すまない。私は真実の愛に巡り合ってしまったんだ。君とは白い結婚になる。

ぐう

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第二部

14





「なぜ私なのですか。ユリウス様の方が家格も上だし、側近としては地位も上だし……」

「態度の差じゃないか?私はこの国の女性とどうにかなるつもりは無かったから最初から辛辣だった。ジークハルトは優しかったからじゃないか?だから昨夜釘を刺した」

 ええええーーーーー

「来る時に言ってほしかったです……」

 自分なら簡単に落とせると思われたわけか……なんか変わってない自分が悲しい……

「ジークハルトは女に優しいからな。来る時に釘を刺しても聞く耳持ったかどうかわからない」

 それはちょろいと言う事でしょうか。傷がじくじく痛み出しましたよ。

「こうなったら調印の詳細を詰めてすぐ帰ろう。帰っても正式に申し込みが来るかもしれないので滞在中は徹底的に甘い顔見せるなよ」

「わかりました。頑張ります」

 どうしてこんなに女運が悪いんだーーーー出会った女性でミケーレ以外誰一人打算のない女性がいなかった事に気がついてしまった可哀想なジークハルトでした。

 国に帰ったら母に頼んで見合いさせてもらおう…恋愛は無理だーーーーーと心の中で叫んだ。


 それからジークハルトは徹底的にまとわりつくエレーナを避けた。頑張って避け続けて全ての事務処理が終わった日にキッシュ侯爵と首謀者達が絞首刑になった。前国王に麻薬を盛った罪と反逆罪で国王が裁いて絞首刑が言い渡された。
 王都に兵を集めてクーデターを起こし、ルイーザを麻薬漬けにして女王に即位させて操るつもりだったらしい。この国の深刻な貧困には全く目を向けず自分達が権力を持てばそれでよかったらしい。国が崩壊する方が先かもしれないのに呑気なものだ。

 キッシュ侯爵に加担した貴族達にはこれから裁きが待っている。領地は全て召し上げられて地下牢に入れられている。ーーエレーナの婚約者だった男もだそうだ。ーーー


 ルイーザはキッシュ侯爵の懐に入って証拠を掴もうとして加担した振りをして、クラリッサの出生疑惑の証言やクーデターの兵を集める文書などを持ち帰ってきたが、ウーラントの使節団を襲いやすいように使用人と警備を下げた事は許されなかった。ウーラントとの国際問題になるからだ。王位継承権を放棄させられて王族からも追放された。グレン・ヒュベックの治療に付き添ってひっそりとヒュベック公爵の領地の片隅で暮らすそうだ。


「つまりルイーザはグレンの治療法を知ってると言うキッシュ侯爵の甘言に騙されたわけだ」

 後は帰るだけになったジークハルトとユリウスが二人で夕食をとっている。最後なのでご一緒にと言うエレーナのしつこい懇願を無視して男二人で自室で食べているのだ。

「それは治療法はないと言う事ですか?」

「初期なら無理矢理隔離してなんとかなるが、中毒になると難しいらしい。元々側妃を真似てクラリッサも麻薬を人に使っていた。グレンはルイーザに麻薬を使われたくなかったら言うことを聞けと脅されて『真実の愛に巡り合ってしまった』という茶番をやったらしい。当時は前国王が生きていたからクラリッサに逆らえなかった。でもクラリッサは伯爵令息に惚れ込んでしまったのでグレンが邪魔になり麻薬漬けにして放り出したわけだ」


 うーんグレン・ヒュベックは真実の愛の馬鹿者ではなかったんだ。仲間だと思ったのに!

「酷すぎますね。そんな女が我が国の王太子妃にならなくてよかったです。あれ?そう言えばクラリッサは?」

「平民に落とされてから、貴族に対する殺人未遂・脅迫・毒殺・他国の王太子の殺人未遂など数え切れない罪で貴族じゃないから裁判もなく絞首刑なんて優しいものじゃない処刑をされた」

「母親の側妃は?」

「前国王と同じく衰弱して心臓発作で死んだ。死んでも罪状を明らかにされて父親と家族と一緒に罪人として王族どころか貴族からも除名された」

「まあ自業自得でしょうね」

「これから残りの貴族の処刑が始まると、恨みで反動は大きい。エレーナとの縁談は本当に舞い込むかもしれないな」

「怖いこと言わないで下さいよ」

「帰ったら侯爵ときちんと対策した方がいいと思う。さっさと誰かと婚約するとか」

「相手がいませんよ。ユリウス様は大丈夫なんですか?」

 ユリウスが意味ありげに笑った。
 え!もしかして相手がいるーーーー
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