幸せを噛みしめて

ゆう

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新しい世界

夏休み旅行記~王都編4~

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 確実に置いてけぼり感を感じている俺ですが笑顔は忘れません。謁見の間での王様とは違う人なのでは?と思うくらい王様が気さくに話しかけてくる。王様とか王子様ってもっとお堅いイメージがあったから予想外すぎる。仲がいいことは良いことだとは思うけど。その中に溶け込んでる秋人も凄いな。としみじみ。
 王様がこんな感じに気さくだから、小さい時から優秀な秋人をサポートしてたのは近衛家以外にも王様の後ろ盾があったらしい。王宮に出入りする内に王子二人は秋人を兄のように慕い、家族の様に過ごして来たらしい。

(温かくていいなぁ…)

 そんな会話を聞かされつつ、目の前には沢山の美味しい料理に舌鼓を打った。

 この和やかな雰囲気に俺も緊張感が解けたのかトイレに行きたくなってしまった。

(うーん、王様達の前で席外していいのかな…)

 生理現象だからしょうがないとは言え、離席するのは気が引ける。けれど、まだまだ終わる気配のない晩餐に俺はそわそわとしだした。

「雪?どうした?」

 そんな俺に気づいてくれたのは秋人だった。ナイス秋人!トイレに行っていいか聞いてみよう。

「ちょっと…トイレに行きたくなったんだけど離席しても大丈夫かな?」

と、もちろんこの会話は小声だ。

「ああ。ついて行こうか?雪は迷子になりそうだ」

「い、いいよ。迷ったらその辺にいる侍従さんか騎士の人捕まえるから」

 俺はすみませんと断りをいれてから、席を立つ。扉の前に居た騎士さんにトイレの場所を聞いて急ぎ足で向かった。






「………はぁ、スッキリした」

 と思わず声が漏れる。
 それにしてもトイレも凄い豪華だな。流石は王宮。トイレのデザインを裏切らない。
 金のトイレ!とまではいかないけれど、黒をメインに取手や、鏡の縁やら所々金が施されていてシンプルながら高級感が漂っていた。
 手を洗い、鏡で一通りおかしな所がないかをチェックして、俺は来た道を戻ろうとした。
 
「「…………」」

 トイレを出ると一人の男の子が立っていた。年は俺と同じくらいかな?綺麗な顔立ちをしているがどこか幼さがある。王族?貴族?の人かな。騎士でも侍従でもなさそうな綺麗な装いの彼。とりあえず頭を下げて、自分から声をかけるのもおかしな話だし、こう言った身分の高い人の対応仕方が分からないので、このまま反応を待つか、一礼したそのまま横を通り過ぎようか。そんな事を頭の中で考える。ふと鋭い視線を感じて、おもてをあげると頭の上から足の先までジロジロの見回す綺麗なブルーサファイアの目がこちらの視線を捉えた。

「お前誰だ?」

「…っ!」

 冷たく鋭い声だった。
 うーん、なんだか気難しい子かもしれない。関わらない方がいいのかもしれないと本能が言ってるような気がする。でも声をかけられた以上無下にも出来ない。

「中山…雪です。えっと今日はここに呼ばれてて…」

「…ふーん」

 年もそう変わらないような男の子なのに、威圧的な態度がどこか恐ろしい。先程までフレンドリーな王様達と居たから余計にそう思うのかもしれない。

「俺暇なんだ。ちょっと付き合えよ」

「えぇっ!?」

 男の子は俺の腕を掴むと予想以上の力で俺を引っ張って歩き出した。

「こ、困ります。まだ用事があって…」

「うるさい。俺に口答えするな」

 て、典型的な俺様だな!???
 身分の高そうな男の子に逆らう事も出来ず、俺は絡みそうになる足を何とか堪えて必死について行った。
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