【R18】チョロインの婚約者はモーーー大変!!!

ユキ団長

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 あれから5年の月日が流れた。

 ルビーナちゃんは15才になり、これからゲームの時間が始まる。

 オレはあれから頑張った。

 まず事業を興した。力の有無でルビーナちゃんを守るためにオレが取れる手段が変わって来る。

 オレは前世の知識を利用して様々な事業を成功させた。転生知識バンザイである。

 そうして手に入れたツテと金の力でルビーナちゃんを守ることにした。

 ランドル貴族学園にはオレも通っているがオレは3年生、1年生のルビーナちゃんとずっと一緒にいる事は出来ない。なので冒険者をルビーナちゃんの護衛として雇うことにした。

 とは言え王族でもない子爵令嬢のルビーナちゃんが常時護衛をつけているのは目立ち過ぎる。オレは友人として自然に側にいられるように冒険者を手配した。もちろん女だ。B級冒険者のイリスさんは16才、銀髪に空色の瞳をしたモデルみたいなプロポーションの美少女だった。
 
 ランドル貴族学園は基本貴族しか入学出来ないんだけど、特別枠がある。B級以上の冒険者は貴族待遇として入学出来るんだ。

 魔物がいる世界では戦力はなるべく自国に囲い込みたいようで、B級以上の冒険者は貴族と同じと見做される。オレはこの制度を活用してイリスさんをルビーナちゃんの同級生として送り込んだ。

 準備万端整った。これで安心してルビーナちゃんを学園に通わせられると思っていたのだけれど‥‥。




 「ローランド様、ちょっと目を離した隙にルビーナ様が居なくなりました!」

 イリスさんがオレに報告して来た。

 えっ、どうゆうこと?まだ入学式も始まってないよね。

 入学式の日に恋愛フラグが立つのはお試し攻略対象者の3人だ。
 その内の一人との出会いは入学式が終わってからだから、今はまだ大丈夫。

 入学式前のこの時間にルビーナちゃんと出会いがあるのは、
 一人は超危険な第二王子ジェフリー・ランドル。
 そして、この日に恋愛フラグが立つもう一人は‥‥。



 ☆☆☆☆☆



 お試し攻略対象者のひとり、
 第一騎士団団長の一人息子、ガウス・ゴードンの場合。



 入学式の日、ルビーナちゃんは入学式が行われる講堂ではなく、何故か体育館にいた。

 普段なら武道を習う人間でいっぱいの体育館も、入学式の今日は誰もいない。迷い込んだルビーナちゃんは人がいないのを確認して踵を返した。その時‥‥。

 「ルビーナ?」

 ルビーナちゃんに声を掛けてくる人間がいた。

 振り返ると、そこには青い短髪に金色の瞳を持つ体育会系イケメンがいる。

 「やっぱりルビーナだ。
 お前、今日入学式のはずだろう。こんな所でどうしたんだ?」

 「‥‥ガウス様?」

 ルビーナちゃんのひとつ年上の幼なじみ、ガウス・ゴードンだった。

 「他人行儀だな、昔みたいにガウって呼んでくれよ。」

 ガウスが人懐っこい笑顔を見せた。

 「そうはいかないわ。もう子供ではないんだもの。」

 「本当に久しぶりだな。
 お前が婚約した時から会っていないから、もう5年か。」

 「そうね、背が高くなって別人みたい。
 声を掛けられなければガウス様だって気付けなかったわ。」

 「俺は、すぐに分かった。
 ルビーナは変わらないな。」

 「ひどい、わたしも成長したのに‥‥。」

 二人は互いを見て笑った。

 「このまま、すこし話しをしないか?」

 「でもわたし、入学式に出席しないと‥‥。」

 「もう始まってる。途中で入ると目立つぞ。
 体調が悪かったことにして欠席した方がいい。」

 ルビーナちゃんはガウスに促されて体育用具室に入った。

 「ここにしか椅子がないんだ。まあ座れよ。」

 ルビーナちゃんを長椅子に座らせ、ガウスもすぐ横に座った。

 「綺麗になったな。」

 「そんなお世辞を言うようになったのね。」

 「俺はお世辞なんて言わない。
 昔から可愛かったけど、さらに魅力的になった。」

 ガウスの手がルビーナちゃんの頬に触れた。

 「ダメ!婚約者がいるの知っているでしょう。」

 「ああ、知ってる。
 俺はルビーナが好きだったんだからな。」

 「ガウス様も侯爵家の令嬢と婚約したと聞いたわ。」

 「俺の本意ではない。親の決めた縁談だ。」

 「それでも、お互いに婚約者がいる身だわ。」

 「だから?
 俺の気持ちは変わらない。俺が欲しいのはルビーナだけだ。」

 ガウスはルビーナちゃんを抱きしめると、唇を奪った。

 「だめよ。ガウ、こんなことやめて!」

 「本当にダメなら、男とこんな所で二人きりにならないさ。」

 そのままガウスはルビーナちゃんを長椅子に押し倒した。口付けは深くなり、翻弄されるルビーナちゃんの瞳に涙が浮かぶ。

 「好きだ、ルビーナ。きみの全てが欲しい。」

 ここで選択肢が現れる。

 A、逃げる。

 B、首を横にふる。

 ここで逃げようとすると逆上したガウスに無理やり犯される。それを人に見られ、ルビーナちゃんは退学になる。婚約者にも婚約破棄される。ゲームオーバーだ。

 

 ルビーナちゃんは泣きながら首を横に振った。

 「ダメよ。それは許されないわ。」

 「どうしてだ?
 こんなにきみのことが好きなのに‥‥。」

 「ガウとの思い出を汚したくないの。」

 「頭を冷やして来る。」

 ガウスが立ち上がり、その場から離れた。



 ガウスのシナリオの方がジェフリー王子よりエロ低めだけど、オレ的に許せない感はコッチの方が強い。だってジェフリー王子は無理やりだったけど、ガウスの方は浮気されてる感がハンパない。

 ルビーナちゃん、実はガウスのことが好きだったとか、そんなこと無いよね? 



 ああ、それより今は早く動かないとシナリオが現実になってしまう! 

 イリスさんと二手に別れるとして、オレはどっちに向かった方がいいんだ?

 A、ジェフリー王子がいる雑木林。

 B、ガウスのいる体育館。

 さあ、どっちにする?



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