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オレは思い出せる限りの攻略対象者の名前とシナリオを書き出した。
特に危ないのは第二王子ジェフリーの本物の刺客と出会ってしまうものと、ルビーナちゃんが街に買い物に出かけて盗賊団に拐われてしまうやつだ。
ねえルビーナちゃん、犯罪者と恋愛関係になるのはやめようよ。
このあたりのシナリオは一歩間違えるとルビーナちゃんが殺されてしまう。ほんとシャレにならないんだ。
刺客として現れる生徒は名前が分かっている。
ジェフリー王子が死ぬのは一向に構わないが、ルビーナちゃんが巻き込まれるのは困る。オレは友人の公爵家の子息ヘンリーを通してジェフリー王子に情報を流した。
シナリオが始まらないうちに刺客は捕まった。
オレはジェフリー王子に感謝された。第二王子派と思われたみたいだが、実際には完全な第一王子派だ。刺客だってルビーナちゃんに害がなければ放って置いたところだ。
問題は盗賊団の首領の方だ。名前はジャン・ジャック、本名だか偽名だかは分からない。居場所を転々と移り変わるのでそれを特定するのが難しかった。
☆☆☆☆☆
危険な攻略対象者
盗賊団の首領ジャン・ジャックの場合。
学園の休日、ルビーナちゃんはクラスメイト達に誘われて街に買い物に出掛けた。
ルビーナちゃんは誘われたことを喜んだが、彼女は途中でみんなと逸れてしまう。ワザと置いてきぼりにされたのだ。
ルビーナちゃんは男にモテる。婚約者が一方的に彼女を好きになり、それに嫉妬した女性たちからルビーナちゃんは嫌われていた。
ひとりぼっちにされたルビーナちゃんが泣きながら家に帰るのを嘲笑ってやろうとクラスメイト達は馬車のある大通りに向かう。いかがわしい店の多い下街の方に下って行くルビーナちゃんに気付くものは誰もいなかった。
ルビーナちゃんには方向音痴の神様か何かが付いている。絶対に行ってはイケナイ方に行くんだ。
そうして昼間でも薄暗い路地の行き止まりで、ルビーナちゃんは盗賊団の首領ジャンに突然壁に押しつけられた。
「さっきから俺の後を付けてくる奴がいると思えば、女だとはな。」
ルビーナちゃんは首元にナイフを突きつけられた。
そのまま殴られ気絶させられルビーナちゃんは盗賊団のアジトに連れ込まれた。
ルビーナちゃんが意識を取り戻すと服は剥ぎ取られ、手足を縛られていた。
知らない場所に転がされ、目つきの鋭い男が上から見下ろしている。右目の下に傷のある赤毛の男だ。
「やっと目を覚ましたか。
お前は誰だ?何の目的があって俺の後をつけた?」
「後をつけたりなんかしないわ。」
ルビーナちゃんの頬に涙が伝う。
「素直に吐くわけないか。体に聞いてやるよ。
すぐに言うことを聞くようになる。」
ジャンはルビーナちゃんに覆い被さった。
「やあ、やめて。お願い!」
「初めてか、大丈夫だ。すぐに慣れる。」
「イヤ、痛い、いやぁーーー!」
何の思いやりも無いままルビーナちゃんの純潔は散らされてしまう。
「処女は初めてだな。痛いって聞くけど、本当か?」
「う、ううっ。」
「しょうがねえな、気持ち良くさせてヤルよ。」
ジャンが彼女を貫いたまま愛撫をはじめた。胸を舐められ、しだいにルビーナちゃんの声に甘いものが混じり出す。
「あ、イヤ、あ、あん。」
「無理矢理されてんのに感じちゃってるのか。
淫乱だな。初めてなのに、すげえ濡れてるぜ。」
「‥‥そんな、あっ、」
「かわいいな、俺のがそんなに気に入ったのか?」
ジャンが容赦なく腰を振る。
「あ、あん、そんな‥‥アアっ。」
「覚えがいいな。もっとよがれ!」
次第に快楽に落ちていくルビーナちゃん。
「あん、いい。あ、ヘンになっちゃう。」
「ヘンになれよ。俺に夢中になれ!」
情事が終わり、ジャンはルビーナちゃんの縄を解いた。
「お前、名前は?」
「ルビーナ。」
「ルビーナか。イイ名前だ。お前、俺の女になれよ。」
ルビーナちゃんはぼんやりした様子で頷いた。
「俺は少し仕事がある。
二日後にルビーナがいた街にあるジュールって店に来い。
裏切ったら、分かってるよな。」
ここで選択肢が現れる。
A、店に行く。
B、店に行かない。
店に行かないと腹を立てたジャンがルビーナちゃんを捜し出して殺してしまう。ゲームオーバーだ。
店に行くことを約束したルビーナちゃんは馬車で出会った街まで送られる。
「二日後、楽しみにしてるぜ。」
ジャン・ジャックはニヤリと笑うと去って行った。
ジャン・ジャックのシナリオは出会い編で無理やり最後まで事に及んでしまう。
その代わりなのか、次に出会った時にはジャンが妙に照れた様子を見せ、普通の恋人同士のようなデートをする。そして最後はルビーナちゃんの幸せを思い、ジャンが身を引くのだ。
ジャン・ジャックは危険な犯罪者だ。現実はゲームとは違う。ゲームオーバーになっても、やり直すことは出来ない。
ルビーナちゃんがジャンに出会うことは何としても避けたい。
何か奴を捕まえるきっかけはないか?
ジャンの右頬にある傷は目印にならない。魔物のいるこの世界では顔に傷のある男など珍しくない。
思い出せ、何か奴に繋がる手掛かりがないか。
その時、ルビーナちゃんを送る時に使った盗賊が使うには小綺麗な馬車のことが思い浮かんだ。外には無かったが馬車の内側に家紋があった。ゲームをしていたときは只の模様にしか見えなかったソレが、貴族に生まれ変わったオレには意味をなす。
コーサカス男爵家の家紋だ。
ジャン・ジャックはコーサカス男爵家の人間なのか?
そうでなくても、コーサカス男爵家と何かしら繋がりがあるはずだ。オレはコーサカス男爵家について調べてみることにした。
特に危ないのは第二王子ジェフリーの本物の刺客と出会ってしまうものと、ルビーナちゃんが街に買い物に出かけて盗賊団に拐われてしまうやつだ。
ねえルビーナちゃん、犯罪者と恋愛関係になるのはやめようよ。
このあたりのシナリオは一歩間違えるとルビーナちゃんが殺されてしまう。ほんとシャレにならないんだ。
刺客として現れる生徒は名前が分かっている。
ジェフリー王子が死ぬのは一向に構わないが、ルビーナちゃんが巻き込まれるのは困る。オレは友人の公爵家の子息ヘンリーを通してジェフリー王子に情報を流した。
シナリオが始まらないうちに刺客は捕まった。
オレはジェフリー王子に感謝された。第二王子派と思われたみたいだが、実際には完全な第一王子派だ。刺客だってルビーナちゃんに害がなければ放って置いたところだ。
問題は盗賊団の首領の方だ。名前はジャン・ジャック、本名だか偽名だかは分からない。居場所を転々と移り変わるのでそれを特定するのが難しかった。
☆☆☆☆☆
危険な攻略対象者
盗賊団の首領ジャン・ジャックの場合。
学園の休日、ルビーナちゃんはクラスメイト達に誘われて街に買い物に出掛けた。
ルビーナちゃんは誘われたことを喜んだが、彼女は途中でみんなと逸れてしまう。ワザと置いてきぼりにされたのだ。
ルビーナちゃんは男にモテる。婚約者が一方的に彼女を好きになり、それに嫉妬した女性たちからルビーナちゃんは嫌われていた。
ひとりぼっちにされたルビーナちゃんが泣きながら家に帰るのを嘲笑ってやろうとクラスメイト達は馬車のある大通りに向かう。いかがわしい店の多い下街の方に下って行くルビーナちゃんに気付くものは誰もいなかった。
ルビーナちゃんには方向音痴の神様か何かが付いている。絶対に行ってはイケナイ方に行くんだ。
そうして昼間でも薄暗い路地の行き止まりで、ルビーナちゃんは盗賊団の首領ジャンに突然壁に押しつけられた。
「さっきから俺の後を付けてくる奴がいると思えば、女だとはな。」
ルビーナちゃんは首元にナイフを突きつけられた。
そのまま殴られ気絶させられルビーナちゃんは盗賊団のアジトに連れ込まれた。
ルビーナちゃんが意識を取り戻すと服は剥ぎ取られ、手足を縛られていた。
知らない場所に転がされ、目つきの鋭い男が上から見下ろしている。右目の下に傷のある赤毛の男だ。
「やっと目を覚ましたか。
お前は誰だ?何の目的があって俺の後をつけた?」
「後をつけたりなんかしないわ。」
ルビーナちゃんの頬に涙が伝う。
「素直に吐くわけないか。体に聞いてやるよ。
すぐに言うことを聞くようになる。」
ジャンはルビーナちゃんに覆い被さった。
「やあ、やめて。お願い!」
「初めてか、大丈夫だ。すぐに慣れる。」
「イヤ、痛い、いやぁーーー!」
何の思いやりも無いままルビーナちゃんの純潔は散らされてしまう。
「処女は初めてだな。痛いって聞くけど、本当か?」
「う、ううっ。」
「しょうがねえな、気持ち良くさせてヤルよ。」
ジャンが彼女を貫いたまま愛撫をはじめた。胸を舐められ、しだいにルビーナちゃんの声に甘いものが混じり出す。
「あ、イヤ、あ、あん。」
「無理矢理されてんのに感じちゃってるのか。
淫乱だな。初めてなのに、すげえ濡れてるぜ。」
「‥‥そんな、あっ、」
「かわいいな、俺のがそんなに気に入ったのか?」
ジャンが容赦なく腰を振る。
「あ、あん、そんな‥‥アアっ。」
「覚えがいいな。もっとよがれ!」
次第に快楽に落ちていくルビーナちゃん。
「あん、いい。あ、ヘンになっちゃう。」
「ヘンになれよ。俺に夢中になれ!」
情事が終わり、ジャンはルビーナちゃんの縄を解いた。
「お前、名前は?」
「ルビーナ。」
「ルビーナか。イイ名前だ。お前、俺の女になれよ。」
ルビーナちゃんはぼんやりした様子で頷いた。
「俺は少し仕事がある。
二日後にルビーナがいた街にあるジュールって店に来い。
裏切ったら、分かってるよな。」
ここで選択肢が現れる。
A、店に行く。
B、店に行かない。
店に行かないと腹を立てたジャンがルビーナちゃんを捜し出して殺してしまう。ゲームオーバーだ。
店に行くことを約束したルビーナちゃんは馬車で出会った街まで送られる。
「二日後、楽しみにしてるぜ。」
ジャン・ジャックはニヤリと笑うと去って行った。
ジャン・ジャックのシナリオは出会い編で無理やり最後まで事に及んでしまう。
その代わりなのか、次に出会った時にはジャンが妙に照れた様子を見せ、普通の恋人同士のようなデートをする。そして最後はルビーナちゃんの幸せを思い、ジャンが身を引くのだ。
ジャン・ジャックは危険な犯罪者だ。現実はゲームとは違う。ゲームオーバーになっても、やり直すことは出来ない。
ルビーナちゃんがジャンに出会うことは何としても避けたい。
何か奴を捕まえるきっかけはないか?
ジャンの右頬にある傷は目印にならない。魔物のいるこの世界では顔に傷のある男など珍しくない。
思い出せ、何か奴に繋がる手掛かりがないか。
その時、ルビーナちゃんを送る時に使った盗賊が使うには小綺麗な馬車のことが思い浮かんだ。外には無かったが馬車の内側に家紋があった。ゲームをしていたときは只の模様にしか見えなかったソレが、貴族に生まれ変わったオレには意味をなす。
コーサカス男爵家の家紋だ。
ジャン・ジャックはコーサカス男爵家の人間なのか?
そうでなくても、コーサカス男爵家と何かしら繋がりがあるはずだ。オレはコーサカス男爵家について調べてみることにした。
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