夕食にしようじゃないか」
(??????)
全くのみ込めないこの状況に混乱しつつも円卓を囲って五人は席に着いき、晩餐会は始まったのだった。
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