甘い言葉を囁いて

聖 りんご

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レン兄さましか知らない私の秘密。

私の目は見えないけれど代わりに空間把握能力と他の感覚が発達しているようで実は一度通った場所は普通に
歩けたりする。
自分の周りにいる人間しょうがいぶつも分かるのでぶつかったりもしない。

私の目は皆が見ている世界の色の無い版ってとこれかな。
もちろん人の顔も一度触らせてもらえば思い浮かべられる。
これはレン兄さましか知らないお話で私に関心の無い両親も知らない。

そして実は勝手に一人で出歩いたりするのはレン兄さまにも秘密。
だって自分の世界が広がっていくなは楽しいもの。

という事で、私は寝ている事にして髪の毛を三つ編みにして隠していたメイド服に着替えると良く先ずは噂に詳しいランドリーメイドのミンネに会いに洗濯場に来た。

「ミンネ。」

「ミーユ!久しぶりね。最近は顔を見なかったけどどうしたの?」

「ちょっと忙しかったのよ。ところでご子息の婚約者様の噂、何か知ってる?」

「婚約者様ってラブラード準男爵家の一人娘よね。ご子息様は見る目がないわ。あれは相当な野心家よ。婚約してからも少しずつつまみ食いしてたみたいだけどとうとう公爵のご子息にも手を出したみたい。」

「つまみ食い…?」

「やあね~。男女の仲って事!街でデートしてる姿が結構目撃されてるみたいでね、腕組んで親密そうだったって。もしかしたら乗り換える気かもね~。」

つまみ食い…乗り換える?え…レン兄さまを弄んだって事?
それが本当だったら許せないっ!!
あ、もしかしたらレン兄さまはこの噂を知ってるんじゃ…。

「ねぇミンネ。目撃情報ってどの辺が多いの?」

「え?そうね……カフェとかアクセサリーショップとか?後は語らいの丘に行く姿が良く見られてるみたい。」

語らいの丘か…確かロマンチックな話があって恋人達が逢瀬に使うスポットだったわね。
メイド達に紛れている時に聞いた事はあるけど行った事は無いから一人では行けないわ。

「ミンネ、面白い話をありがとう。またね!!」

「あ、ちょっとミーユ!」

私は予定より早く自室に戻って元の服に着替えると車椅子に座る。

とりあえず良い情報は貰えたけど…ん~レン兄さまに連れて行ってもらう…?
でももしかしたらバッタリ浮気現場に遭遇しちゃうかもしれないし…ん~いきなりバッタリ遭遇なんて凄い確率だし無いわね。

今日の夜にレン兄さまに行きたいっておねだりしてみよう。
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