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対決
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つい数刻前まで熱心な議論が行われていた兵舎一階の集会所も今は人影はなく、大机を挟んで椅子に座るレナと地べたに寝そべった大黒虎の姿をしたセブルだけだった。
レナはじっとセブルを見つめる。セブルは全く気にする様子もなくツンとした表情で暇そうに尻尾の先で床を一定のリズムで叩いていた。
重たい空気がこの広い空間を圧迫していたがセブルの尻尾が出す音に割り込むように声を上げたのはレナだった。
「ねぇセブル。あんたさぁ。あたしたちが喋ってることちゃんと理解してるんでしょ」
レナから掛けられた言葉にセブルは視線も向けない。しかし尻尾が床をたたくリズムが乱れてすぐに持ち直した。
「ふーん。あっそう、無視するんだ」
大机に片肘をついて顎を乗せるレナは話を続ける。
「あんたの行動ってただの動物が懐いているように見えないんだよね。大人しく毛皮に擬態したりしてたあたりからなにか違和感があったけど、ここにきてあんたのその変身の能力とかユウトの指示に的確に答える様子ってしっかり意思疎通できなきゃ説明できないよねー」
今回のセブルは反応を見せない。その様子にレナは大きくため息をついた。
「あっそ。まぁいいか。あんたがそんな態度でもユウトは答えてくれるでしょ。あたしの近くじゃなんでかそわそわして落ち着きないし。言い寄れば何とかなるかなー」
レナはわざとらしく独り言を大きな声で言い放ち両手を天井に突き出し身体を伸ばす。その時セブルの耳がぴくッと震えた。
その変化にレナは気づいてセブルを見つめる。セブルは立ち上がりレナの方へ頭を向けるとじっと見つめた。
「おっ、どうするの?今のあんたならあたしを簡単に殺せるんじゃない?」
レナの煽るような言い方にセブルの全身の毛が揺らめき激しく波打つ。それを見たレナは椅子から立ち上がり腰を低く構えた。
大机を挟んでレナとセブルの間で空気が張り詰める。
波打つセブルの毛は眼をそのままに渦を巻くと黒い虎を形作ったシルエットが崩れまた何かを形作りだす。再び成形された頭、両手、胴、両足が現れ最後に尻尾が浮かび上がると人体の輪郭が浮かび上がった。
その人体のラインは緩やかな曲線を描き、やまなりの胸と張り出した腰回りは女性としての体つきを強調している。
全身真っ黒に青い瞳はセブルと変わらない。人体との差異はネコのように上へ突き出す大きな耳と尻尾があること。そして白眼までも黒い。
全身真っ黒にもかかわらず明らかに怒りの表情を浮かべていることがレナに理解できるのは
髪や肌でそれぞれ光沢が違っているからだった。特に肌はきめ細かく短い毛で覆われ艶のような光沢を放っている。
セブルは毛が立ち大きく振らんだ尻尾を天井に向け、緩い癖のついた長髪は風もないのに揺らめいている。爪のとがった両手を胸元まで上げると目の前の大机に真っ直ぐ振り下ろした。
苛立ちをぶつけられるように叩かれた大机は破裂音を響かせる。セブルは間髪入れずに見開いた瞳をそのままに声を発した。
「ユウトさんの苦労も知らないで余計なことをするな!」
一連のセブルの変化と行動にレナは拍子抜けしてしまった。
「なにあんた。人になれたの?」
「言葉伝わんないからわざわざなってやったの!誰にも見せるつもりなかったのに!こぉのバカ!」
レナは目を細め眉間にシワをよせると言葉を返した。
「思考も意思疎通もできるくせして畜生のふりしてたやつが偉そうにすんな!」
「ユウトさんがどれだけお前に気を使ってるかわかってない鈍感にどうのこうの言われたいくない!」
思わぬ角度からの悪口にレナには話が見えず戸惑う。
「ハァ?何それ。なんでユウトがあたしに気を使うの?」
「それはっ!そのっ・・・えっと・・・言えない」
セブルは声のトーンが一気に弱まり、逆立つ勢いだった毛がしおれてしまう。
「待って待って。そこ大事なところでしょ。あたし悪口言われ損じゃん」
態度が一変したセブルにレナはつっこみを入れ、追い打ちをかける。
「うううぅ・・・ボクが言ったってユウトさんには黙っててよ。絶対だからな」
セブルは目を伏せレナから目線をそらしもじもじと考え込んだのち語りだす。
「ユウトさんはあの体のせいかすっごく欲情しやすい。お前のことを異性として過剰に意識してしまう・・・だから必死に我慢して紛らわして意識しない様にしてんのにぃべたべたしてんじゃないよ!」
終盤は半ばやけくそになってセブルは言い放つ。そしてレナの反応をおそるおそる観察した。
「えっ。なに?にやついてる?」
「いっいや。ほらっ。あたしのこと女性扱いするやつなんていたんだって思うとなんか変な気分でさっ。なんだろう、この感覚」
レナは目線が泳ぎ、明らかに動揺しているように見える。今度はセブルの眉間に縦すじが入った。
「なにをのんきな!死ぬ気で苦労してるって言ってんの!鈍感!ガサツ!ばっ」
前のめりになってレナを指差しまくし立てていた最中だったセブルは突然、頭に向かって全身が収縮して黒い塊になる。
「あっ」
そのまま大机の上にベたんと打ち付けた。
そしてすぐに四肢と目、口、耳、尻尾が形成され一瞬呆然としたかと思うとその場で駄々をこねるようにじたばたしながら鳴きわめく。一部始終を目の当たりにしたレナはぺたんと椅子に腰を下ろすと脱力し、大きなため息を一つついた。
レナはじっとセブルを見つめる。セブルは全く気にする様子もなくツンとした表情で暇そうに尻尾の先で床を一定のリズムで叩いていた。
重たい空気がこの広い空間を圧迫していたがセブルの尻尾が出す音に割り込むように声を上げたのはレナだった。
「ねぇセブル。あんたさぁ。あたしたちが喋ってることちゃんと理解してるんでしょ」
レナから掛けられた言葉にセブルは視線も向けない。しかし尻尾が床をたたくリズムが乱れてすぐに持ち直した。
「ふーん。あっそう、無視するんだ」
大机に片肘をついて顎を乗せるレナは話を続ける。
「あんたの行動ってただの動物が懐いているように見えないんだよね。大人しく毛皮に擬態したりしてたあたりからなにか違和感があったけど、ここにきてあんたのその変身の能力とかユウトの指示に的確に答える様子ってしっかり意思疎通できなきゃ説明できないよねー」
今回のセブルは反応を見せない。その様子にレナは大きくため息をついた。
「あっそ。まぁいいか。あんたがそんな態度でもユウトは答えてくれるでしょ。あたしの近くじゃなんでかそわそわして落ち着きないし。言い寄れば何とかなるかなー」
レナはわざとらしく独り言を大きな声で言い放ち両手を天井に突き出し身体を伸ばす。その時セブルの耳がぴくッと震えた。
その変化にレナは気づいてセブルを見つめる。セブルは立ち上がりレナの方へ頭を向けるとじっと見つめた。
「おっ、どうするの?今のあんたならあたしを簡単に殺せるんじゃない?」
レナの煽るような言い方にセブルの全身の毛が揺らめき激しく波打つ。それを見たレナは椅子から立ち上がり腰を低く構えた。
大机を挟んでレナとセブルの間で空気が張り詰める。
波打つセブルの毛は眼をそのままに渦を巻くと黒い虎を形作ったシルエットが崩れまた何かを形作りだす。再び成形された頭、両手、胴、両足が現れ最後に尻尾が浮かび上がると人体の輪郭が浮かび上がった。
その人体のラインは緩やかな曲線を描き、やまなりの胸と張り出した腰回りは女性としての体つきを強調している。
全身真っ黒に青い瞳はセブルと変わらない。人体との差異はネコのように上へ突き出す大きな耳と尻尾があること。そして白眼までも黒い。
全身真っ黒にもかかわらず明らかに怒りの表情を浮かべていることがレナに理解できるのは
髪や肌でそれぞれ光沢が違っているからだった。特に肌はきめ細かく短い毛で覆われ艶のような光沢を放っている。
セブルは毛が立ち大きく振らんだ尻尾を天井に向け、緩い癖のついた長髪は風もないのに揺らめいている。爪のとがった両手を胸元まで上げると目の前の大机に真っ直ぐ振り下ろした。
苛立ちをぶつけられるように叩かれた大机は破裂音を響かせる。セブルは間髪入れずに見開いた瞳をそのままに声を発した。
「ユウトさんの苦労も知らないで余計なことをするな!」
一連のセブルの変化と行動にレナは拍子抜けしてしまった。
「なにあんた。人になれたの?」
「言葉伝わんないからわざわざなってやったの!誰にも見せるつもりなかったのに!こぉのバカ!」
レナは目を細め眉間にシワをよせると言葉を返した。
「思考も意思疎通もできるくせして畜生のふりしてたやつが偉そうにすんな!」
「ユウトさんがどれだけお前に気を使ってるかわかってない鈍感にどうのこうの言われたいくない!」
思わぬ角度からの悪口にレナには話が見えず戸惑う。
「ハァ?何それ。なんでユウトがあたしに気を使うの?」
「それはっ!そのっ・・・えっと・・・言えない」
セブルは声のトーンが一気に弱まり、逆立つ勢いだった毛がしおれてしまう。
「待って待って。そこ大事なところでしょ。あたし悪口言われ損じゃん」
態度が一変したセブルにレナはつっこみを入れ、追い打ちをかける。
「うううぅ・・・ボクが言ったってユウトさんには黙っててよ。絶対だからな」
セブルは目を伏せレナから目線をそらしもじもじと考え込んだのち語りだす。
「ユウトさんはあの体のせいかすっごく欲情しやすい。お前のことを異性として過剰に意識してしまう・・・だから必死に我慢して紛らわして意識しない様にしてんのにぃべたべたしてんじゃないよ!」
終盤は半ばやけくそになってセブルは言い放つ。そしてレナの反応をおそるおそる観察した。
「えっ。なに?にやついてる?」
「いっいや。ほらっ。あたしのこと女性扱いするやつなんていたんだって思うとなんか変な気分でさっ。なんだろう、この感覚」
レナは目線が泳ぎ、明らかに動揺しているように見える。今度はセブルの眉間に縦すじが入った。
「なにをのんきな!死ぬ気で苦労してるって言ってんの!鈍感!ガサツ!ばっ」
前のめりになってレナを指差しまくし立てていた最中だったセブルは突然、頭に向かって全身が収縮して黒い塊になる。
「あっ」
そのまま大机の上にベたんと打ち付けた。
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