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しおりを挟む「……お前、修道者といったな」
「…へぇっ! あ、いえあの、はい!」
「……………そこまで怯えなくてもいいだろう」
「…あ、すみませ、」
ボロリ、と。突如涙が込み上げてきた。
話の最中だから当然おいちゃんはこっちを見ていて。虚をつかれたように、目を張った。
「……お、おい、そこまで凄んで無いだろう。……すまなかったから。だから泣きやめ」
一粒溢れたあとは、簡単だった。堰きとめられていたものが溢れ出して止まらなくなった。
それを隠すように座り込んで蹲れば、誤解を深めたのかおいちゃんが狼狽えながらも優しい言葉をかけてくれる。
「…………ぐずっ」
あぁもう、こんなんじゃ不審がられる。
赤の他人ならそれでいいって思ったじゃないか。なのに、目の前にすると、こんなにも…っ。
「………初対面で泣かれたのは、お前で二人目だ」
ぽつり、呟かれた言葉に、はっとなってまた激情が込み上げてくる。
「(…そうだ。俺、前世でも泣いて、…っ突然知らない人が世界に現れて、怖くて、それで…)」
でも、そんな俺に、おいちゃんは、
「『……大丈夫だ、危害を加えたりしない。俺はお前の、味方だ』」
リフレインした響きに、言葉がぴたりと重なった。
一字一句違わず、含まれる響きも変わらず、向けられる空色は、真っ直ぐで。
「……………ぁ、」
どれだけ経とうと、俺がどれだけ変わろうと、おいちゃんが向けるものは、同じ。
「………っ、…っっ、っ!」
「…あ、おい!!」
…駄目だ。この人がこの人である限り、俺はどれだけ変わろうと惹きつけられて仕方がない。
そう思ったら怖くなって、俺はその場から逃げ出した。
……だって、あんなに重いものを背負わせてしまったのに。
なのに、どんな顔をしてあの頃のように慕えるというのか。
『前世の分まで、お前の行く先に幸は必ずあるだろう』
駄目だよ神様! 俺だけが幸せになってどうするんだ…! あんなに苦しめてしまったのに! あれだけ背負わせてしまったのに!
ーーもう、あの頃になんて、戻れやしないのに!
「……『大好き』なんて、言えないよ………」
そんなことを言う権利は、俺にはもう無い。
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