NEXT LIFE ONLINE

髙﨑 レイ

文字の大きさ
52 / 61
弐章 最初のイベント

1週間後とイベント告知

しおりを挟む
 綿津見神社の件から1週間後。僕たちは慌ただしい日々を過ごしていた。栄治の世界大会に向けての訓練や楓の稽古に家の道場の子守などやるべきことがたくさんあったからだ。
 それでもNEO‘Sにログインするのはこの環境が楽しいからだろう。
「ようやく春休みだぜー!」
 そう。学校が春休みに入ったのだ。高校生活始めての春休み。我がクラスはその特殊性故に定期考査に普段の授業こそ厳しいがこの長期休暇は登校日はおろか課題の一つもない。…ようはその間に仕事を束ねろという意味だが僕とエージそしてメイはこの空間の方が効率が良いこともありほぼ毎日のようにログインしている。
「元気わねエージ」
 カチャリ。コップを置く音こそ立てたが優雅にセリアが寛いでいる。
「そうですね。まあ健康なのは良いことでは」
 軽く紅茶で喉を潤しながら雑談をしている。
「そう言うお主はなんかくたびれておるが如何した?」
 すぐ近くで刃物を研いでいたガンテツさんから聞かれた。あれサーベルかな?
「色々と訳ありです。ところで何故此処に?」
「?私たちのホームだからだけど?」
 そう。この会場は【クラフト】がホーム【クラウン】の屋上テラスである。そよぐ風が心地よい。
「今度は花見でもするか?」
「良いわね。…ところでメイは何してるの?」
 僕の膝下を見るとそこには膝枕にて執筆中のメイがいる。確かにこの光景じゃあ何しているか訳わからんな。
「誠意執筆中ですね。かなり独特だとは思いますが」
 頬をプニプニと突くと何故かニッコリと微笑みを向けてきた。解せぬ。
「ここ最近、殺伐としたり鬱展開が多かったのかべったりなんですよ」
「なるほどね。で何処で?」
「リアルの家で。もうそろそろ満開のはずですから」
 我が家の野外練習場は現在7分咲きの桜がたくさんある。あの周辺はお昼寝するのも心地良いのだ。管理もこの前職人を呼んだのでもう済んでいる。
「ああ凄いわねあの家」
「代々継承してきただけですよ。というか如何なんですか?」
「私たち以外はそう居ないみたいね。別に討伐する必要はないとは思うのだけど」
 あのwクエスト【森塞ぐ熊の要塞】をクリアする必要も僕たちの攻略により必要なくなったので今、第二の町周辺は人が集中しておりあのクエストで大量にレベルを上げた僕らはこうしてゆっくりできるのだ。どこかの無限の系統樹にそっくりだ。
「無理でしょう。あの時はあまりにも個人技に頼っていましたしβ最強に継承者および最高峰クランと最高峰装備にリアルからの技術で異能者も異能も行使していましたので」
 現状の最強レイドで挑んで何人もがその切り札を迷わず使い指揮官も優秀で自由に遊撃できる万能型が居なかったし常に属性を帯びる事もほぼ不可能だろう。
「そうだよね。私もそうだけど祝福も使って【マルクト】もあって師匠と弟子たちの遊撃もないわけだから」
「優っているとしたら戦技アーツ運用でしょうが瞬間火力と連鎖ダメージでも結局のところ術理を応用した方が勝りますし試練者ですから」
 現状、試練者について知られることは少ない。何せ運営側が一切の情報を伏せておりその条件に一致性はほとんど無い。唯一あるとしたらプレイヤースキルだろう。ちなみにガンテツさんもつい昨日【亥之刻継承者候補】になっている。ちなみに僕も【子之刻継承者候補】にもなっており【辰之刻】についても【見習い】への試練クエストの前提クエストが一昨日解放されている。ただ現状だと大分先の気がするので暫くは放置することにした。

「でコレね。凄いわね」
「ほう作りは良いのう」
 【白咎】を見た2人がそう零す。現物に触れることが多い僕でもそうだが仮想世界で幾つもの作品を見てきた2人でさえも感嘆の意を持っている。
「【白萩】だっけ?如何なの?」
「銀に近い気もしますが特性がイマイチ」
 こうゆったりとしているのは全装備品をメンテナンスしているため。辰之剣ドラゴスレイブ辰之銃ファブニルス以外だとほぼ使いようのない普段着だ。
「不明ね。一応解析を進めておくわ」
「頼む。って運営からのお知らせ?」
 1人でにメニューが立ち上がると最上部にそのウィンドが開かれる。
「ついに来たわね」
「ようやくじゃからの」
「何がですか?」
 生憎と公式サイトすら見ていないためか最新情報は身内を通してしか知らない。…だってアイツら独自に情報仕入れて公開日に色々とまとめてくれるから。
「「公式イベント告知!!」」
 2人のハモった声と同時に動画が再生され始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...