【完】伯爵令嬢なのに義母と義妹に追い出されましたが、運命の人に出会えたので幸せです

咲貴

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第三話


 ダルトリー伯爵家から追い出された私は、遠縁のペンバートン子爵家を頼り、養女になりました。
 追い出される前に連絡を取り、いつでも向かえるようにしておいたので、狩りのために乗っていた愛馬を走らせ子爵家へ向かいました。
 ペンバートン子爵家は王都で大店を営んでおり、生活用品から食品まで手広く取り扱っています。
 その商店で扱う兎肉が最近品薄だと聞き、実家では食料は自分で調達せざるを得なかったため、狩りが得意になっていた私は、近郊の森に狩猟に出ました。
 良さそうな兎を見つけ弓矢で狙っていた際、近くで大きな馬の嘶きが聞こえ視線を向けると、二頭の馬が野犬の群れに襲われている所でした。
 私は咄嗟に兎から野犬へと標的を変え、一匹を仕留めると、他の野犬達を追い払うことが出来ました。

「大丈夫でしたか?」
「ありがとうございます、助かりました。とても良い腕をされていますね」

 二頭の馬に駆け寄ると、馬に乗っていたのがレナルド様と従者の方だったのです。
 レナルド様と目が合った瞬間、目を離すことが出来なくなりました。
 それは、レナルド様も同じだったようで、その場で求婚されました。

 その後、舞踏会までの間にお互いの事を話す中で、あの二人の事も当然話しました。

「何という人達だ!厚かましいにもほどがある‼︎」

 レナルド様は我が事のように怒ってくださり、すぐにでも処罰しようとしてくださいましたが、私はせめて舞踏会まで待っていただくようにお願いしました。

◇◇◇

 私、性格が悪いんです。
 誰も見てないところで捕まるなんて面白くない。
 沢山の観衆の中で、大恥をかいてもらうくらいしなくては、気も収まりません。

「――シンシア。生涯、君だけを愛すると誓おう」

 レナルド様が片方だけ膝をつき、私の手を取り手の甲にキスをされました。
 皆さんの目があるので少し恥ずかしいですが、私もレナルド様の言葉に応えます。

「私も、生涯、レナルド様だけを愛すると誓います」



 ――一月後。
 王城で盛大な結婚式を挙げ、私は王太子妃になりました。
 外交なども任され、充実した忙しい日々を送っています。
 ダルトリー邸に勤めていた使用人の皆さんを、王城勤め出来るようにしてくださったレナルド様に感謝しています。

 そして、舞踏会の日に捕らえられたあの二人は、愛人には逃げられ、平民になり国外追放。
 風の噂では、親子二人で春を売り生活していたそうですが、流行病をうつされそれも出来なくなり、路地裏に転がっているそうです。
 今はあの二人が地面に這いつくばっているわけですね。身から出た錆ですよ。

感想 1

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みんなの感想(1件)

柚木ゆず
2021.04.14 柚木ゆず

完結した作品欄でお見掛けし、お邪魔しております。

テンポがよく、もちろん、内容も素晴らしく(登場される方が、しっかりと立っていて)。おかげさまで、よい時間を過ごすことができました。

今日は調子があまりよくないので、明日となってしまうのですが。
作者様の、ほかの作品にも、お邪魔をさせていただきます。

2021.04.14 咲貴

感想ありがとうございます!
褒めていただいて恐縮です。

他の作品まで読んでいただけるなんて、嬉しいです。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
お体大丈夫でしょうか?どうかご自愛ください。

解除

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