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歩き進むユウトの周りは次第に人が多くなっていく。歩きなれたなじみの通りも鎧の中から見る景色は違って感じた。
人々はみな足を止め手を止めユウトを見る。その眼差し、視線の感触はユウトにとって初めてのものだった。殺気や敵視するものはほとんど感じられない。かといって羨望でもなかった。
ただ黙って進み続けるユウトの先を人の流れが割れるようにして道ができる。その道をユウトとヴァル、デイタスと続いて進み続けた。そして視界が開け、星の大釜へと接する門が見えてくる。人の数はさらに増し、忙しく行きかう人より、立ち止まって何かを眺める人の方が多い印象をユウトは持った。
そして門の前では工房守備隊によって人払いが行われており、空間が作れれている。その広場の中心に数人が集まっていた。
ユウトはその集団に近寄っていくと全員がユウトへ振り向く。ヨーレン、カーレン、ディゼル、ノエン、そしてレナ。そこにユウトの知らない顔はなかった。
ユウトの姿を見て、レナは真っ先に反応する。
「えっ!もしかしてユウトなの?何その鎧!どうしたの?」
「マレイとレイノスからもらった?いや貸してもらってるのかもしれないけど。用意してもらったんだ。目立ってもらわないと困るってさ」
「へぇー高そー。いきなり実践なんて大丈夫なの?」
「まぁ慣らしはすんでるし、調整はしてもらってるから何とかなるよ」
レナはユウトとの会話中もまじまじと落ち着きなくユウトの身に着ける鎧の造りを観察していた。
ユウトはその間ここに集まった仲間を見渡す。ヨーレンはいつもと違った煌びやかなローブの内側に身軽に動きやすそうな身体に密着した皮鎧を身に着け、ディゼルとカーレンは普段見慣れた鎧に加え装甲が増しており、装備した武器も増え、さらにそれぞれ兜を携えていた。
ノエンも鎧に身をまとい普段は見せにくくしている武器を露出させている。そしてレナも身体を覆う金属の装甲を多少増やしながら担いだ短槍は明らかに新型の魔術槍に見えた。
「まだ門は開けないのか?」
ユウトは星の大釜に未だ立ち入らず、門の前で待っていることを疑問に思って尋ねる。
「工房長の指示だよ。どうやら工房長の方にも段取りがあるらしい。たぶんそろそろだと思うんだけどね」
ヨーレンはそうユウトに答えて壁のように立ち並んだ物見やぐらを見上げユウトもその視線を追った。
建ち並ぶ物見矢倉の一つは明確に他の物と造りが違っている。一段高く作られ最上階へ上がるための階段も広く手すりまで備わっていた。その物見矢倉の登り口に今、マレイとドゥーセンが護衛の騎士、工房守備隊員を連れて到着する。
儀礼服に着飾ったマレイはドゥーセンを先導して物見矢倉を登り始めた。マレイを先頭にして一団はゆっくりと階段を上っていく。その一団の一人、ラーラはマレイのすぐ後ろについて物見矢倉の最上階に出た。
最上階にはいくつか椅子が用意されている。マレイはドゥーセンに腰かけるよう促すもドゥーセンはそれを断り手すりギリギリの位置まで歩みを進めた。
ドゥーセンの立つ場所からは遠く見渡す限り眼下に星の大釜を視界に入れることができる。空は快晴で穏やかに吹き抜ける風はドゥーセンの髪を揺らした。ドゥーセンは手すりに片手を置き静かに星の大釜の底を見下ろし次いでその奥に広がる森を見る。そしてマレイはそんなドゥーセンを後姿をしばらく見ていた。
建ち並ぶ物見矢倉にはどの階層にも多く人であふれかえっている。マレイは一度全体を見渡すと守備隊員の一人と目を合わせてうなずいて見せた。
その守備隊員もうなずき返して物見矢倉の上から街道側の手すりに身を乗り出し手を振る。それを見た一階にいる守備隊員数人は一斉に走り出して散り散りになっていった。
ユウト達が集まって待機する門の前に一人の守備隊員が走り込んでくる。その隊員はヨーレンに何か伝え、ヨーレンは他の隊員を見渡してうなずいた。
そしてユウト達に振り向いて口を開く。
「準備は整ったよ。今から開門して私たちが出た後また閉じられる」
ヨーレンの言葉に全員が何も言わずにうなずいた。
ユウトは鎧の上からでもその場の緊張感が増し続けているのを感じ取る。いくつものかんぬきが外され門が開くと日の光が差し込んだ。
日の光と共に風が吹き込みユウトのマントをふわりとなびかせる。ユウトはゆっくりと歩き始め広がる星の大釜の草原へと足を踏み入れた。そして他もユウトに続く。全員が門から出るとまた門は閉じられ固く閉ざされた。
ドゥーセン、マレイとラーラは同じ物見矢倉の最上階に横並び、星の大釜を見下ろす。野営基地は星の大釜の窪地の外縁三分の一ほどに隣接するように設営されていた。その両端からそれぞれ星の大釜内に人が入っていく。
「あれは?」
ドゥーセンが隣にいるマレイに尋ねた。
「ゴブリンを逃がさぬよう右翼に調査騎士団、左翼にゴブリン殲滅ギルド戦闘員を配置します。そして・・・」
マレイは眼下をのぞき込む。
「あちらが実行部隊です」
深紅のマントをなびかせて大剣を携えた白騎士が正面の門を抜け、星の大釜に立ち入る光景を物見矢倉の観客たちは目にした。
人々はみな足を止め手を止めユウトを見る。その眼差し、視線の感触はユウトにとって初めてのものだった。殺気や敵視するものはほとんど感じられない。かといって羨望でもなかった。
ただ黙って進み続けるユウトの先を人の流れが割れるようにして道ができる。その道をユウトとヴァル、デイタスと続いて進み続けた。そして視界が開け、星の大釜へと接する門が見えてくる。人の数はさらに増し、忙しく行きかう人より、立ち止まって何かを眺める人の方が多い印象をユウトは持った。
そして門の前では工房守備隊によって人払いが行われており、空間が作れれている。その広場の中心に数人が集まっていた。
ユウトはその集団に近寄っていくと全員がユウトへ振り向く。ヨーレン、カーレン、ディゼル、ノエン、そしてレナ。そこにユウトの知らない顔はなかった。
ユウトの姿を見て、レナは真っ先に反応する。
「えっ!もしかしてユウトなの?何その鎧!どうしたの?」
「マレイとレイノスからもらった?いや貸してもらってるのかもしれないけど。用意してもらったんだ。目立ってもらわないと困るってさ」
「へぇー高そー。いきなり実践なんて大丈夫なの?」
「まぁ慣らしはすんでるし、調整はしてもらってるから何とかなるよ」
レナはユウトとの会話中もまじまじと落ち着きなくユウトの身に着ける鎧の造りを観察していた。
ユウトはその間ここに集まった仲間を見渡す。ヨーレンはいつもと違った煌びやかなローブの内側に身軽に動きやすそうな身体に密着した皮鎧を身に着け、ディゼルとカーレンは普段見慣れた鎧に加え装甲が増しており、装備した武器も増え、さらにそれぞれ兜を携えていた。
ノエンも鎧に身をまとい普段は見せにくくしている武器を露出させている。そしてレナも身体を覆う金属の装甲を多少増やしながら担いだ短槍は明らかに新型の魔術槍に見えた。
「まだ門は開けないのか?」
ユウトは星の大釜に未だ立ち入らず、門の前で待っていることを疑問に思って尋ねる。
「工房長の指示だよ。どうやら工房長の方にも段取りがあるらしい。たぶんそろそろだと思うんだけどね」
ヨーレンはそうユウトに答えて壁のように立ち並んだ物見やぐらを見上げユウトもその視線を追った。
建ち並ぶ物見矢倉の一つは明確に他の物と造りが違っている。一段高く作られ最上階へ上がるための階段も広く手すりまで備わっていた。その物見矢倉の登り口に今、マレイとドゥーセンが護衛の騎士、工房守備隊員を連れて到着する。
儀礼服に着飾ったマレイはドゥーセンを先導して物見矢倉を登り始めた。マレイを先頭にして一団はゆっくりと階段を上っていく。その一団の一人、ラーラはマレイのすぐ後ろについて物見矢倉の最上階に出た。
最上階にはいくつか椅子が用意されている。マレイはドゥーセンに腰かけるよう促すもドゥーセンはそれを断り手すりギリギリの位置まで歩みを進めた。
ドゥーセンの立つ場所からは遠く見渡す限り眼下に星の大釜を視界に入れることができる。空は快晴で穏やかに吹き抜ける風はドゥーセンの髪を揺らした。ドゥーセンは手すりに片手を置き静かに星の大釜の底を見下ろし次いでその奥に広がる森を見る。そしてマレイはそんなドゥーセンを後姿をしばらく見ていた。
建ち並ぶ物見矢倉にはどの階層にも多く人であふれかえっている。マレイは一度全体を見渡すと守備隊員の一人と目を合わせてうなずいて見せた。
その守備隊員もうなずき返して物見矢倉の上から街道側の手すりに身を乗り出し手を振る。それを見た一階にいる守備隊員数人は一斉に走り出して散り散りになっていった。
ユウト達が集まって待機する門の前に一人の守備隊員が走り込んでくる。その隊員はヨーレンに何か伝え、ヨーレンは他の隊員を見渡してうなずいた。
そしてユウト達に振り向いて口を開く。
「準備は整ったよ。今から開門して私たちが出た後また閉じられる」
ヨーレンの言葉に全員が何も言わずにうなずいた。
ユウトは鎧の上からでもその場の緊張感が増し続けているのを感じ取る。いくつものかんぬきが外され門が開くと日の光が差し込んだ。
日の光と共に風が吹き込みユウトのマントをふわりとなびかせる。ユウトはゆっくりと歩き始め広がる星の大釜の草原へと足を踏み入れた。そして他もユウトに続く。全員が門から出るとまた門は閉じられ固く閉ざされた。
ドゥーセン、マレイとラーラは同じ物見矢倉の最上階に横並び、星の大釜を見下ろす。野営基地は星の大釜の窪地の外縁三分の一ほどに隣接するように設営されていた。その両端からそれぞれ星の大釜内に人が入っていく。
「あれは?」
ドゥーセンが隣にいるマレイに尋ねた。
「ゴブリンを逃がさぬよう右翼に調査騎士団、左翼にゴブリン殲滅ギルド戦闘員を配置します。そして・・・」
マレイは眼下をのぞき込む。
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