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「もういいです。これ以上の話を聞く気力がありません。今日は夕食もいりません。休ませてもらいます。リリーを呼んでください」
レオンハルトは吐き捨てるように言うユリアを悲しげに見つめて、リリーを呼びに部屋の外に出て行く。
リリーが慌てて入ってきて、お湯の支度と就寝の支度を始める。
「今日は一人で湯あみするから支度だけをして下がって」
湯気の上がる浴槽にずるりと身を預けると、先程のレオンハルトとの会話を思い出す。
ユリアは子供の頃からレオンハルトが好きだった。でも嫌われて諦めたのだろう。父親が婚約解消してくれないから、学園でこけにされても我慢するしか無い。だったら自分の莫大な持参金を上手く使って、公爵家を立て直してレオンハルトと父親から解放されたくて、勉強も頑張ったのだろう。
なのに解放される前にこけにされていた女に突き落とされて殺されてしまった。
自己犠牲を強いられた、かわいそうなユリア。今の私だったらどうするだろう。ユリアであってユリアでない私は、レオンハルトにぎゃふんと言わせたい。
マリアは今は平民だ。平民が貴族、それも公爵夫人を殺そうとしたわけだから極刑だ。マリアへの復讐はこれでいい。
レオンハルトは、なんだか色々言い訳がましいことを言っていたが、マリアの色仕掛けに落ちたのは事実。凋落する公爵家を目の前にして、色に溺れた愚か者。
私がこのままレオンハルトの手を振り切ってエーレンフェスト家に戻れば、あの男はしばらく被害者のようにしていても、そのうち誰かと恋愛して家庭を築いて幸せになるだろう。そんなのは許せない。ユリアを犠牲にしての幸せなんて、手に入れさせない。
そう決めて、浴槽から立ち上がり、髪を洗った。本当に平凡なブラウンの髪。でもハーブの香油でしっかり手入れされて艶がある。ユリアはどれだけ自身にコンプレックスがあったのだろう。
リリーが支度してくれた夜着に着替えた。ふと思いつきクローゼットの中のここに着て来た服のポケットに手を入れて、階段で拾った片方だけのイヤリングを出して、ナイトテーブルに置いた。
覚えはないのに、とても大事なもののように感じる。付いている宝石も高いものではない。なのに大事に思う気持ちが確かにある。
そこにレオンハルトがワゴンを押して入ってきた。
「お腹は空かない?軽食を作らせた。寝る前のハーブティーも持ってきたから飲まないか」
「……ありがとう。いただくわ」
レオンハルトがカップをナイトテーブルに置いて、イヤリングに気がついた。
「これは!あなたはこれを捨てないで持っていてくれたのだね」
「前の邸の階段で拾って、捨ててはいけないと思えて持って来てしまいました」
レオンハルトは嬉しげに微笑んだ。
レオンハルトは吐き捨てるように言うユリアを悲しげに見つめて、リリーを呼びに部屋の外に出て行く。
リリーが慌てて入ってきて、お湯の支度と就寝の支度を始める。
「今日は一人で湯あみするから支度だけをして下がって」
湯気の上がる浴槽にずるりと身を預けると、先程のレオンハルトとの会話を思い出す。
ユリアは子供の頃からレオンハルトが好きだった。でも嫌われて諦めたのだろう。父親が婚約解消してくれないから、学園でこけにされても我慢するしか無い。だったら自分の莫大な持参金を上手く使って、公爵家を立て直してレオンハルトと父親から解放されたくて、勉強も頑張ったのだろう。
なのに解放される前にこけにされていた女に突き落とされて殺されてしまった。
自己犠牲を強いられた、かわいそうなユリア。今の私だったらどうするだろう。ユリアであってユリアでない私は、レオンハルトにぎゃふんと言わせたい。
マリアは今は平民だ。平民が貴族、それも公爵夫人を殺そうとしたわけだから極刑だ。マリアへの復讐はこれでいい。
レオンハルトは、なんだか色々言い訳がましいことを言っていたが、マリアの色仕掛けに落ちたのは事実。凋落する公爵家を目の前にして、色に溺れた愚か者。
私がこのままレオンハルトの手を振り切ってエーレンフェスト家に戻れば、あの男はしばらく被害者のようにしていても、そのうち誰かと恋愛して家庭を築いて幸せになるだろう。そんなのは許せない。ユリアを犠牲にしての幸せなんて、手に入れさせない。
そう決めて、浴槽から立ち上がり、髪を洗った。本当に平凡なブラウンの髪。でもハーブの香油でしっかり手入れされて艶がある。ユリアはどれだけ自身にコンプレックスがあったのだろう。
リリーが支度してくれた夜着に着替えた。ふと思いつきクローゼットの中のここに着て来た服のポケットに手を入れて、階段で拾った片方だけのイヤリングを出して、ナイトテーブルに置いた。
覚えはないのに、とても大事なもののように感じる。付いている宝石も高いものではない。なのに大事に思う気持ちが確かにある。
そこにレオンハルトがワゴンを押して入ってきた。
「お腹は空かない?軽食を作らせた。寝る前のハーブティーも持ってきたから飲まないか」
「……ありがとう。いただくわ」
レオンハルトがカップをナイトテーブルに置いて、イヤリングに気がついた。
「これは!あなたはこれを捨てないで持っていてくれたのだね」
「前の邸の階段で拾って、捨ててはいけないと思えて持って来てしまいました」
レオンハルトは嬉しげに微笑んだ。
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