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あれから5年の月日が流れた。
ルビーナちゃんは15才になり、これからゲームの時間が始まる。
オレはあれから頑張った。
まず事業を興した。力の有無でルビーナちゃんを守るためにオレが取れる手段が変わって来る。
オレは前世の知識を利用して様々な事業を成功させた。転生知識バンザイである。
そうして手に入れたツテと金の力でルビーナちゃんを守ることにした。
ランドル貴族学園にはオレも通っているがオレは3年生、1年生のルビーナちゃんとずっと一緒にいる事は出来ない。なので冒険者をルビーナちゃんの護衛として雇うことにした。
とは言え王族でもない子爵令嬢のルビーナちゃんが常時護衛をつけているのは目立ち過ぎる。オレは友人として自然に側にいられるように冒険者を手配した。もちろん女だ。B級冒険者のイリスさんは16才、銀髪に空色の瞳をしたモデルみたいなプロポーションの美少女だった。
ランドル貴族学園は基本貴族しか入学出来ないんだけど、特別枠がある。B級以上の冒険者は貴族待遇として入学出来るんだ。
魔物がいる世界では戦力はなるべく自国に囲い込みたいようで、B級以上の冒険者は貴族と同じと見做される。オレはこの制度を活用してイリスさんをルビーナちゃんの同級生として送り込んだ。
準備万端整った。これで安心してルビーナちゃんを学園に通わせられると思っていたのだけれど‥‥。
「ローランド様、ちょっと目を離した隙にルビーナ様が居なくなりました!」
イリスさんがオレに報告して来た。
えっ、どうゆうこと?まだ入学式も始まってないよね。
入学式の日に恋愛フラグが立つのはお試し攻略対象者の3人だ。
その内の一人との出会いは入学式が終わってからだから、今はまだ大丈夫。
入学式前のこの時間にルビーナちゃんと出会いがあるのは、
一人は超危険な第二王子ジェフリー・ランドル。
そして、この日に恋愛フラグが立つもう一人は‥‥。
☆☆☆☆☆
お試し攻略対象者のひとり、
第一騎士団団長の一人息子、ガウス・ゴードンの場合。
入学式の日、ルビーナちゃんは入学式が行われる講堂ではなく、何故か体育館にいた。
普段なら武道を習う人間でいっぱいの体育館も、入学式の今日は誰もいない。迷い込んだルビーナちゃんは人がいないのを確認して踵を返した。その時‥‥。
「ルビーナ?」
ルビーナちゃんに声を掛けてくる人間がいた。
振り返ると、そこには青い短髪に金色の瞳を持つ体育会系イケメンがいる。
「やっぱりルビーナだ。
お前、今日入学式のはずだろう。こんな所でどうしたんだ?」
「‥‥ガウス様?」
ルビーナちゃんのひとつ年上の幼なじみ、ガウス・ゴードンだった。
「他人行儀だな、昔みたいにガウって呼んでくれよ。」
ガウスが人懐っこい笑顔を見せた。
「そうはいかないわ。もう子供ではないんだもの。」
「本当に久しぶりだな。
お前が婚約した時から会っていないから、もう5年か。」
「そうね、背が高くなって別人みたい。
声を掛けられなければガウス様だって気付けなかったわ。」
「俺は、すぐに分かった。
ルビーナは変わらないな。」
「ひどい、わたしも成長したのに‥‥。」
二人は互いを見て笑った。
「このまま、すこし話しをしないか?」
「でもわたし、入学式に出席しないと‥‥。」
「もう始まってる。途中で入ると目立つぞ。
体調が悪かったことにして欠席した方がいい。」
ルビーナちゃんはガウスに促されて体育用具室に入った。
「ここにしか椅子がないんだ。まあ座れよ。」
ルビーナちゃんを長椅子に座らせ、ガウスもすぐ横に座った。
「綺麗になったな。」
「そんなお世辞を言うようになったのね。」
「俺はお世辞なんて言わない。
昔から可愛かったけど、さらに魅力的になった。」
ガウスの手がルビーナちゃんの頬に触れた。
「ダメ!婚約者がいるの知っているでしょう。」
「ああ、知ってる。
俺はルビーナが好きだったんだからな。」
「ガウス様も侯爵家の令嬢と婚約したと聞いたわ。」
「俺の本意ではない。親の決めた縁談だ。」
「それでも、お互いに婚約者がいる身だわ。」
「だから?
俺の気持ちは変わらない。俺が欲しいのはルビーナだけだ。」
ガウスはルビーナちゃんを抱きしめると、唇を奪った。
「だめよ。ガウ、こんなことやめて!」
「本当にダメなら、男とこんな所で二人きりにならないさ。」
そのままガウスはルビーナちゃんを長椅子に押し倒した。口付けは深くなり、翻弄されるルビーナちゃんの瞳に涙が浮かぶ。
「好きだ、ルビーナ。きみの全てが欲しい。」
ここで選択肢が現れる。
A、逃げる。
B、首を横にふる。
ここで逃げようとすると逆上したガウスに無理やり犯される。それを人に見られ、ルビーナちゃんは退学になる。婚約者にも婚約破棄される。ゲームオーバーだ。
ルビーナちゃんは泣きながら首を横に振った。
「ダメよ。それは許されないわ。」
「どうしてだ?
こんなにきみのことが好きなのに‥‥。」
「ガウとの思い出を汚したくないの。」
「頭を冷やして来る。」
ガウスが立ち上がり、その場から離れた。
ガウスのシナリオの方がジェフリー王子よりエロ低めだけど、オレ的に許せない感はコッチの方が強い。だってジェフリー王子は無理やりだったけど、ガウスの方は浮気されてる感がハンパない。
ルビーナちゃん、実はガウスのことが好きだったとか、そんなこと無いよね?
ああ、それより今は早く動かないとシナリオが現実になってしまう!
イリスさんと二手に別れるとして、オレはどっちに向かった方がいいんだ?
A、ジェフリー王子がいる雑木林。
B、ガウスのいる体育館。
さあ、どっちにする?
ルビーナちゃんは15才になり、これからゲームの時間が始まる。
オレはあれから頑張った。
まず事業を興した。力の有無でルビーナちゃんを守るためにオレが取れる手段が変わって来る。
オレは前世の知識を利用して様々な事業を成功させた。転生知識バンザイである。
そうして手に入れたツテと金の力でルビーナちゃんを守ることにした。
ランドル貴族学園にはオレも通っているがオレは3年生、1年生のルビーナちゃんとずっと一緒にいる事は出来ない。なので冒険者をルビーナちゃんの護衛として雇うことにした。
とは言え王族でもない子爵令嬢のルビーナちゃんが常時護衛をつけているのは目立ち過ぎる。オレは友人として自然に側にいられるように冒険者を手配した。もちろん女だ。B級冒険者のイリスさんは16才、銀髪に空色の瞳をしたモデルみたいなプロポーションの美少女だった。
ランドル貴族学園は基本貴族しか入学出来ないんだけど、特別枠がある。B級以上の冒険者は貴族待遇として入学出来るんだ。
魔物がいる世界では戦力はなるべく自国に囲い込みたいようで、B級以上の冒険者は貴族と同じと見做される。オレはこの制度を活用してイリスさんをルビーナちゃんの同級生として送り込んだ。
準備万端整った。これで安心してルビーナちゃんを学園に通わせられると思っていたのだけれど‥‥。
「ローランド様、ちょっと目を離した隙にルビーナ様が居なくなりました!」
イリスさんがオレに報告して来た。
えっ、どうゆうこと?まだ入学式も始まってないよね。
入学式の日に恋愛フラグが立つのはお試し攻略対象者の3人だ。
その内の一人との出会いは入学式が終わってからだから、今はまだ大丈夫。
入学式前のこの時間にルビーナちゃんと出会いがあるのは、
一人は超危険な第二王子ジェフリー・ランドル。
そして、この日に恋愛フラグが立つもう一人は‥‥。
☆☆☆☆☆
お試し攻略対象者のひとり、
第一騎士団団長の一人息子、ガウス・ゴードンの場合。
入学式の日、ルビーナちゃんは入学式が行われる講堂ではなく、何故か体育館にいた。
普段なら武道を習う人間でいっぱいの体育館も、入学式の今日は誰もいない。迷い込んだルビーナちゃんは人がいないのを確認して踵を返した。その時‥‥。
「ルビーナ?」
ルビーナちゃんに声を掛けてくる人間がいた。
振り返ると、そこには青い短髪に金色の瞳を持つ体育会系イケメンがいる。
「やっぱりルビーナだ。
お前、今日入学式のはずだろう。こんな所でどうしたんだ?」
「‥‥ガウス様?」
ルビーナちゃんのひとつ年上の幼なじみ、ガウス・ゴードンだった。
「他人行儀だな、昔みたいにガウって呼んでくれよ。」
ガウスが人懐っこい笑顔を見せた。
「そうはいかないわ。もう子供ではないんだもの。」
「本当に久しぶりだな。
お前が婚約した時から会っていないから、もう5年か。」
「そうね、背が高くなって別人みたい。
声を掛けられなければガウス様だって気付けなかったわ。」
「俺は、すぐに分かった。
ルビーナは変わらないな。」
「ひどい、わたしも成長したのに‥‥。」
二人は互いを見て笑った。
「このまま、すこし話しをしないか?」
「でもわたし、入学式に出席しないと‥‥。」
「もう始まってる。途中で入ると目立つぞ。
体調が悪かったことにして欠席した方がいい。」
ルビーナちゃんはガウスに促されて体育用具室に入った。
「ここにしか椅子がないんだ。まあ座れよ。」
ルビーナちゃんを長椅子に座らせ、ガウスもすぐ横に座った。
「綺麗になったな。」
「そんなお世辞を言うようになったのね。」
「俺はお世辞なんて言わない。
昔から可愛かったけど、さらに魅力的になった。」
ガウスの手がルビーナちゃんの頬に触れた。
「ダメ!婚約者がいるの知っているでしょう。」
「ああ、知ってる。
俺はルビーナが好きだったんだからな。」
「ガウス様も侯爵家の令嬢と婚約したと聞いたわ。」
「俺の本意ではない。親の決めた縁談だ。」
「それでも、お互いに婚約者がいる身だわ。」
「だから?
俺の気持ちは変わらない。俺が欲しいのはルビーナだけだ。」
ガウスはルビーナちゃんを抱きしめると、唇を奪った。
「だめよ。ガウ、こんなことやめて!」
「本当にダメなら、男とこんな所で二人きりにならないさ。」
そのままガウスはルビーナちゃんを長椅子に押し倒した。口付けは深くなり、翻弄されるルビーナちゃんの瞳に涙が浮かぶ。
「好きだ、ルビーナ。きみの全てが欲しい。」
ここで選択肢が現れる。
A、逃げる。
B、首を横にふる。
ここで逃げようとすると逆上したガウスに無理やり犯される。それを人に見られ、ルビーナちゃんは退学になる。婚約者にも婚約破棄される。ゲームオーバーだ。
ルビーナちゃんは泣きながら首を横に振った。
「ダメよ。それは許されないわ。」
「どうしてだ?
こんなにきみのことが好きなのに‥‥。」
「ガウとの思い出を汚したくないの。」
「頭を冷やして来る。」
ガウスが立ち上がり、その場から離れた。
ガウスのシナリオの方がジェフリー王子よりエロ低めだけど、オレ的に許せない感はコッチの方が強い。だってジェフリー王子は無理やりだったけど、ガウスの方は浮気されてる感がハンパない。
ルビーナちゃん、実はガウスのことが好きだったとか、そんなこと無いよね?
ああ、それより今は早く動かないとシナリオが現実になってしまう!
イリスさんと二手に別れるとして、オレはどっちに向かった方がいいんだ?
A、ジェフリー王子がいる雑木林。
B、ガウスのいる体育館。
さあ、どっちにする?
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