9 / 11
9
しおりを挟む
オレは思い出せる限りの攻略対象者の名前とシナリオを書き出した。
特に危ないのは第二王子ジェフリーの本物の刺客と出会ってしまうものと、ルビーナちゃんが街に買い物に出かけて盗賊団に拐われてしまうやつだ。
ねえルビーナちゃん、犯罪者と恋愛関係になるのはやめようよ。
このあたりのシナリオは一歩間違えるとルビーナちゃんが殺されてしまう。ほんとシャレにならないんだ。
刺客として現れる生徒は名前が分かっている。
ジェフリー王子が死ぬのは一向に構わないが、ルビーナちゃんが巻き込まれるのは困る。オレは友人の公爵家の子息ヘンリーを通してジェフリー王子に情報を流した。
シナリオが始まらないうちに刺客は捕まった。
オレはジェフリー王子に感謝された。第二王子派と思われたみたいだが、実際には完全な第一王子派だ。刺客だってルビーナちゃんに害がなければ放って置いたところだ。
問題は盗賊団の首領の方だ。名前はジャン・ジャック、本名だか偽名だかは分からない。居場所を転々と移り変わるのでそれを特定するのが難しかった。
☆☆☆☆☆
危険な攻略対象者
盗賊団の首領ジャン・ジャックの場合。
学園の休日、ルビーナちゃんはクラスメイト達に誘われて街に買い物に出掛けた。
ルビーナちゃんは誘われたことを喜んだが、彼女は途中でみんなと逸れてしまう。ワザと置いてきぼりにされたのだ。
ルビーナちゃんは男にモテる。婚約者が一方的に彼女を好きになり、それに嫉妬した女性たちからルビーナちゃんは嫌われていた。
ひとりぼっちにされたルビーナちゃんが泣きながら家に帰るのを嘲笑ってやろうとクラスメイト達は馬車のある大通りに向かう。いかがわしい店の多い下街の方に下って行くルビーナちゃんに気付くものは誰もいなかった。
ルビーナちゃんには方向音痴の神様か何かが付いている。絶対に行ってはイケナイ方に行くんだ。
そうして昼間でも薄暗い路地の行き止まりで、ルビーナちゃんは盗賊団の首領ジャンに突然壁に押しつけられた。
「さっきから俺の後を付けてくる奴がいると思えば、女だとはな。」
ルビーナちゃんは首元にナイフを突きつけられた。
そのまま殴られ気絶させられルビーナちゃんは盗賊団のアジトに連れ込まれた。
ルビーナちゃんが意識を取り戻すと服は剥ぎ取られ、手足を縛られていた。
知らない場所に転がされ、目つきの鋭い男が上から見下ろしている。右目の下に傷のある赤毛の男だ。
「やっと目を覚ましたか。
お前は誰だ?何の目的があって俺の後をつけた?」
「後をつけたりなんかしないわ。」
ルビーナちゃんの頬に涙が伝う。
「素直に吐くわけないか。体に聞いてやるよ。
すぐに言うことを聞くようになる。」
ジャンはルビーナちゃんに覆い被さった。
「やあ、やめて。お願い!」
「初めてか、大丈夫だ。すぐに慣れる。」
「イヤ、痛い、いやぁーーー!」
何の思いやりも無いままルビーナちゃんの純潔は散らされてしまう。
「処女は初めてだな。痛いって聞くけど、本当か?」
「う、ううっ。」
「しょうがねえな、気持ち良くさせてヤルよ。」
ジャンが彼女を貫いたまま愛撫をはじめた。胸を舐められ、しだいにルビーナちゃんの声に甘いものが混じり出す。
「あ、イヤ、あ、あん。」
「無理矢理されてんのに感じちゃってるのか。
淫乱だな。初めてなのに、すげえ濡れてるぜ。」
「‥‥そんな、あっ、」
「かわいいな、俺のがそんなに気に入ったのか?」
ジャンが容赦なく腰を振る。
「あ、あん、そんな‥‥アアっ。」
「覚えがいいな。もっとよがれ!」
次第に快楽に落ちていくルビーナちゃん。
「あん、いい。あ、ヘンになっちゃう。」
「ヘンになれよ。俺に夢中になれ!」
情事が終わり、ジャンはルビーナちゃんの縄を解いた。
「お前、名前は?」
「ルビーナ。」
「ルビーナか。イイ名前だ。お前、俺の女になれよ。」
ルビーナちゃんはぼんやりした様子で頷いた。
「俺は少し仕事がある。
二日後にルビーナがいた街にあるジュールって店に来い。
裏切ったら、分かってるよな。」
ここで選択肢が現れる。
A、店に行く。
B、店に行かない。
店に行かないと腹を立てたジャンがルビーナちゃんを捜し出して殺してしまう。ゲームオーバーだ。
店に行くことを約束したルビーナちゃんは馬車で出会った街まで送られる。
「二日後、楽しみにしてるぜ。」
ジャン・ジャックはニヤリと笑うと去って行った。
ジャン・ジャックのシナリオは出会い編で無理やり最後まで事に及んでしまう。
その代わりなのか、次に出会った時にはジャンが妙に照れた様子を見せ、普通の恋人同士のようなデートをする。そして最後はルビーナちゃんの幸せを思い、ジャンが身を引くのだ。
ジャン・ジャックは危険な犯罪者だ。現実はゲームとは違う。ゲームオーバーになっても、やり直すことは出来ない。
ルビーナちゃんがジャンに出会うことは何としても避けたい。
何か奴を捕まえるきっかけはないか?
ジャンの右頬にある傷は目印にならない。魔物のいるこの世界では顔に傷のある男など珍しくない。
思い出せ、何か奴に繋がる手掛かりがないか。
その時、ルビーナちゃんを送る時に使った盗賊が使うには小綺麗な馬車のことが思い浮かんだ。外には無かったが馬車の内側に家紋があった。ゲームをしていたときは只の模様にしか見えなかったソレが、貴族に生まれ変わったオレには意味をなす。
コーサカス男爵家の家紋だ。
ジャン・ジャックはコーサカス男爵家の人間なのか?
そうでなくても、コーサカス男爵家と何かしら繋がりがあるはずだ。オレはコーサカス男爵家について調べてみることにした。
特に危ないのは第二王子ジェフリーの本物の刺客と出会ってしまうものと、ルビーナちゃんが街に買い物に出かけて盗賊団に拐われてしまうやつだ。
ねえルビーナちゃん、犯罪者と恋愛関係になるのはやめようよ。
このあたりのシナリオは一歩間違えるとルビーナちゃんが殺されてしまう。ほんとシャレにならないんだ。
刺客として現れる生徒は名前が分かっている。
ジェフリー王子が死ぬのは一向に構わないが、ルビーナちゃんが巻き込まれるのは困る。オレは友人の公爵家の子息ヘンリーを通してジェフリー王子に情報を流した。
シナリオが始まらないうちに刺客は捕まった。
オレはジェフリー王子に感謝された。第二王子派と思われたみたいだが、実際には完全な第一王子派だ。刺客だってルビーナちゃんに害がなければ放って置いたところだ。
問題は盗賊団の首領の方だ。名前はジャン・ジャック、本名だか偽名だかは分からない。居場所を転々と移り変わるのでそれを特定するのが難しかった。
☆☆☆☆☆
危険な攻略対象者
盗賊団の首領ジャン・ジャックの場合。
学園の休日、ルビーナちゃんはクラスメイト達に誘われて街に買い物に出掛けた。
ルビーナちゃんは誘われたことを喜んだが、彼女は途中でみんなと逸れてしまう。ワザと置いてきぼりにされたのだ。
ルビーナちゃんは男にモテる。婚約者が一方的に彼女を好きになり、それに嫉妬した女性たちからルビーナちゃんは嫌われていた。
ひとりぼっちにされたルビーナちゃんが泣きながら家に帰るのを嘲笑ってやろうとクラスメイト達は馬車のある大通りに向かう。いかがわしい店の多い下街の方に下って行くルビーナちゃんに気付くものは誰もいなかった。
ルビーナちゃんには方向音痴の神様か何かが付いている。絶対に行ってはイケナイ方に行くんだ。
そうして昼間でも薄暗い路地の行き止まりで、ルビーナちゃんは盗賊団の首領ジャンに突然壁に押しつけられた。
「さっきから俺の後を付けてくる奴がいると思えば、女だとはな。」
ルビーナちゃんは首元にナイフを突きつけられた。
そのまま殴られ気絶させられルビーナちゃんは盗賊団のアジトに連れ込まれた。
ルビーナちゃんが意識を取り戻すと服は剥ぎ取られ、手足を縛られていた。
知らない場所に転がされ、目つきの鋭い男が上から見下ろしている。右目の下に傷のある赤毛の男だ。
「やっと目を覚ましたか。
お前は誰だ?何の目的があって俺の後をつけた?」
「後をつけたりなんかしないわ。」
ルビーナちゃんの頬に涙が伝う。
「素直に吐くわけないか。体に聞いてやるよ。
すぐに言うことを聞くようになる。」
ジャンはルビーナちゃんに覆い被さった。
「やあ、やめて。お願い!」
「初めてか、大丈夫だ。すぐに慣れる。」
「イヤ、痛い、いやぁーーー!」
何の思いやりも無いままルビーナちゃんの純潔は散らされてしまう。
「処女は初めてだな。痛いって聞くけど、本当か?」
「う、ううっ。」
「しょうがねえな、気持ち良くさせてヤルよ。」
ジャンが彼女を貫いたまま愛撫をはじめた。胸を舐められ、しだいにルビーナちゃんの声に甘いものが混じり出す。
「あ、イヤ、あ、あん。」
「無理矢理されてんのに感じちゃってるのか。
淫乱だな。初めてなのに、すげえ濡れてるぜ。」
「‥‥そんな、あっ、」
「かわいいな、俺のがそんなに気に入ったのか?」
ジャンが容赦なく腰を振る。
「あ、あん、そんな‥‥アアっ。」
「覚えがいいな。もっとよがれ!」
次第に快楽に落ちていくルビーナちゃん。
「あん、いい。あ、ヘンになっちゃう。」
「ヘンになれよ。俺に夢中になれ!」
情事が終わり、ジャンはルビーナちゃんの縄を解いた。
「お前、名前は?」
「ルビーナ。」
「ルビーナか。イイ名前だ。お前、俺の女になれよ。」
ルビーナちゃんはぼんやりした様子で頷いた。
「俺は少し仕事がある。
二日後にルビーナがいた街にあるジュールって店に来い。
裏切ったら、分かってるよな。」
ここで選択肢が現れる。
A、店に行く。
B、店に行かない。
店に行かないと腹を立てたジャンがルビーナちゃんを捜し出して殺してしまう。ゲームオーバーだ。
店に行くことを約束したルビーナちゃんは馬車で出会った街まで送られる。
「二日後、楽しみにしてるぜ。」
ジャン・ジャックはニヤリと笑うと去って行った。
ジャン・ジャックのシナリオは出会い編で無理やり最後まで事に及んでしまう。
その代わりなのか、次に出会った時にはジャンが妙に照れた様子を見せ、普通の恋人同士のようなデートをする。そして最後はルビーナちゃんの幸せを思い、ジャンが身を引くのだ。
ジャン・ジャックは危険な犯罪者だ。現実はゲームとは違う。ゲームオーバーになっても、やり直すことは出来ない。
ルビーナちゃんがジャンに出会うことは何としても避けたい。
何か奴を捕まえるきっかけはないか?
ジャンの右頬にある傷は目印にならない。魔物のいるこの世界では顔に傷のある男など珍しくない。
思い出せ、何か奴に繋がる手掛かりがないか。
その時、ルビーナちゃんを送る時に使った盗賊が使うには小綺麗な馬車のことが思い浮かんだ。外には無かったが馬車の内側に家紋があった。ゲームをしていたときは只の模様にしか見えなかったソレが、貴族に生まれ変わったオレには意味をなす。
コーサカス男爵家の家紋だ。
ジャン・ジャックはコーサカス男爵家の人間なのか?
そうでなくても、コーサカス男爵家と何かしら繋がりがあるはずだ。オレはコーサカス男爵家について調べてみることにした。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
断罪された挙句に執着系騎士様と支配系教皇様に目をつけられて人生諸々詰んでる悪役令嬢とは私の事です。
甘寧
恋愛
断罪の最中に前世の記憶が蘇ったベルベット。
ここは乙女ゲームの世界で自分がまさに悪役令嬢の立場で、ヒロインは王子ルートを攻略し、無事に断罪まで来た所だと分かった。ベルベットは大人しく断罪を受け入れ国外追放に。
──……だが、追放先で攻略対象者である教皇のロジェを拾い、更にはもう一人の対象者である騎士団長のジェフリーまでがことある事にベルベットの元を訪れてくるようになる。
ゲームからは完全に外れたはずなのに、悪役令嬢と言うフラグが今だに存在している気がして仕方がないベルベットは、平穏な第二の人生の為に何とかロジェとジェフリーと関わりを持たないように逃げまくるベルベット。
しかし、その行動が裏目に出てロジェとジェフリーの執着が増していく。
そんな折、何者かがヒロインである聖女を使いベルベットの命を狙っていることが分かる。そして、このゲームには隠された裏設定がある事も分かり……
独占欲の強い二人に振り回されるベルベットの結末はいかに?
※完全に作者の趣味です。
初夜った後で「申し訳ないが愛せない」だなんてそんな話があるかいな。
ぱっつんぱつお
恋愛
辺境の漁師町で育った伯爵令嬢。
大海原と同じく性格荒めのエマは誰もが羨む(らしい)次期侯爵であるジョセフと結婚した。
だが彼には婚約する前から恋人が居て……?
憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる