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目指せ! 一般市民!!
しおりを挟むその昔、と言っても今から10年ほど前。
勇者といえば男と決まっていた時代。
どの勇者よりどの魔王より強い、最強の女勇者がいた。
カロリーナ・R・マロン。
全世界に名を轟かせた彼女には一つ、悩みがあった。
モテない。
美人でスタイルもよくて愛嬌だってある。
なのに。
モテない。
原因は....
強すぎるから。
その事実に気づいた彼女は、誰にも何も言わず、忽然と姿を消した。
それから10年。
小さな街の小さな一軒家。
慌ただしい朝のごくごく普通の風景。
「リリア、俺の帽子どこいったかな?」
「パパの書斎にないー?」
「ああ、あった。ありがとう」
「ママー! お腹すいたー!」
「テーブルにパンとハムエッグあるでしょー、一人で食べれる?」
「うんっ!」
洗濯物を干しながら、家族との他愛もない会話。
優しい旦那様に可愛い息子。
穏やかでほっこりする普通の日常。
コレよこれ!私が長年追い求めていたものは!
地位でも名誉でもお金でもない。
当たり前の女性としての当たり前のしあわせ。
リリアはしあわせを噛み締めながら、天を仰いだ。
だが。
平穏なしあわせな日々はそう長くは続かなかった。
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