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充填
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砦の片隅にある兵舎の一室。魔術灯の柔らかい明かりに照らされながらユウトは目の前の盾を組み込まれたガントレットに向かい合っている。今手を伸ばして前腕部中ほどにある魔力の入力板を掴んだ。
そしてユウトは気持ちを落ち着かせ自身の手のひらに意識を集中していく。すると体から何かがゆっくりと抜け出ていく感覚があった。
それはユウトの持つ魔剣とは違い強く送り出すイメージを持っても一定以上の魔力が抜け出ていく様子はない。何か安全装置のようなものが働いているのかもしれないとユウトは感じた。その分、急いで魔力を補充することもできそうにない。
「どうだい?問題はないだろうか」
机を挟み対面に座ったディゼルはユウトに声をかけてくる。ユウトが視線をディゼルに移して確認してみるといたって自然体で机に両手を組んで置いている。
「大丈夫。順調に補充はできてると思う」
「そうか。ならよかった。明朝までにどれくらい魔力は充填できそうか、もしわかれば教えて欲しい」
「わかった。調べてみるよ」
ヨーレンから別れる直前に教わった魔力量の感じ方のコツをユウトは思い出す。
何かしらわかりやすいメーターがあるわけではなく、曖昧なものだったが集中し感覚を研ぎ澄ませれば何となく掴むことができる。魔力を送り続けるユウトは自身の魔力量、溜め続ける魔術具の魔力量を比較してみた。不思議と自身の魔力量を掴むのと同じ感覚で魔術盾の最大充填量も把握できる。まるで自身の空腹感覚を数値化するような感覚だった。
そして自身の魔力量と比べ余裕があることが分かる。入力量に上限があるため時間が思った以上にかかることも分かった。
「しばらく時間がかかりそうなんだけど明朝まであとどのくらいあるかわかるか?」
「ああ。あそこに時計が置いてある。見方を教えよう」
ディゼルが指示した先にはユウトにも見慣れた円盤と中央から伸びた針のまさしく時計が掲げられている。薄暗くて気づかなかったが確かに秒針にあたる針が音もなく動いていた。
ユウトはその文字盤を読み取ることができなかったがディゼルは時計の読み方、明朝の時刻を丁寧にユウトへ教えてくれる。あまりに突拍子もない魔術の存在には非現実すぎて圧倒され続けてきたユウトだったがなぜか時計という存在でこの世界への親近感を持った。
「大丈夫かユウト。理解できなかったか?」
じっと時計を見つめていたユウトを気遣いディゼルが声をかける。
「いや、大丈夫。ちょっと感動してただけかな。それで作戦結構までには充填は終わりそうだ。入力量に制限がなければもっと早くできるんだけど」
ユウトの答えにディゼルは顔の緊張が解け感心したような表情をする。
「すごいな君は。まだ魔力が残っていたとはいえ充填を終えることができるとまでは思っていなかった」
そういうとディゼルは急に真顔になり口に手を当て考え込む。
「もしユウトが良ければ君のこれまでの経緯について教えてくれないか。君を疑うわけじゃない。ただ君の能力はすでに型破りだ。おそらくそのゴブリンの体が理由と思うがその経緯について本人の視点から聞いておきたい」
ディゼルから敵意は感じられない。ただささいな不安を抱いたことはユウトにはわかる。この後の共同作戦のことを考えると隠し事や話をはぐらかすことでディゼルにより不信感を持たれてしまうのはよくないとユウトは考えた。
「わかった。オレが見てきたことを教えるよ。オレは見当もつかないほど遠くから連れてこられてた。そして気づけば・・・」
それからユウトは魔術盾の魔力の充填を行いつつこれまでの経緯を説明する。ただ異世界からやってきたこと、セブルの正体、感覚の鋭敏化と劣情は嘘にならない程度のあいまいな言い方をした。
そしてユウトは最後まで語り終える。
「つまり今の目標は大工房で自身の正体をはっきりさせることなのか」
ディゼルは最後にユウトの現在の目的について確認をとりユウトもその通りと答えた。
「不快だったかもしれないが話してくれて感謝する。
確かに君の存在は調査がはっきりするまでは内密にしておくのがいいだろうね。ゴブリンの姿をした人、というのは世の中に与える影響が大きすぎる」
ディゼルの納得する言葉を聞いてユウトは一つ、この切迫した状況で忘れかけていた疑問への解答のことを思い出し、胸がざわめく。確かめるならこのタイミングしかないと思い立ち覚悟を決めてディゼルに語り掛けた。
「正直に答えたことへの見返りとして、といえば大げさなんだけど一つ教えて欲しいことがあるんだけどいいかな?」
「ああ、かまわないよ。真剣に答えよう」
ディゼルはユウトがさっきまでと違うユウトの雰囲気を感じ取り向かい合った。
「ゴブリンがこれまで何をしてきたのかゴブリンとは何か、教えて欲しい」
そしてユウトは気持ちを落ち着かせ自身の手のひらに意識を集中していく。すると体から何かがゆっくりと抜け出ていく感覚があった。
それはユウトの持つ魔剣とは違い強く送り出すイメージを持っても一定以上の魔力が抜け出ていく様子はない。何か安全装置のようなものが働いているのかもしれないとユウトは感じた。その分、急いで魔力を補充することもできそうにない。
「どうだい?問題はないだろうか」
机を挟み対面に座ったディゼルはユウトに声をかけてくる。ユウトが視線をディゼルに移して確認してみるといたって自然体で机に両手を組んで置いている。
「大丈夫。順調に補充はできてると思う」
「そうか。ならよかった。明朝までにどれくらい魔力は充填できそうか、もしわかれば教えて欲しい」
「わかった。調べてみるよ」
ヨーレンから別れる直前に教わった魔力量の感じ方のコツをユウトは思い出す。
何かしらわかりやすいメーターがあるわけではなく、曖昧なものだったが集中し感覚を研ぎ澄ませれば何となく掴むことができる。魔力を送り続けるユウトは自身の魔力量、溜め続ける魔術具の魔力量を比較してみた。不思議と自身の魔力量を掴むのと同じ感覚で魔術盾の最大充填量も把握できる。まるで自身の空腹感覚を数値化するような感覚だった。
そして自身の魔力量と比べ余裕があることが分かる。入力量に上限があるため時間が思った以上にかかることも分かった。
「しばらく時間がかかりそうなんだけど明朝まであとどのくらいあるかわかるか?」
「ああ。あそこに時計が置いてある。見方を教えよう」
ディゼルが指示した先にはユウトにも見慣れた円盤と中央から伸びた針のまさしく時計が掲げられている。薄暗くて気づかなかったが確かに秒針にあたる針が音もなく動いていた。
ユウトはその文字盤を読み取ることができなかったがディゼルは時計の読み方、明朝の時刻を丁寧にユウトへ教えてくれる。あまりに突拍子もない魔術の存在には非現実すぎて圧倒され続けてきたユウトだったがなぜか時計という存在でこの世界への親近感を持った。
「大丈夫かユウト。理解できなかったか?」
じっと時計を見つめていたユウトを気遣いディゼルが声をかける。
「いや、大丈夫。ちょっと感動してただけかな。それで作戦結構までには充填は終わりそうだ。入力量に制限がなければもっと早くできるんだけど」
ユウトの答えにディゼルは顔の緊張が解け感心したような表情をする。
「すごいな君は。まだ魔力が残っていたとはいえ充填を終えることができるとまでは思っていなかった」
そういうとディゼルは急に真顔になり口に手を当て考え込む。
「もしユウトが良ければ君のこれまでの経緯について教えてくれないか。君を疑うわけじゃない。ただ君の能力はすでに型破りだ。おそらくそのゴブリンの体が理由と思うがその経緯について本人の視点から聞いておきたい」
ディゼルから敵意は感じられない。ただささいな不安を抱いたことはユウトにはわかる。この後の共同作戦のことを考えると隠し事や話をはぐらかすことでディゼルにより不信感を持たれてしまうのはよくないとユウトは考えた。
「わかった。オレが見てきたことを教えるよ。オレは見当もつかないほど遠くから連れてこられてた。そして気づけば・・・」
それからユウトは魔術盾の魔力の充填を行いつつこれまでの経緯を説明する。ただ異世界からやってきたこと、セブルの正体、感覚の鋭敏化と劣情は嘘にならない程度のあいまいな言い方をした。
そしてユウトは最後まで語り終える。
「つまり今の目標は大工房で自身の正体をはっきりさせることなのか」
ディゼルは最後にユウトの現在の目的について確認をとりユウトもその通りと答えた。
「不快だったかもしれないが話してくれて感謝する。
確かに君の存在は調査がはっきりするまでは内密にしておくのがいいだろうね。ゴブリンの姿をした人、というのは世の中に与える影響が大きすぎる」
ディゼルの納得する言葉を聞いてユウトは一つ、この切迫した状況で忘れかけていた疑問への解答のことを思い出し、胸がざわめく。確かめるならこのタイミングしかないと思い立ち覚悟を決めてディゼルに語り掛けた。
「正直に答えたことへの見返りとして、といえば大げさなんだけど一つ教えて欲しいことがあるんだけどいいかな?」
「ああ、かまわないよ。真剣に答えよう」
ディゼルはユウトがさっきまでと違うユウトの雰囲気を感じ取り向かい合った。
「ゴブリンがこれまで何をしてきたのかゴブリンとは何か、教えて欲しい」
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