乙女ゲームの結末は

ぐう

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公爵令嬢 ナターリエ

帰国

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 アンナが駆けて行ってしまったので、仕方なく立っていると

「やあ、買い物?」

 不意に声をかけられた。顔を上げるとリボンを贈ってくれた人が優しげに微笑んでいた。

「こんにちは。このリボンありがとうございました。お気に入りになりました。」

 とお礼は言えた。なんだか焦ってしまって

「そうだ、これおひとつどうぞ。ミュンターの名産だそうです。今が旬で甘いとお店の人が言ってました。」

と籠の果物を押し付けてしまう。

「そうですって、きみはミュンターの人じゃないの?」

 果物は受け取ってもらえた。

「はい。隣の国から親戚の家に避暑にきているのです。」

 言えるところまで答える。

「学園には入学してる?」

 え!どうしてそんなこと聞くの?

「いいえ、来年入学予定なんです。それで見聞を広めるためにと連れてきてもらってます。」

 こんな答えでよかっただろうか?

「私は今一年生だよ。学園で会えるね。よろしく。」

 嬉しい!また会えるの?気持ちが弾んで

「はい!こちらこそよろしくお願いします。」

 と答えた。目と目が合った。頬に熱さが昇ってくる。でも、アンナが駆けてくるのが見える。アンナに見られたくなかった。

「あ、連れが探してます。これで失礼します。」

 礼だけしてアンナに向かって駆けて行く。ああ、礼儀知らずに思われなかったかなと気に病んでしまう。俯いてとぼとぼ歩いていると

「お財布ありました。さっきの店で落としてました。お嬢様聞いてますか?」

アンナに覗き込まれる。

「早く帰ろう!」

強引にアンナの手を握って歩き出す。

 これはなんなのだろう。ハッと思いつく、名前聞いてない。学園だって広かった。会えるのだろうか。たとえ会ってもどうなると言うのだろう。私は普通の家の娘ではない。軽蔑されておしまいになるのだろうか。目の奥が熱い。泣きたくない。自分の境遇を可哀想なんて思いたくない。

 戻ったらオットーとノーラも忙しそうだった。明日の朝早く帰るので、早く寝るように言われる。二人にとって私はいつまでたっても幼児なんだなと、なんだかホッとしてしまった。親の愛を受けてない私でもこの二人の愛で人間らしく生きていけるだろう。
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