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しおりを挟む「…え、えぇええぇぇえ!?」
「………何そんなに驚いてるんだ」
思わず大声を上げて目を見開くと、そんな俺を見てクスリと笑った先生が頬に手を添えて優しく微笑んだ。
「……っ先生、」
「ホントだよ」
「うそだ、」
「嘘じゃない」
「…っ嘘だ!」
絶対に信じない。だって、先生はそういう人だ。今までだって、こういうこと、してきたんだから。
強い意志を込めて強く否定する。頬に手を添えたままの先生を見上げて睨み付けた。
すると、すぅと先生の顔から表情が消えて、ゾクリと何かが背中を駆け下りた。
「………………じゃあ、試してみる?」
「……え、んぅ!」
頬に添えられていた手が顎へ滑り、逆の手で強引に引っ張られて椅子から立ち上がらされた。何かを言う前にその手段を奪われ、目の前にある先生の顔に頭が真っ白になった。
「!? ………ふ、…せ、ん…ぁ…!」
「…鼻で息するんだよ。ほら、」
「………っ、や、…は、ふ…ぅ…!」
触れるだけだったキスは、次第に噛みつくようなキスに変わって。
息をする間もなく続けられるそれに耐えきれなくなり、息をするために開いた隙間から先生の舌が入ってきて、だんだんと力が抜けていく。
崩れそうになる俺の腰に先生の手が回って、また強く抱きしめられて。お互いの鼓動が聞こえるほど近くになって、初めて気付く。
「(……先生の心臓、早い)」
禄な抵抗も出来ず、先生にしがみつくだけになっていた手から伝わってくる、リズムの早い鼓動。
「(もしかして、本当に…?)」
そう、思わずにはいられない。そう思って、何だか今更恥ずかしくなり無意識に閉じていた目を開けると、目を閉じていなかった先生と目が合った。
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