下町育ちの侯爵令嬢

ユキ団長

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18、わたしの気持ち。

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  学園に帰る馬車の中でエドガー様の様子が変だったことが気になった。
  どうしたのかな?何だか、すごく辛そうな顔をしていた。
 「ユインティーナの恋人は随分大人なんだな。」
 「12歳年上なの。」
 「どんな風に知り合ったのか聞いてもいいか?」
 「子供の頃からの知り合い。」
 「それってロリコン なんじゃないのか?」
 「かもね。好きだと言われたのは最近だけどずっと前から好きだったみたい。」
 「それに何か持ち物にトレース魔法をかけられていないか?さっき店の前で待ち構えていただろ。」
 「これに掛かっているのかもね?」
  わたしは琥珀の髪飾りを外して見せた。
  そうか、偶然じゃなかったんだ。店の前でずっと待っていたんだ。

  翌日、わたしは学園を休んで寮から抜け出した。サーシャにはどうしても必要な事だと言って協力してもらった。
 「お酒だけは飲んじゃダメですよ。」
  そう言いながらもサーシャは送り出してくれた。
 
  わたしは例の抜け穴から抜け出してキーレンの森に向かった。
  魔獣が出る森に一人で入るのは危険なことだ。わたしはスポットと呼ばれる場所に向かった。スポットには不思議なことに魔獣が出てこない。
  わたしはアンベール副団長、エドガー様に教わったスポットで彼を待った。もし髪飾りにトレース魔法がかけられているなら、わたしがこんな場所にいれば彼は探しに来ずにはいられないだろう。

  しばらく待っていると人の気配がした。
 「エドガー様、いるんでしょ。」
  森の中からエドガー様が現れた。
 「やっぱり髪飾りにトレース魔法がかけられているのね。」
 「ああ、そうだ。君はこんな場所で何をしている?」
 「エドガー様と話をしようと思って待っていたの。」
  エドガー様が辛そうな顔をしてわたしを見た。
 「俺のことがイヤになった?」
 「わたし達恋人同士になったけど、ちゃんとお互いに考えていることを話してないって気がついたの。」

 「俺は前にも言ったけど君のことが好きだ。多分初めて君を見た時から。」
 「初めて会ったのは冒険者を始めてからだから、わたしが10歳のとき?」
 「・・・・・、」
 「正直に言って。」
 「君が8歳の時だ。仕事の関係で君を見た。」
 「ロリコンだろうとは思っていたけど重症ね。」
 「違うんだ。君以外の幼女に変な気持ちになったことは無いし、成長した君の方が好きだ。」
 「そんなエドガー様を好きになったんだから、わたしも同罪かな?わたしは多分、10歳の頃からエドガー様が気になってた。エドガー様にわたしを見て欲しくて色々とイタズラしたの覚えている?」
 「トカゲを俺のポケットに入れてきたり?」
 「そう、少しでも長く一緒にいたかったの。それが恋愛感情だって気づいたのは最近だけど。」
 「君が俺を好きだと言うのは下町を恋しく思って、その代償行為だと思っていた。」
 「それなのに婚約しようとしていたの?」
 「君が勘違いしている内に俺のものにしてしまうつもりだった。」
 「エドガー様ってもっと大人だと思ってた。」
 「嫌いになった?」
 「ううん。エドガー様が近くなった感じ。」
  エドガー様が安心したように微笑んだ。
 「わたし、エドガー様の笑った顔が好き。」

 「最近俺のことを怖がっていただろう。」
 「今もすこし怖いよ。」
 「俺が君を性的な目で見るから?」
 「そうだけど、違う。わたしを変な目で見る人は昔から沢山いたけど、そんなのは平気なの。だって蹴っ飛ばして逃げちゃえばいいから。でもエドガー様は違うから。」
 「俺が好きだから?」
 「好きだから怖いの。エドガー様にされることがイヤではないの。でも何だか分からない気持ちになるから困るの。」
 「本当は俺がもっと待てればいいんだろうけど、そんなには待てない。君にキスされてから歯止めが効かないんだ。」
 「成人するまでは待ってくれる?」
 「そこが限界だと思う。婚約したらすぐに結婚したい。」
  エドガー様がわたしを抱きしめた。
 「エドガー様は一人にしておくとおかしくなるみたい。他に変なことを考えていたりしない?」
 「君を閉じ込めておきたいと思ってた。」
 「それだけは絶対にやめて。わたし、閉じ込められたら死んじゃうから。」
  エドガー様が心配なので森でときどき会う約束をした。
  
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