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わんわんまかろん
頭痛の原因
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授業を受けながら、夢の内容を思い出そうとしていた。ぼんやりとした景色の中で確かな誘拐殺人……。情景を全て思い出そうとすると、頭が酷く痛み、それ以上考えることはやめておくことにした。世界史の授業は遥かにつまらなく、ミコトはこっそり音楽を聴いて過ごした。
最後の五時限目の授業が終わると、またもや、ユースケが攻撃を仕掛けてきた。
「痛いな、もう」
いつものことだと不愛想にミコトは放った。
ユースケはかまわず話しかけてくる。
「なぁなぁ、夏休みが近いだろ。夏休み海にでもいかないか?それかキャンプでも良いぜ、無難にゲーセンもアリだな……」
それを聞いて呆れて溜息をつくミコト。
「笹森、絶対嫌だ」
そう言ったものの、ユースケの誘いは十五分と続いた。
「全く片桐は、つれないなぁ」
「で、俺はどこにも行かないぞ」
「それじゃ、せめて連絡先でも交換してくれ!」
渋々頼み込噂ユースケ。ミコトは次に言うセリフが、「一生のお願い」であることはもうわかっている。
「一生のお願い!」
わかっていたが実際に言われるとなんだかだるいものだ。
一瞬渋ったが「仕方ない」と言い、ミコトはスマートフォンをポケットから取り出す。四ヶ月経ってもいまだに連絡先すら交換していなかったとは驚きだ。
「これ、俺の番号」
「サンキュー!これで俺達は友達だ」
ミコトの肩を勢いよく抱くユースケ。
ミコトとユースケは連絡先を交換して、お互いの帰路へついた。
下校途中ミコトはコンビニを通った。ふと、何か思い出したような気がした。
――ガチャを回す……少女……顔つきは……
ふと、夢の記憶を思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる。そうなると、考える気力もゼロに等しくなってくるのだ。
――……体調でも崩したのかな。
頭痛の原因がわからないミコトは頭を軽く振ったり、走ったりして、気を紛らわして帰った。ようやく家に着いたミコトが重い頭を上げ、ドアを開けると元気な声が聞こえてくる。
「おっかえりーなのです!」
一足先に中学校から帰ってきた相変わらずなリンカの声で、少しだけ疲れが飛んでいく。
「ただいま、今日も疲れた」
玄関で靴を脱ぐミコトが嘆いた。
「ノノちゃん風味カルボナーラで元気出してください!」
リンカはいつでも元気で笑顔を絶やさない。
「いつもありがとう、リンカ」
ミコトはそう言うと、食卓へと着くため急いだ。
「いただきます」
いつも通りの食事が行われた。
「召し上がれ」
リンカは嬉しそうに答える。
――うん、今回もハズレ無しの美味さだ!
うんうんと頷き、料理の美味さを確信した。
堂々と台所に立っていたリンカは、ミコトがカルボナーラを美味しそうに食べる姿を見ては終始ニヤニヤとしている。
こんな日常が毎日続けばいいのに。
ミコトはそう思うと、ふと、あの時の夢の記憶が過ぎった。
――いやっ来ないで!――
鮮明でない記憶が曖昧になり困惑した。何か……忘れているような……。食卓を終え、立ち上がると再び立ち眩みがした。
「お兄ちゃん大丈夫ですか?」
リンカが心配そうにミコトの顔を覗く。
「少し体調が悪いようだ」
それを聞いたリンカは、リビングに入ってすぐ手前にある棚の上に置かれてあった応急箱から、鎮静剤を取り出した。
「これで少しでも良くなるように、はい!」
鎮静剤もだが、リンカの笑顔と元気も多少の薬になるんだよな、とミコトは表情を揺らがした。
翌朝、リンカのノノちゃん風味ムニエルを食べて、玄関で靴を履いた。
「お兄ちゃん気を付けてなのです!」
「リンカも気を付けて」
仕度を終えたリンカは元気に頷くと「行ってきます」と言い、ミコトと別の道を歩いて行く。
「行ってらっしゃい」
ミコトがリンカの小さな背中に向かって優しく言う。
露出した腕や首からじわじわと汗が噴き出してくる。耳を伝った汗が首筋まで下りてきて、ミコトを打ち震わせた。
夏は――まだ長い。
最後の五時限目の授業が終わると、またもや、ユースケが攻撃を仕掛けてきた。
「痛いな、もう」
いつものことだと不愛想にミコトは放った。
ユースケはかまわず話しかけてくる。
「なぁなぁ、夏休みが近いだろ。夏休み海にでもいかないか?それかキャンプでも良いぜ、無難にゲーセンもアリだな……」
それを聞いて呆れて溜息をつくミコト。
「笹森、絶対嫌だ」
そう言ったものの、ユースケの誘いは十五分と続いた。
「全く片桐は、つれないなぁ」
「で、俺はどこにも行かないぞ」
「それじゃ、せめて連絡先でも交換してくれ!」
渋々頼み込噂ユースケ。ミコトは次に言うセリフが、「一生のお願い」であることはもうわかっている。
「一生のお願い!」
わかっていたが実際に言われるとなんだかだるいものだ。
一瞬渋ったが「仕方ない」と言い、ミコトはスマートフォンをポケットから取り出す。四ヶ月経ってもいまだに連絡先すら交換していなかったとは驚きだ。
「これ、俺の番号」
「サンキュー!これで俺達は友達だ」
ミコトの肩を勢いよく抱くユースケ。
ミコトとユースケは連絡先を交換して、お互いの帰路へついた。
下校途中ミコトはコンビニを通った。ふと、何か思い出したような気がした。
――ガチャを回す……少女……顔つきは……
ふと、夢の記憶を思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる。そうなると、考える気力もゼロに等しくなってくるのだ。
――……体調でも崩したのかな。
頭痛の原因がわからないミコトは頭を軽く振ったり、走ったりして、気を紛らわして帰った。ようやく家に着いたミコトが重い頭を上げ、ドアを開けると元気な声が聞こえてくる。
「おっかえりーなのです!」
一足先に中学校から帰ってきた相変わらずなリンカの声で、少しだけ疲れが飛んでいく。
「ただいま、今日も疲れた」
玄関で靴を脱ぐミコトが嘆いた。
「ノノちゃん風味カルボナーラで元気出してください!」
リンカはいつでも元気で笑顔を絶やさない。
「いつもありがとう、リンカ」
ミコトはそう言うと、食卓へと着くため急いだ。
「いただきます」
いつも通りの食事が行われた。
「召し上がれ」
リンカは嬉しそうに答える。
――うん、今回もハズレ無しの美味さだ!
うんうんと頷き、料理の美味さを確信した。
堂々と台所に立っていたリンカは、ミコトがカルボナーラを美味しそうに食べる姿を見ては終始ニヤニヤとしている。
こんな日常が毎日続けばいいのに。
ミコトはそう思うと、ふと、あの時の夢の記憶が過ぎった。
――いやっ来ないで!――
鮮明でない記憶が曖昧になり困惑した。何か……忘れているような……。食卓を終え、立ち上がると再び立ち眩みがした。
「お兄ちゃん大丈夫ですか?」
リンカが心配そうにミコトの顔を覗く。
「少し体調が悪いようだ」
それを聞いたリンカは、リビングに入ってすぐ手前にある棚の上に置かれてあった応急箱から、鎮静剤を取り出した。
「これで少しでも良くなるように、はい!」
鎮静剤もだが、リンカの笑顔と元気も多少の薬になるんだよな、とミコトは表情を揺らがした。
翌朝、リンカのノノちゃん風味ムニエルを食べて、玄関で靴を履いた。
「お兄ちゃん気を付けてなのです!」
「リンカも気を付けて」
仕度を終えたリンカは元気に頷くと「行ってきます」と言い、ミコトと別の道を歩いて行く。
「行ってらっしゃい」
ミコトがリンカの小さな背中に向かって優しく言う。
露出した腕や首からじわじわと汗が噴き出してくる。耳を伝った汗が首筋まで下りてきて、ミコトを打ち震わせた。
夏は――まだ長い。
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