幸せを噛みしめて

ゆう

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二学期

夏休みが終わる前に4

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「んっ…はぁ…」
 
 な、なんで俺は今、煌弥の前で自慰を見せているのだろう。
 こう言うのって、こっそりするわけであって、これはどう見ても視姦プレイ。
 めっちゃ真剣に見てるし勘弁してください。

 やっぱり高校生になったらそう言うお年頃だしさ。やっぱ一緒に寝るなんてやめた方がいいんだよ。
 でもなんだか集中できなくて、頑張って上下に扱いてみるんだけど、全然勃する気配がない。

「ね…もうやり方は教えたんだし、やめていい?」

「でも雪のここ全然気持ちよさそうじゃない」

 だって俺には視姦プレイにも興味がないし、抜けと言われて抜けるものじゃないだろうこういうのは。不満気な煌弥だが、これ以上はただ性器が痛くなるだけだ。

「今度は煌弥の手伝ってあげるから」

 さっさと自分のモノをしまって、煌弥の下部に手をかける。
 俺の痴態を見たせいか、すでにそこは固く反り上がっており、少し触ってやっただけでも勃っしそうだ。

「手…一緒に…」

 煌弥の手を取って一緒に包むように握る。軽く上下に擦っただけでとろりと先端から先走りが零れた。

「ん…雪…気持ちいい…」

 傍にいるからと言って耳元で囁くな。
 さっきまでは全然性的欲求なんてなかったのにゾクリと背筋が痺れる。
 徐々に蜜液が絡まってぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響いた。

「ん、はぁ…」

 速度を増して扱いてやると、どぷりと白濁を溢した。
 それを確認するとベッドの傍にあるティッシュボックスを取ろうと手を伸ばす。その手はガシッと掴まれ、そのまま俺は煌弥に覆いかぶされた。

「ッ…!?」

 手が汚れて、服も汚れちゃうよなんて言えなかった。
 目の前にあるのは獣のような目。
 一度精を吐き出して落ち着いたと思ったのに、獲物を狩るようなその目つきに俺は恐怖を感じた。

「こ…んっ」

 口はあっけなく塞がれて獣のように唇にむしゃぶりつく。唇がこじ開けられぬるりと舌が侵入はいってきて、吸い付くように舌が絡めとられる。
 その乱暴さに俺は王宮でされたことが蘇り、身体がガチッと固くなる。

(いやだ、いやだ、嫌だ…!怖い…!)

 目から涙がつつっと零れる。身体がガタガタと震えだし、それでもなんとか自分の出せる力で手を動かす。

「や、んっ…ぅ…」

 俺の抵抗にハッとしたのか、ようやく唇が解放されると、涙に気づいた煌弥がそっと目尻を舐める。

「ご、ごめん…」

 煌弥から初めての謝罪が零れて俺はハッと目を見開いた。

「あの後…兄上たちからすごく怒られたんだ…。そんなに怒られたのは初めてだった。もう雪にも会えないし、秋人を怒らせたから国がどうなるかわからないぞって、俺はまだ子供だけど国を背負ってるんだって言われて…。すごく反省したんだ。
だから本当は再開した時にちゃんと謝りたかったんだけど…雪が優しくてまた甘えてしまった。俺、雪といるとすげー落ち着くし、こうやって雪にずっと触れたいって思ってるのにまた傷つけてしまう。雪、俺どうしたらいい?雪ともっと一緒に居たいのに…」

「…っ、煌弥…」

 悲痛な表情からその真剣さが伝わってくる。その感情が一体どういうものか分からない歯痒さから暴走してしまうだけなのだ。

「大丈夫、傍に居るから一緒に考えていこう」

 人の上に立つからと言って、急いで大人なる必要なんてないんだ。ごめんなさいも言える。そしたら俺が煌弥を褒めるんだ。

「もう怖くないから」

 微笑んで見せると、煌弥もほっとしたように微笑んだ。彼の笑顔はまだ幼い。

「雪…触れていい?」

「ん、いいよ…」


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