22 / 22
4・「奥の部屋」
1
しおりを挟む
→「奥の部屋」(バッドエンド)
まずいまずいまずいまずい。
家の奥へと追い込まれる。
やしろは歩いて追いかけているはずなのに、すぐ後ろで足音がする。
何も考えずに逃げていたあさとはとうとう屋敷の奥まできてしまった。
もうここに入るしかないか、
目の前の扉を回す。
そこはやしろの部屋だった。
初めて入るやしろの部屋は他の部屋とはどこか、違った雰囲気をかもしだしていた。
本棚の中は乱雑に本が積まれ、机の上や床に紙やら半紙やらが散らばっている。椅子や部屋の隅にも脱いだ上着などが適当に置かれている。
明らかに他の部屋とは違う。
この部屋には生活感があって、ほこりも積もっている。
荒い息を整えながら周囲を見回す。
この部屋なら妖狐郎がいるんじゃないのか?
ここはやしろの部屋。隠すならうってつけだろう。
隠すならこの本棚が怪しい。
そう思い本棚を探す。
縦に積まれた本棚の本にはいくつかほこりが被っており、ほとんどの本の題名がみみずのような文字か漢字のため読めない。
一つの本に目が止まる。
この本だけ、埃をかぶっていない?
最近触られたものだろうそれに手を伸ばす。
薄いその本には題名が書いておらず、周りのものよりも形が長く、広い。
本?というよりはノートに近いような気がする。
適当なページを開ける。
そこに描いてあるものを見ておれは驚いた。
この絵…おれ?……こっちもおれ、これもおれ……?
めくってもめくっても、目に入るのは自分の絵
しかも、最近の姿じゃない、もっと小さい頃に描かれたものもある。神社にいる時のおれもいれば、ばあちゃんの家でのんびりしているおれもいる。
もしかして、ずっと見られていたのだろうか?
ノートのはじめの方までページをめくる。
最初のページの下の方、やしろの文字ではない、もっと読みづらい字が書かれていた。
『お前は趣味が悪いね』
頭の中に安斎さんの顔がよぎる。
まさか、ね?あの優しくそうな安斎さんがおれをずっと見ていた…?
「あーあ、見られちゃった」
背中からやしろの声がする。
「それ、安斎の弟子に頼んで描いて貰ったんだよね。ほら、僕ここから出られないから」
後ろを振り向けない。
ずっと見られていた?おれの知らないところで?
ノートを見る。そこにかおれが風呂に入っている絵もあった。
「………きもちわる、」
ハッとして手で口をおおう。
声に出てしまっていた。
やしろの様子を伺うために後ろをゆっくり振り返る。
そこには、何も様子の変わらないやしろがいた。
よかった。今の発言に怒ってはいないみたいだ。
「それも、もういらないかな。……今は本物がいるもんね」
やしろがおれの腕を引っ張る。
そのまま廊下を引きずられる。
「い、いたいっ、はなしてっ」
やしろはおれの発言を無視して進む。
「別にね、あさとをここに閉じ込める方法なんていくらでもあるんだよ?ただ、痛いのは嫌かなって思ってたんだけど………。男の子だから我慢できるよね?」
やしろは虎の絵が描かれた部屋におれを放り投げる。
「いっった、」
小さなたんすの一番下の引き出しから何かを取り出す。
キランと光った何か、
コインじゃない……
それは、新品のナタだった。
「…ゃ、やしろ、まって、やめて!」
やしろはだんだんと近づいてくる。
「知ってる?ここで死ぬとね、永遠にここから出られないんだ。」
やしろが笑いながらナタを振り下ろす。
かんいっぱつのところでナタを避ける。
「やめてっ、やめて」
「…大丈夫だよ、痛いのは一瞬だけだから。」
再度下されるナタ、さっきよりも早くて、
避けきれなくて…
視界が真っ黒に染まった。
まずいまずいまずいまずい。
家の奥へと追い込まれる。
やしろは歩いて追いかけているはずなのに、すぐ後ろで足音がする。
何も考えずに逃げていたあさとはとうとう屋敷の奥まできてしまった。
もうここに入るしかないか、
目の前の扉を回す。
そこはやしろの部屋だった。
初めて入るやしろの部屋は他の部屋とはどこか、違った雰囲気をかもしだしていた。
本棚の中は乱雑に本が積まれ、机の上や床に紙やら半紙やらが散らばっている。椅子や部屋の隅にも脱いだ上着などが適当に置かれている。
明らかに他の部屋とは違う。
この部屋には生活感があって、ほこりも積もっている。
荒い息を整えながら周囲を見回す。
この部屋なら妖狐郎がいるんじゃないのか?
ここはやしろの部屋。隠すならうってつけだろう。
隠すならこの本棚が怪しい。
そう思い本棚を探す。
縦に積まれた本棚の本にはいくつかほこりが被っており、ほとんどの本の題名がみみずのような文字か漢字のため読めない。
一つの本に目が止まる。
この本だけ、埃をかぶっていない?
最近触られたものだろうそれに手を伸ばす。
薄いその本には題名が書いておらず、周りのものよりも形が長く、広い。
本?というよりはノートに近いような気がする。
適当なページを開ける。
そこに描いてあるものを見ておれは驚いた。
この絵…おれ?……こっちもおれ、これもおれ……?
めくってもめくっても、目に入るのは自分の絵
しかも、最近の姿じゃない、もっと小さい頃に描かれたものもある。神社にいる時のおれもいれば、ばあちゃんの家でのんびりしているおれもいる。
もしかして、ずっと見られていたのだろうか?
ノートのはじめの方までページをめくる。
最初のページの下の方、やしろの文字ではない、もっと読みづらい字が書かれていた。
『お前は趣味が悪いね』
頭の中に安斎さんの顔がよぎる。
まさか、ね?あの優しくそうな安斎さんがおれをずっと見ていた…?
「あーあ、見られちゃった」
背中からやしろの声がする。
「それ、安斎の弟子に頼んで描いて貰ったんだよね。ほら、僕ここから出られないから」
後ろを振り向けない。
ずっと見られていた?おれの知らないところで?
ノートを見る。そこにかおれが風呂に入っている絵もあった。
「………きもちわる、」
ハッとして手で口をおおう。
声に出てしまっていた。
やしろの様子を伺うために後ろをゆっくり振り返る。
そこには、何も様子の変わらないやしろがいた。
よかった。今の発言に怒ってはいないみたいだ。
「それも、もういらないかな。……今は本物がいるもんね」
やしろがおれの腕を引っ張る。
そのまま廊下を引きずられる。
「い、いたいっ、はなしてっ」
やしろはおれの発言を無視して進む。
「別にね、あさとをここに閉じ込める方法なんていくらでもあるんだよ?ただ、痛いのは嫌かなって思ってたんだけど………。男の子だから我慢できるよね?」
やしろは虎の絵が描かれた部屋におれを放り投げる。
「いっった、」
小さなたんすの一番下の引き出しから何かを取り出す。
キランと光った何か、
コインじゃない……
それは、新品のナタだった。
「…ゃ、やしろ、まって、やめて!」
やしろはだんだんと近づいてくる。
「知ってる?ここで死ぬとね、永遠にここから出られないんだ。」
やしろが笑いながらナタを振り下ろす。
かんいっぱつのところでナタを避ける。
「やめてっ、やめて」
「…大丈夫だよ、痛いのは一瞬だけだから。」
再度下されるナタ、さっきよりも早くて、
避けきれなくて…
視界が真っ黒に染まった。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 1000 Thank_You!!
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
男同士で番だなんてあってたまるかよ
だいたい石田
BL
石堂徹は、大学の授業中に居眠りをしていた。目覚めたら見知らぬ場所で、隣に寝ていた男にキスをされる。茫然とする徹に男は告げる。「お前は俺の番だ。」と。
――男同士で番だなんてあってたまるかよ!!!
※R描写がメインのお話となります。
この作品は、ムーンライト、ピクシブにて別HNにて投稿しています。
毎日21時に更新されます。8話で完結します。
2019年12月18日追記
カテゴリを「恋愛」から「BL」に変更いたしました。
カテゴリを間違えてすみませんでした。
ご指摘ありがとうございました。
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる