【R１８】チョロインの婚約者はモーーー大変！！！

最終回

　オレがコーサカス男爵家について調べると出てくるは出てくるは‥‥。

　羽振りの良い金満家の男爵家の実態はとんでもない悪党だった。
　ジャン・ジャックはコーサカス男爵の庶子、認知はされてないが悪事の手伝いはしているようだ。

　ジャン・ジャックは人攫いをしていた。ランドル王国の国民を攫って奴隷として隣国に売っていた。コーサカス男爵は隣国と通じている。

　オレはその情報を第一王子のアーノルドに売った。

　自分で何とかしないのかって？
　勘弁してよ、メルト伯爵家は文官の家系なんだって。荒ごとは苦手なんだよ。

　ジャン・ジャックは捕まり、第一王子のアーノルドはその功績で王太子の座に収まった。

　オレは第一王子の側近に引き立てられた。出世街道、爆進中だ。




　その後もルビーナちゃんと攻略対象者のニアミスはあったけど、イリスさんと二人で潰して回った。ヒロインの婚約者はもう大変である。




　☆☆☆☆☆




　翌年の3月、オレの卒業式が無事に終わった。ゲームの時間はこれで終わりだ。

　可哀想だがルビーナちゃんには学園を中退してもらった。ルビーナちゃんをこれ以上学園に置いておくなんて怖くて出来ない。


　新居は王都の中心街に用意してある。使用人は年寄りと女性が中心だ。ゲームが終わっても何があるか分からないからね。


　そして卒業式の後、オレはルビーナちゃんと一緒に馬車に乗った。このまま新居に二人で移動する。

　アイネ子爵に許可は取った。結婚式は半年後になるが、それまで二人で同棲生活だ。

　イリスさんが見送りに来てくれた。

 「イリスと会えなくなっちゃう。」

　ルビーナちゃんがイリスさんの手を取ってボロボロと泣いている。

 「邸まで会いに行くよ。
　ローランド様、構いませんよね。」

 「ああ、是非遊びに来てくれ。歓迎するよ。」

　友人として側にいてもらったイリスさんとルビーナちゃんの間に本当の友情が花開いたようだ。

　話しながらもオレは周囲の様子を気にしていた。

　ゲームのエンディングに同じシーンがある。オレとルビーナちゃんが学園を去るのを恋愛関係になった攻略対象者がこっそり見送ると言うものだ。

　辺りを見回して、誰もいないことを確認する。

　やったぜ、オレ。ルビーナちゃんを守り切った。

　ゆっくりと馬車が出発する。頭の中にゲームのエンディング曲が流れる。

　長い一年だった。ルビーナちゃんの後を追いかけて走り回った一年。これからはルビーナちゃんとずっと一緒にいられる。





　この時、オレはまだ気付いていなかった。
　イリスさんが女装男子であることに。


　オレがソレを知るのは半年後。

　イリスさんとルビーナちゃんが結婚式前に駆け落ちした後のことだった。






　アンハッピーエンド