好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう

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アンジェラ編

マリアンヌの後悔

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 ドルン侯爵邸の一室で待っていると、エミールが水差しの水を飲んだ。しばらくするとエミールがうめき始めた。もう少しすると意識が混濁するはずだ。そこへ裸でアンジェラと同じ香水をつけていけば、アンジェラと思って抱くはずだ。母も同じことをして、陛下と関係を持ったそうだ。親娘二代でそういうことをしないと抱いてもらえない。仕込まれた性技で経験が浅そうなエミールなど虜にしてやる。

 虜にするつもりだったのに、エミールはアンジェと叫んで強く抱きしめ、あっという間にこちらが翻弄されむさぼられた。幸せだった。強く愛されてるとこんな抱き方なのか。性技を仕込んだ男達のいやらしさと大違いだ。

 朝エミールの腕の中で目覚めて幸せだった。なのにアンジェと呼ばれた。一気に崖から突き落とされた。が、この男は欲しい。絶対振り向かせて見せる。


 エミールとの婚約披露パーティーにプロイ公爵令嬢のアンジェラに招待状を送りつけてやった。来てはくれないだろうけど、王太子にも送っておいた。

 パーティーでアンジェラに思い切り嫌味を言ってやったが、完璧な令嬢スマイルで流されてしまった。悔しい。エミール最愛の人を取られたんだよ。悔し涙の一つも出せないの?だから貴族は嫌い。感情はどこ行ったのよ。

 思いかけず王太子が来てくれた。ずっと目で追う。私とエミールに祝いの言葉を掛けただけで、アンジェラの手を取った。なぜなんだ。2曲も踊って、二人で楽しげに話をしている。なぜあの女が私が欲しいもの全てを手に入れているんだ。あの女が憎い。


 それからしばらくして、アンジェラが王宮の行儀見習いに上がったとドルン侯爵から聞いた。それはどう言う事と問い詰めると、王太子の婚約者候補に上がったから、教育されると言う事だそうだ。
 あの女は私が欲しいものを確実に手に入れる。あの女を殺したい。あいつがいるとあたしは幸せになれない。
 エミールにも教えてやった。絶望しているようだった。いい気味だった。
 だけど、抱いてくれたら婚約破棄してあげるかもとチラつかせていたら、義務的だけれど抱いてくれたのに、それから一切抱いてくれない。
 エミールの優しい情熱的な抱き方が恋しい。どうやったらまたあんな風に抱いてくれるのだろう。

 最近侯爵も侯爵の令息とその仲間も何か差し迫ってきたようで、私を全く構ってくれなくなった。男も調達してくれない。エミールも王太子も駄目ならもう何もない。

 王宮の国王と王妃の私室のある出入り口の植え込みで朝から晩までアンジェラを待つ日が始まった。もう一週間はここにいる。
 いた!あの女だ!夢中で襲い掛かった。飛び込んで来た近衛騎士の誰かに斬りかかられ、容赦なく斬り下げられた。
 痛い。痛い。痛い。あたしの血がこんなに出てるのに、なぜみんなアンジェラの方に行ってしまうの。



******



 冷たい地下牢に座ってる。斬られた傷にはお座なりに包帯が巻かれている。
 痛みで身体が痺れてうまく動かない。

 父さん 本当だね。王都に出てきても何にもいい事なかったよ。あの町の宿屋で看板娘していたかったな。父さん母さんと笑い合っていたかったよ。
 父さん、母さん、あたし明日の朝処刑なんだって。王族を騙った罪と王太子の婚約者への殺人未遂だって。あの女婚約者になったんだ。私がエミール取らなきゃ、あの女が王太子と婚約することもなかったかな。
 あたしのすることみんな裏目裏目に出る。
 あたしの欲しいものはみんなあの女が持っていく。あたしには何も残らない。
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