少女が銃を手にした理由

カクア

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事の始まり

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五月の湿った空気が、紫藤澄香の肌にまとわりつく。ノロウイルスとインフルエンザという二重の災厄が、彼女の高校生活の始まりを一ヶ月も蝕んだ。
ようやく足を踏み入れた教室に、彼女の居場所はどこにもなかった。中高一貫校への途中編入という特殊な立場が、既に強固に形成された人間関係の城壁の前に、彼女を無力な孤立者として立たせていた。クラスメイト達が交わす放課後の約束や、弾むような笑い声の輪から、澄香だけがぽつんと弾き出されている。

さらに追い打ちをかけるように、復帰直後に行われた中間試験の結果は惨憺たるものだった。一ヶ月分の授業の遅れは致命的で、答案用紙は無惨な赤点に染まっていた。
「編入組のくせに、勉強もできないんだ」
誰かが投げたその言葉は、見えない烙印となって澄香の背中に押し付けられた。
家に帰っても、その孤独の色が薄まることはない。多忙な両親の帰宅はいつも深夜を過ぎ、静寂が支配する家でたった一人、夕食の皿を洗い、教科書を開き、冷たいベッドに潜り込む。そのルーティンが、彼女の世界の全てだった。

しかし、その静かな孤独が、地獄の入り口へと繋がっていることを、澄香はまだ知らなかった。

通学を再開して三日目の朝、満員電車のむせ返るような人いきれの中でそれは起こった。
最初の違和感が彼女の背筋を這い上がる。背後から押し付けられる、ただの混雑とは質の違う、粘つくような圧迫感。制服のプリーツスカート越しに硬い何かが断続的に当たる感触に、偶然だ、と懸命に自分へと言い聞かせた。だが、電車が駅に着き、人の波が引いて車内に空間ができても、その存在は消えない。むしろ、より明確な意図をもって、澄香の身体にその存在を主張してくる。

振り返ろうとしたその瞬間、低く掠れた男の声が、吐息と共に耳元に注ぎ込まれた。

「動くな」

その一言が、澄香の身体を鋼のように硬直させた。
脳裏に、忌まわしい記憶が鮮烈に蘇る。中学時代の剣道部。たった一人の女子部員だった彼女が、新入生の男子部員の練習台にされたあの日。未熟なはずの腕力にたやすく打ち負かされ、床に押し倒された。誰もいない道場で、しばらくの間、抵抗もできずに抱きしめられた屈辱と無力感。男性の圧倒的な力に対する根深い恐怖が、今、彼女の全身を縛り付けていた。

男は、澄香の全てを把握しているようだった。三十代後半だろうか、人混みに紛れれば記憶にも残らないような凡庸な顔立ちの男。澄香が時間をずらしても、乗る車両を変えても、亡霊のように必ず背後に現れた。

「今日も綺麗だな、澄香」男は、澄香が一つに束ねたポニーテールの毛先を指で弄びながら囁いた。「そのスタイル、そこらのガキとはレベルが違う。制服の上からでもわかる、その完璧なラインがそそるんだよ」

男の視線が、澄香の身体を執拗に撫で回すのが分かった。くびれたウエストから、豊かに膨らみ始めた胸へ。その発育の良さが、男子生徒からの好意的な視線を集めることがあるのは自覚していたが、今、それはただただ捕食者の食指を動かす餌でしかなかった。

「最近またデカくなったろ?」男の手が背後から伸び、制服のブレザーの上から、あからさまに乳房の輪郭をなぞった。「ブラ、きつそうじゃねえか。もうCカップじゃ収まりきらねえだろ。見てて苦しそうだぜ」

澄香の頬が、屈辱と羞恥で燃えるように熱くなった。事実だった。最近、ブラジャーのホックが窮屈に感じ始めていた。誰にも知られたくない身体の変化を、この汚らわしい男に見透かされている。その事実が、鋭い刃物のように心を抉った。
その日の放課後、澄香は当てもなく街を彷徨っていた。雑踏の中を歩いていても、背後からあの男の視線を感じるような気がして、何度も振り返ってしまう。そんな彼女の目に、ふと、雑居ビルの二階にある店の看板が飛び込んできた。「サバイバルホビーショップ」。ショーウィンドウに並べられた、黒光りするエアガンやモデルガンの数々。

何かに憑かれたように、澄香は古びた階段を上った。カラン、とドアベルが鳴り、油とプラスチックの混じった独特の匂いが鼻をつく。薄暗い店内には、迷彩服やミリタリーグッズが所狭しと並べられ、壁一面に様々な種類の銃が陳列されていた。それは、澄香が今まで生きてきた世界とは全く異質な空間だった。

「いらっしゃい。何かお探しで?」

カウンターの奥から、人の良さそうな店主が声をかけてきた。澄香は、自分が場違いな存在であることに気づき、俯いた。制服姿の女子高生が一人で立ち入るような場所ではない。

「あの…護身用に、何か…」

か細い声でそう言うのが精一杯だった。店主は一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに何かを察したように、ガラスケースの中から一丁の小さな銀色の拳銃を取り出した。

「これなんかどうかな。ワルサーPPK。女性でも扱いやすいコンパクトなモデルだよ。もちろん、これはBB弾も出ない、ただの形だけのモデルガンだから、法律的にも問題ない。まあ、お守りみたいなもんだね」

お守り。その言葉が、澄香の心に響いた。差し出されたモデルガンは、プラスチック製で驚くほど軽かったが、その冷たい質感とずしりとした見た目は、澄香に微かな安心感を与えた。これがあれば、もしかしたら。こんなものでも、持っているだけで何かが変わるかもしれない。それは十六歳の少女が必死に掴もうとした、あまりにも稚拙で、脆い希望の藁だった。

「…これを、ください」

澄香は震える手で代金を支払い、箱に入れてもらったモデルガンをスクールバッグの奥深くにしまい込んだ。

翌朝、スカートのポケットに入れたモデルガンの、硬い感触を確かめながら、澄香はいつもより少しだけ強く自分を保っていられた。しかし、その脆い希望は、満員電車の中でいとも容易く粉々に打ち砕かれた。男の手が澄香のスカートのポケットに滑り込み、冷たい金属の塊を弄ぶ。

「へえ、面白いもん持ってんじゃねえか」声には侮蔑と嘲笑が滲んでいた。「こんなオモチャで、俺相手に何ができるってんだ?」

絶望が澄香の全身を覆った。もう逃げ場はない。その日から、男の行為は際限なくエスカレートしていく。ブラウスの上から執拗に胸を揉みしだき、太腿の内側に爪を立て、時にはスカートの中にまで手を滑り込ませようとする。澄香の身体が、意志に反して小さく震え、熱を帯びる。その生理的な反応を、男は勝利の証とばかりに楽しんでいた。

「いい反応じゃねえか。身体は正直だな」男の吐息が耳にかかる。「本当は嫌じゃねえんだろ?お前も求めてるんだ」

「やめ…て……」か細い声が、唇から漏れた。

誰にも言えない。両親には心配をかけたくない。相談できる友達もいない。教師に、この屈辱をどう説明すればいいのか。

そして、運命の日が来た。電車を降りた瞬間、男が澄香の腕を強く掴んだ。

「今日は最後まで付き合ってもらうぜ」

男は有無を言わさず、澄香を人気のない路地裏へと引きずり込もうとした。ショックと恐怖で身体が動かない。抵抗できない。澄香の目の前に、男はスマートフォンを突きつけた。画面に映し出されていたのは、電車の中で怯え、屈辱に耐えながらも、男の責めに反応してしまう自分の姿だった。いつの間に。

「どうだ?いい顔してるだろ」男は下卑た笑みを浮かべた。「これをお前の学校の連中に見られたくなかったら、大人しくついてこい」

脅しは絶対だった。澄香は崩れ落ちそうになる膝を必死に支え、なされるがままに男の後に続いた。まさにその時だった。

「澄香?」

聞き覚えのある声。振り返ると、中学時代のクラスメイトが、怪訝な顔でこちらを見ていた。男は忌々しげに舌を打ち、澄香の腕を乱暴に振り払うと、脅すように一瞥をくれてから雑踏の中に消えていった。

雨が降り始めていた。

友人と別れた後も、澄香は家に帰る気になれなかった。当てもなく濡れたアスファルトを彷徨い、雨宿りのために古びたビルのゴミ捨て場に足を踏み入れた。乱雑に積まれたゴミ袋の山の中に、場違いなほど丁寧に黒いビニールで包まれた一画があった。何かに引かれるように、現実から逃避したい一心で、澄香はその包みに手を伸ばした。

ビニールを破った瞬間、澄香は息を呑んだ。

冷たく、鈍い光を放つ、本物の拳銃だった。モデルガンとは比較にならない、ずしりとした金属の重量感。弾倉を確かめると、そこに実弾が込められているのが分かった。その圧倒的な存在感が、澄香の掌に死の感触を伝えてくる。

警察に届けなければ。理性が警鐘を鳴らす。だが、彼女の身体は、その声に逆らっていた。澄香は震える手で銃を拾い上げ、自分のスクールバッグの奥深くに押し込んだ。

翌日、バッグの中に潜む冷たい鉄の塊を感じながら、澄香は駅へと向かった。ホームに立ち、迫り来る電車の轟音を聞きながら、足がすくむ。今日こそ、本当に。あの男に、全てを奪われるかもしれない。恐怖が足元から這い上がり、身体を動かなくさせた。

「どこに行こうってんだ?」

背後から、あの忌まわしい声がした。澄香の躊躇いすら、男にはお見通しだった。

「さあ、乗れよ」

有無を言わさず背中を押され、澄香は満員電車の中に突き飛ばされた。ドアが閉まると同時に、男の身体が背中に密着する。

「今日は特別プログラムだ。レイプの前座、たっぷり味わわせてやる」

男の手は、これまでとは比べ物にならないほど大胆かつ執拗だった。ブラウスの薄い布地の上から乳房を鷲掴みにし、指がレースのブラジャーの縁を探る。スカートの中に侵入した手は、太腿の内側を這い上がり、下着のラインをなぞった。

「っ…ぁ…」

意志に反して漏れた小さな喘ぎに、男は満足げに喉を鳴らした。澄香は唇を固く噛み締め、ただ耐え続けた。バッグの中の銃の存在が、かえって彼女の無力さを際立たせる。こんなもの、使えるはずがない。

電車を降りると、休む間もなく腕を引かれ、人気のない廃工場へと引きずり込まれた。錆びた鉄骨と割れた窓ガラスが、まるで巨大な骸骨のように、灰色の空を背景に聳え立っている。ここでなら、誰の助けも来ない。

「今度こそ、誰にも邪魔はさせねえぞ」

廃工場に引きずり込まれた澄香の腹部に、男の重い拳がめり込んだ。息が詰まり、「ぐっ」という呻きと共に身体がくの字に折れる。男はその好機を逃さず、無防備になった澄香の身体を、容赦なく冷たいコンクリートの床に押し倒した。
男はポケットからスマートフォンを取り出し、その無機質なレンズを起動させる。その黒い瞳が、絶望に歪む澄香の顔を冷酷に捉えた。

「記念に撮ってやるよ。これから始まるお前の痴態、しっかり記録に残してやろうじゃねえか」

その言葉が、澄香の心を縛る最後の見えない鎖となった。男は彼女のブレザーを乱暴に引き剥がし、白いブラウスのボタンに指をかける。一つ、また一つと、プラスチックのボタンが引きちぎられ、レースのブラジャーに包まれた白い双丘が、薄暗い光の中に露わになっていく。


「いやあああああっ!」

甲高い悲鳴が、がらんとした廃墟に虚しく響き渡っる。
「やっぱりな…最高だ」男は感嘆の声を漏らし、ブラジャーの上からその柔らかさを確かめるように揉みしだいた。「まだ十六だってのに、この形、この弾力…たまらねえよ」

男は泣きじゃくる澄香に覆いかぶさると、彼女の唇を乱暴に塞いだ。初めてのキス。男の湿った舌が、固く閉じた歯列をこじ開け、口内を蹂躙する。澄香は顔を背けようと必死に抵抗するが、男の巨大な掌が彼女の後頭部を掴み、コンクリートに押さえつけた。

「んんっ…ふぅ…やめ…」

声にならない抗議は、さらに深い口づけによって飲み込まれる。同時に、男のもう一方の手が、電車の中とは比べ物にならないほど直接的に、彼女の身体を蝕み始めた。スカートの薄い布地をたくし上げ、下着の中に滑り込んだ指先は、迷うことなく彼女の最も敏感な場所を探り当てた。電車の中での執拗な愛撫で、男は既に澄香の身体の反応を熟知していたのだ。

「あっ…!やっ、そこ…やめてっ…!」

舌で口内をかき乱されながら、下半身を的確に責め立てられる。二方向からの侵略に、澄香の思考は完全に麻痺した。屈辱と、身体が勝手に覚えてしまった不快な快感が混ざり合い、脳が焼き切れそうになる。男は彼女のぎこちない反応と、意志に反して漏れる小さな喘ぎを聞き、満足げに喉を鳴らした。

「おいおい、嘘だろ。初めてかよ」

男は唇を離すと、心底嬉しそうに歪んだ笑みを浮かべた。「彼氏もいたことねえんだな?そりゃ最高だ。お前の初めての男は、この俺ってわけだ」

その言葉に絶望しながらも、澄香は最後の力を振り絞って懇願した。

「おねがい…します…やめてください…なんでも…しますから…」

「なんでもする、か?」男は面白そうに澄香の言葉を繰り返し、力任せにブラジャーのホックを引きちぎった。「いいぜ、じゃあ楽しませろよ」

解放された乳房が、冷たい空気に晒される。男は再び深く唇を奪い、舌を絡めながら、下着の中の指をさらに激しく動かした。澄香のポニーテールを束ねていたゴムが引きちぎられ、艶やかな黒髪が汚れた床に扇のように広がる。

「んんっ…ぁ…いや…!いやだって、言ってるのに…!」

澄香の涙声の抵抗は、男の性的興奮を煽る燃料でしかなかった。内部を抉るような指の動きに、澄香の身体が屈辱的にけいれんする。

「ほら、いい反応じゃねえか。口では嫌だとか言って、身体は正直だな。ちゃんと感じてんだろ、ビクビクしやがって」

男は勝ち誇ったように笑うと、澄香の頬を掴んで無理やり上を向かせ、自分のズボンのジッパーを下ろした。硬く膨張したものが、彼女の顔の前に突きつけられる。

「さあ、ご奉仕の時間だ。キスが初めてなら、これも初めてだろ?味覚から、俺の味をしっかり体に刻み込め」

「いや…!それだけは…!おねがい…!」

澄香の必死の懇願を鼻で笑い、男は彼女の後頭部を掴むと、自身の性器を無理やりその小さな口に押し込んだ。鉄錆のような生臭い味が口いっぱいに広がり、吐き気がこみ上げる。だが、男の力が強すぎて、吐き出すことすらできない。内部から汚されていく感覚。味覚が屈辱を記憶していく。

「お前、本当に最高だな…」

男は満足げに腰を動かし、澄香が涙と涎でぐちゃぐちゃになるのを楽しんでいる。しばらくして、ようやく解放された澄香は、床に突っ伏して激しく咳き込んだ。男は冷酷にスマートフォンのカメラを澄香の顔に突きつけた。

「さあ、カメラに向かって言え。『私、紫藤澄香は、自分から進んで身体を捧げます』…いや、『私を犯してください』の方がそそるな。さっさと、言え」

「そんな…こと…言えるわけ…ない…」

「言わねえのか?ならこの動画、お前の学校の掲示板にでも貼ってやろうか?お前の可愛いクラスメイトたちが、お前のこの無様な姿をどう思うかなぁ?」

その脅しは絶対的な力を持っていた。澄香は、涙でぐしゃぐしゃになった顔で、震える声で、男の要求通りの言葉を屈辱的に繰り返した。「…わ、たしを…おかして…ください…」

完璧な勝利を確信したのだろう。男は下卑た笑みを浮かべ、自分の服を完全に脱ぎ去ろうと、ほんの一瞬、澄香の上から身体を離した。

その、刹那の隙間。

澄香の腕が、もはや意志ではなく、生存本能に突き動かされてしなった。床に転がったスクールバッグに指が触れ、その中から冷たい鉄の塊を引きずり出す。

震える手で銃を構える澄香を見て、男はまだ嘲笑を浮かべていた。

「まだそのオモチャにすがるのか?本当に諦めの悪い女だな」

澄香の細い指が、引き金を引いた。

乾いた轟音が、廃工場に木霊した。

男の表情が、嘲笑から驚愕、そして激痛へと瞬時に変わる。彼の右耳があった場所から、鮮血が噴水のように吹き出し、背後のコンクリートの壁に生々しい赤い染みを描いた。

「ぎゃあああああああっ!」

耳を押さえて床を転げ回る男の絶叫。憎悪に燃える目が、まだ銃口をこちらに向ける澄香の姿を捉えた瞬間、その憎悪は本能的な恐怖に塗り替えられた。

「き、貴様…!このクソアマが…!覚えてやがれ…!必ず殺してやる…!」

男は、血を滴らせながら、よろめく足で必死に出口へと向かい、雑草の茂る向こうへと逃げ去っていった。

静寂が戻った工場に、澄香の荒い呼吸だけが響く。床に落ちていたスマートフォンを拾い上げると、彼女はそれを何度も、何度も、コンクリートに叩きつけた。画面が蜘蛛の巣状に砕け、黒いプラスチックの破片が飛び散るまで。

その日、澄香は学校へは行かなかった。まっすぐ家に帰り、シャワールームに駆け込む。男の汗と唾液の臭いを洗い流そうと、皮膚が赤くなるほど熱い湯を浴び続けた。だが、記憶は洗い流せない。身体に残る感触、口内に残る味、耳にこびりつく銃声、壁に飛び散った血の赤、そして——自分が、人を撃ったという事実。

シャワーから出ると、ベッドに崩れ落ち、声を殺して泣いた。いや、声は殺せなかった。静まり返った家の中に、堰を切ったような慟哭が響き渡った。

あの日以来、電車の中で男の姿を見ることは二度となかった。テレビのニュースが発砲事件を報じることもなかった。

しかし、失われた平穏は戻らない。痴漢の記憶と、引き金を引いた指の感觸が、澄香の心に深く暗い影を落としていた。

一週間後、澄香は再びあの廃工場を訪れた。あの日、自分が叩き壊したはずの場所。しかし、コンクリートの床は掃き清められたように綺麗で、スマートフォンの破片一つ、見当たらなかった。

誰かが掃除したのか。それとも、あの男が回収しに来たのか。

まさか——破壊したはずのデータが、残っていたのではないか。

そして、どうしてあの男は、私の名前を知っていたのだろう。脅して言わせるよりずっと前に、満員電車の中で、彼は確かに「澄香」と呼んだ。

男の最後の捨て台詞が、澄香の脳内で不気味に反響する。「覚えてやがれ…!必ず殺してやる…!」

消し去ったはずの屈辱の記録が、今もどこかで生き続けているかもしれない。その冷たい予感が、彼女の新たな悪夢の始まりを告げていた。
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