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吐露
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レナはひたすら無心に歩みを進める。部屋の扉をでて何も持たず雨が降り続く外に出ても変わらず歩いた。ふらふらと目的もなく庭の道を出口に向かって進む。鼻息の荒い呼吸に打ち付ける雨を気にする様子もなく何かを忘れ去ろうとするようだった。
うつむいたまま危うい足取りのレナを追う黒い影がある。セブルはユウトに許可を取ったあと、急いでレナを追った。レナの後姿を見つけるとセブルは大きく空気を取り込み、体を膨張させる。大きなネコ科の動物を形作るとさらに続けて姿を変え始めた。
「レナ!レナっ!待ちなよ」
自身を呼び止める声にレナは苛立つように速度を上げる。レナを呼ぶ声はあきらめることなく近づきつづけレナは後ろから手を掴まれた。
レナのいら立ちは頂点に達する。
「うるさい!かまうな!」
そう叫びながらレナは何かに掴まれた腕を振り返ることなく力任せに大きく振るう。掴んだ何かを振り払ったが何か違和感をレナは感じた。
「へぶっ!」
直後、後ろで変な声と水を叩く音がする。違和感とともに起きた音に反応してレナは振り返った。すぐ目に入ったのは先ほど出てきた家、そこから視線を落とすと雨でできたであろう小川のような水たまりに飛び込んでいる黒い何か。レナは何かに気づき慌ててしゃがみ込むとつんのめって転倒したセブルを引き上げた。
セブルの姿は小さな女の子をしている。その特徴は大橋砦で一対一で向き合った人型と変わらない漆黒の前身と猫ような耳と尻尾を持っていた。
「あんた、セブルか。ごめん。大丈夫?」
レナはセブルを立ち上がらせると泥水に濡れて汚れた全身を手で拭い落す。レナ自身は汚れることを気にも留めず膝をつきながら考えもしなかった自身の行動の結果をセブルに謝り続けた。
「ボクのことはいいよ。大したことじゃない」
セブルは真正面にあるレナの顔をじっと見つめながら以前より高くなった声で冷静に語り掛ける。慌てていたレナはセブルの言葉を聞いて急に落ち着きを取り戻して手を下ろしセブルの足元を見つめた。
「みんな心配している。ユウトさんはレナを追おうとしたけどジヴァに止められたからボクがその役割をかってでた。だからレナには話が終わるまでに立ち直ってもらう」
「立ち直るって・・・」
淡々とした力強さを持ったセブルの口ぶりと対照的にレナはか細い声で言葉を返す。
「あたしだって何をどうしていいかわかんないんだよ。死んだと思ってた姉さんが生きていて、人でなくなっていて・・・」
細い声は語るうちにさらに小さくなっていく。崩れ落ちていきそうなほどレナはうなだれ手を地につけて泥を握った。
その様子をセブルは眉一つ動かさず見つめる。レナの言葉が途切れると広げた両手でレナのほほを挟み、そのまま引き上げ無理矢理目を合わせた。
「全部吐き出してしまいなよ。ボクが聞いてやる」
見開いた瞳の縁を雨が流れ落ちる。レナはゆっくりと顔にしわをよ寄せてくしゃくしゃににじませながら呼吸のリズムを加速させていく。そして勢いをつけため込んだものを強い語気で発した。
「たった一人の家族だったのに、我慢してきたのに、突然いなくなってしまって寂しくてあたしはがんばった。がんばって強くなろうとした。やっといなくなった寂しさを受け入れようとしたのに・・・」
レナはセブルの細い肩に手を伸ばして両手で持ちながらさらに続ける。
「突然また現れて、生きてて、ゴブリンになってるし、あたしの気持ちも知らないで・・・どうしてあんなに悲しい顔するんだよ!
何があったかなんてわかんなくていい。関係ないんだ。生きててくれただけ、あたしはうれしい。うれしいのに・・・邪魔をする。ゴブリンを殺すために磨いた技術、ギルドのみんなとの楽しかった思い出が、邪魔をするんだ。仕方ないってわかっていても・・・」
強くなる雨の騒々しい雨音の中でレナは叫ぶ。そして荒い呼吸だけが残った。
そしてセブルはレナの額とぶつかりそうになるほど顔を寄せる。目っ直ぐに見つめながらセブルが話し始めた。
「それでいいんだ。答えなんか出やしない。理屈と感情で割り切れないことはそのまま抱えていくんだ。それがつらくて苦しくなったなら、ボクがまた聞いてやる。ボクだけじゃない、ユウトさんにヨーレン、ガラルドだっていい。みんなレナを支えるよ」
そう言うとすぐにセブルの身体は急速に縮み始めていつものネコテンの姿に戻っていく。レナは慌ててセブルの身体を抱きかかえた。レナは呆気にとられて落ちる雨粒を見る。そしてセブルを抱えてゆっくり立ち上がった。
「ふふっ」
レナは小さく笑う。ネコテンの姿に戻った胸元のセブルに目線を落として話しだした。
「そうだな。恥ずかしげもなく言葉に出してみれば案外どうにかなりそうな気がしてくるよ。いつか今、吐き出したことを姉さんに話せる時が来ればいいな」
レナの言葉を聞いてセブルは「ななーぅ」と一鳴きして返した。
それと同時に丘の上のジヴァの家から戸の開く音がする。そこから現れたのはガラルドだった。
ガラルドはずんずんと立ち尽くすレナに歩みを進める。レナは迫るガラルドに緊張した。ガラルドはレナの前に立ち止まると手に持っていたマントをレナへとかける。そして一言「帰るぞ」と言ってレナを追い越し先へと進みだした。
うつむいたまま危うい足取りのレナを追う黒い影がある。セブルはユウトに許可を取ったあと、急いでレナを追った。レナの後姿を見つけるとセブルは大きく空気を取り込み、体を膨張させる。大きなネコ科の動物を形作るとさらに続けて姿を変え始めた。
「レナ!レナっ!待ちなよ」
自身を呼び止める声にレナは苛立つように速度を上げる。レナを呼ぶ声はあきらめることなく近づきつづけレナは後ろから手を掴まれた。
レナのいら立ちは頂点に達する。
「うるさい!かまうな!」
そう叫びながらレナは何かに掴まれた腕を振り返ることなく力任せに大きく振るう。掴んだ何かを振り払ったが何か違和感をレナは感じた。
「へぶっ!」
直後、後ろで変な声と水を叩く音がする。違和感とともに起きた音に反応してレナは振り返った。すぐ目に入ったのは先ほど出てきた家、そこから視線を落とすと雨でできたであろう小川のような水たまりに飛び込んでいる黒い何か。レナは何かに気づき慌ててしゃがみ込むとつんのめって転倒したセブルを引き上げた。
セブルの姿は小さな女の子をしている。その特徴は大橋砦で一対一で向き合った人型と変わらない漆黒の前身と猫ような耳と尻尾を持っていた。
「あんた、セブルか。ごめん。大丈夫?」
レナはセブルを立ち上がらせると泥水に濡れて汚れた全身を手で拭い落す。レナ自身は汚れることを気にも留めず膝をつきながら考えもしなかった自身の行動の結果をセブルに謝り続けた。
「ボクのことはいいよ。大したことじゃない」
セブルは真正面にあるレナの顔をじっと見つめながら以前より高くなった声で冷静に語り掛ける。慌てていたレナはセブルの言葉を聞いて急に落ち着きを取り戻して手を下ろしセブルの足元を見つめた。
「みんな心配している。ユウトさんはレナを追おうとしたけどジヴァに止められたからボクがその役割をかってでた。だからレナには話が終わるまでに立ち直ってもらう」
「立ち直るって・・・」
淡々とした力強さを持ったセブルの口ぶりと対照的にレナはか細い声で言葉を返す。
「あたしだって何をどうしていいかわかんないんだよ。死んだと思ってた姉さんが生きていて、人でなくなっていて・・・」
細い声は語るうちにさらに小さくなっていく。崩れ落ちていきそうなほどレナはうなだれ手を地につけて泥を握った。
その様子をセブルは眉一つ動かさず見つめる。レナの言葉が途切れると広げた両手でレナのほほを挟み、そのまま引き上げ無理矢理目を合わせた。
「全部吐き出してしまいなよ。ボクが聞いてやる」
見開いた瞳の縁を雨が流れ落ちる。レナはゆっくりと顔にしわをよ寄せてくしゃくしゃににじませながら呼吸のリズムを加速させていく。そして勢いをつけため込んだものを強い語気で発した。
「たった一人の家族だったのに、我慢してきたのに、突然いなくなってしまって寂しくてあたしはがんばった。がんばって強くなろうとした。やっといなくなった寂しさを受け入れようとしたのに・・・」
レナはセブルの細い肩に手を伸ばして両手で持ちながらさらに続ける。
「突然また現れて、生きてて、ゴブリンになってるし、あたしの気持ちも知らないで・・・どうしてあんなに悲しい顔するんだよ!
何があったかなんてわかんなくていい。関係ないんだ。生きててくれただけ、あたしはうれしい。うれしいのに・・・邪魔をする。ゴブリンを殺すために磨いた技術、ギルドのみんなとの楽しかった思い出が、邪魔をするんだ。仕方ないってわかっていても・・・」
強くなる雨の騒々しい雨音の中でレナは叫ぶ。そして荒い呼吸だけが残った。
そしてセブルはレナの額とぶつかりそうになるほど顔を寄せる。目っ直ぐに見つめながらセブルが話し始めた。
「それでいいんだ。答えなんか出やしない。理屈と感情で割り切れないことはそのまま抱えていくんだ。それがつらくて苦しくなったなら、ボクがまた聞いてやる。ボクだけじゃない、ユウトさんにヨーレン、ガラルドだっていい。みんなレナを支えるよ」
そう言うとすぐにセブルの身体は急速に縮み始めていつものネコテンの姿に戻っていく。レナは慌ててセブルの身体を抱きかかえた。レナは呆気にとられて落ちる雨粒を見る。そしてセブルを抱えてゆっくり立ち上がった。
「ふふっ」
レナは小さく笑う。ネコテンの姿に戻った胸元のセブルに目線を落として話しだした。
「そうだな。恥ずかしげもなく言葉に出してみれば案外どうにかなりそうな気がしてくるよ。いつか今、吐き出したことを姉さんに話せる時が来ればいいな」
レナの言葉を聞いてセブルは「ななーぅ」と一鳴きして返した。
それと同時に丘の上のジヴァの家から戸の開く音がする。そこから現れたのはガラルドだった。
ガラルドはずんずんと立ち尽くすレナに歩みを進める。レナは迫るガラルドに緊張した。ガラルドはレナの前に立ち止まると手に持っていたマントをレナへとかける。そして一言「帰るぞ」と言ってレナを追い越し先へと進みだした。
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