婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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Sクラスの守護者

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「まずは殿下とジゼルの土人形を作ります。」

ジョシュアは私そっくりの土人形を魔法でつくりましたが、シリウス様と私で出来栄えが微妙に違う辺りがジョシュアクオリティだと思いました。

「次にステルスを私たちにかけます。襲撃者たちの前では極力喋らないで下さい。」

ジョシュアは光と水の混合魔法のステルスを発動し私達の姿隠しました。

「てっきり私たちを帰すかと思っていた。」

「二人を帰すと監視がいたらバレます。更に私はジゼルと離れたくないですし、一番安全なのは私の側です。」

「「確かに。」」

私とシリウス様は大人しくジョシュアに従いました。
少しすると足音が聞こえ、扉が開きました。
その人物は小柄。

「ダメヤバ―男爵令嬢?!」
「ヤバメ―ダ男爵令嬢!」

「バーダメヤよ!失礼ね!!ってなんで声が出せるのかしら……」

つい叫んでしまった私とシリウス様は急いで口を塞いだ。

「まあいいわ。久しぶりね!あんた達の所為でホント散々な目にあったわ!!これからたっぷりお礼してあげるから覚悟してなさい。」

それだけを言いたかったのかバーダメヤ元男爵令嬢は笑いながら出て行った。

「これで手引きした人物は分かりましたね。サインの魔法で追跡は可能にしたので少し距離をとって追跡しましょう。」

ジョシュアは扉を少しだけ開くと風魔法で睡眠香を流しました。
すると、扉の向こうで人が倒れる音がし、静かになったのを確認して扉を開けました。
どうやら見張りは四人いたようで仲良く寝ていたので蔓でグルグル巻にするとジョシュアが羨ましそうに見ていたので気のせいにして進みます。

要所に何人か人がいたので同じ要領で進み続けると、立派な扉に行きあたりました。
そっと扉を開けると中にはバーダメヤ元男爵令嬢とあまり上品とは言えない服装の男性が話をしていたがあまり聞き取れずヤキモキしていると、ジョシュアが拡張機を取り出し話を聞けるようにしました。

「ガツメン様~作戦成功ですね!」

「ミリ―お前もたまには役に立つな。その身体が平らで無かったら愛人にしてやったのに。」

「ちゃんとガツメン様のお好みの子を紹介て差し上げたじゃないですか~」

「うむ、ジゼルたんは素晴らしい!!あの溢れんばかりの胸、ビスクドールのように滑らかそうな肌うなじも最高だしもう早く剥いてしまいたい!」

聞かなければ良かったと激しく思いました。
果てしなく気持ち悪くて吐き気がします。
チラッとジョシュアの方をみると殺気が凄くて怖かったので、助けを求める相手を間違えたと思いシリウス様をみると祈りのポーズをとっていました。

「命だけは取らないように。」

「分かりました。命だけです。ジゼルはこれ以上汚いものに近づけたくないので殿下とお留守番してて下さいね。」

「……はい。」

その後、シリウス様と私の周りを分厚い氷が覆い隔離されました。

「シリウス様、暇なのでゲームでもしましょう。」
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