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紹介
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「あの鎧・・・ガラルド卿ですか?小柄に見えますが」
ドゥーセンはマレイに尋ねる。
「いえ、ガラルド卿は現在、重傷を負い静養中です。あれは協力者。今回この決戦へ運ぶこととなった立役者です。あれがいなければゴブリンの殲滅を決する機会はなかったでしょう」
「ではあれが、ゴブリンに姿を変えられたという者だということか」
「ええ、おっしゃる通りです。彼らは非常に強力的です。最後の一匹を屠るのは自身の手で行うと・・・」
「待ちなさい」
ドゥーセンは言葉をさえぎりマレイへ振り返った。
「今、『彼ら』と言いましたね。他にもいるのですか?」
「はい、全員合わせて六名おります」
マレイは顔の表情を全く変えず、すらすらと問われたことに答える。
「危険は無いのですか?」
質問を重ねるドゥーセンの言葉にはわずかにいら立ちがこもっていた。
「私は危険はないと判断しています。これはガラルド卿もそれらの存在を了承しています」
「そうですか・・・」
ドゥーセンは不服そうに返事をするとまた眼下のユウト達を見下ろす。マレイは険しさが現れるドゥーセンの横顔を静かに見ていた。
門を抜けて日の光になれたころ、ユウトの視界に見慣れないものが現れる。大釜の底へと下っていく傾斜に巨石が横たわっていた。
思わずユウトは足を止めそうになるが狼狽える様子を見せまいと平静を装い歩き続ける。その巨石の手前には鉄の荷車が停まっていた。
「ユウト」
ユウトの脳内にヴァルの声が響く。
「あれは、リナと姉妹達か」
「ソウダ。マズハアソコニ向カエ」
「わかった」
ユウトは思考の中でヴァルとの会話を終え歩みを進めつづけた。
「これはすごい。あんな石、数日前にはなかったぞ!」
ユウトの後方をついて歩くデイタスが感嘆の声を上げる。
「いったいどうやってここまで持ってきたというのか」
「あれはヨーレン兄さんが魔導の力で運んだものですね」
デイタスの問いに対して答えたのはカーレンだった。
後ろから聞こえてくるカーレンの声はどこか誇らしげにユウトには聞こえる。
「そうだったのか、ヨーレン殿!よもや魔導士を務められていたとは驚いた。しかもこれほどの力をお持ちだ立ったとは恐れいる。実に頼もしい!」
「期待に応えられるよう尽力します」
「私もかつては魔導士団と双璧をなした騎士団の団員だった。末席を務めたものとして負けてられんな。はっはっは!」
豪快なデイタスの笑い声が響いた。
普段より一段と高揚した様子のデイタスの明るさにユウトの気持ちは少し軽くなった気がする。口元の緊張がゆるんだ。
ほどなくして巨石の元に到着する。鉄の荷馬車の横にはローブに身を包んだリナが立っていて一行は向かい合って立ち止まった。
ユウトは数歩前に出てリナと一行の間を見渡す位置に立つ。
「紹介しておくよ。こちらがリナだ。それでこちらが今回、護衛についてくれる調査騎士団のディゼル、カーレン。クエストラ商会のノエン。工房付き剣士のデイタス。あとは知ってると思うけどヨーレンとレナだ」
ユウトの紹介に合わせてそれぞれ軽く頷いて見せ、リナはフードを取った。この場にいる者はある程度事情を知っているため、リナの灰色の肌、白い髪に対して動揺を見せるものはいない。しかし、レナだけはリナを直視せず斜め下の地面を見ていた。
「みなさん」
紹介が済んだ間に合わせてリナが口を開く。全員がリナを注視しレナも目線を向けた。
「まずはこの場に集っていただいたことに感謝いたします。旧来のゴブリンとは違う種であるものの魔獣はそれと見境なく私たちを執拗に襲ってくるでしょう。私たちが囮となることで魔獣の被害を抑えることができるはずです。
ですが私たちは弱く、脆く、そして幼い。微力ながら私は戦いますが私だけの力だけでは私達自身の身を守り切れません。どうか激戦地となるここで皆さんの力をお貸しください。
私はまだ幼いハイゴブリン達が古いローゴブリンの悪行を跳ねのけるほどの明るい未来を生み出してくれると信じています。人から外れた半端物のお願いですが、どうか、どうかお願いいたします」
そう言ってリナは片膝を地に着け首を深々と垂れる。ユウトは何か声をかけたくて口を開くがなんと言っていいかわからず、言葉が出なかった。
それは他の者も同じようで、その身を微動だにできないでいる。しかしその中で一人、ずかずかとリナに歩み寄る者がいた。
レナは一団の最後方から大股でリナに向かっていく。その途中で手に持っていた短槍を勢いよく草地に突き立て、リナの目の前にしゃがみこんだ。
そして両手でうつむくリナの両肩をがっつり掴むと強引に引き立たせる。荒々しいレナの突然の行動に全員がぽかんと呆気にとられた。リナも何が起こったのかわからない様子で目を丸くしてレナを見る。レナはすぐ目の前のリナの顔を見ず、バツが悪そうな顔で視線を外したままだった。
「今ここにいる連中はここが一番危険だって知ってて集まってるんだ。お願いなんかしなくたって全力でやる。そんなかしこまったお願いなんてしなくていいんだ」
そっぽを向いたまま、レナは破れかぶれと言った様子で言い放つ。そしてすぐに手を放して振り返り、突き立てていた槍を引き抜いて元居た立ち位置へと引き返してしまった。
ドゥーセンはマレイに尋ねる。
「いえ、ガラルド卿は現在、重傷を負い静養中です。あれは協力者。今回この決戦へ運ぶこととなった立役者です。あれがいなければゴブリンの殲滅を決する機会はなかったでしょう」
「ではあれが、ゴブリンに姿を変えられたという者だということか」
「ええ、おっしゃる通りです。彼らは非常に強力的です。最後の一匹を屠るのは自身の手で行うと・・・」
「待ちなさい」
ドゥーセンは言葉をさえぎりマレイへ振り返った。
「今、『彼ら』と言いましたね。他にもいるのですか?」
「はい、全員合わせて六名おります」
マレイは顔の表情を全く変えず、すらすらと問われたことに答える。
「危険は無いのですか?」
質問を重ねるドゥーセンの言葉にはわずかにいら立ちがこもっていた。
「私は危険はないと判断しています。これはガラルド卿もそれらの存在を了承しています」
「そうですか・・・」
ドゥーセンは不服そうに返事をするとまた眼下のユウト達を見下ろす。マレイは険しさが現れるドゥーセンの横顔を静かに見ていた。
門を抜けて日の光になれたころ、ユウトの視界に見慣れないものが現れる。大釜の底へと下っていく傾斜に巨石が横たわっていた。
思わずユウトは足を止めそうになるが狼狽える様子を見せまいと平静を装い歩き続ける。その巨石の手前には鉄の荷車が停まっていた。
「ユウト」
ユウトの脳内にヴァルの声が響く。
「あれは、リナと姉妹達か」
「ソウダ。マズハアソコニ向カエ」
「わかった」
ユウトは思考の中でヴァルとの会話を終え歩みを進めつづけた。
「これはすごい。あんな石、数日前にはなかったぞ!」
ユウトの後方をついて歩くデイタスが感嘆の声を上げる。
「いったいどうやってここまで持ってきたというのか」
「あれはヨーレン兄さんが魔導の力で運んだものですね」
デイタスの問いに対して答えたのはカーレンだった。
後ろから聞こえてくるカーレンの声はどこか誇らしげにユウトには聞こえる。
「そうだったのか、ヨーレン殿!よもや魔導士を務められていたとは驚いた。しかもこれほどの力をお持ちだ立ったとは恐れいる。実に頼もしい!」
「期待に応えられるよう尽力します」
「私もかつては魔導士団と双璧をなした騎士団の団員だった。末席を務めたものとして負けてられんな。はっはっは!」
豪快なデイタスの笑い声が響いた。
普段より一段と高揚した様子のデイタスの明るさにユウトの気持ちは少し軽くなった気がする。口元の緊張がゆるんだ。
ほどなくして巨石の元に到着する。鉄の荷馬車の横にはローブに身を包んだリナが立っていて一行は向かい合って立ち止まった。
ユウトは数歩前に出てリナと一行の間を見渡す位置に立つ。
「紹介しておくよ。こちらがリナだ。それでこちらが今回、護衛についてくれる調査騎士団のディゼル、カーレン。クエストラ商会のノエン。工房付き剣士のデイタス。あとは知ってると思うけどヨーレンとレナだ」
ユウトの紹介に合わせてそれぞれ軽く頷いて見せ、リナはフードを取った。この場にいる者はある程度事情を知っているため、リナの灰色の肌、白い髪に対して動揺を見せるものはいない。しかし、レナだけはリナを直視せず斜め下の地面を見ていた。
「みなさん」
紹介が済んだ間に合わせてリナが口を開く。全員がリナを注視しレナも目線を向けた。
「まずはこの場に集っていただいたことに感謝いたします。旧来のゴブリンとは違う種であるものの魔獣はそれと見境なく私たちを執拗に襲ってくるでしょう。私たちが囮となることで魔獣の被害を抑えることができるはずです。
ですが私たちは弱く、脆く、そして幼い。微力ながら私は戦いますが私だけの力だけでは私達自身の身を守り切れません。どうか激戦地となるここで皆さんの力をお貸しください。
私はまだ幼いハイゴブリン達が古いローゴブリンの悪行を跳ねのけるほどの明るい未来を生み出してくれると信じています。人から外れた半端物のお願いですが、どうか、どうかお願いいたします」
そう言ってリナは片膝を地に着け首を深々と垂れる。ユウトは何か声をかけたくて口を開くがなんと言っていいかわからず、言葉が出なかった。
それは他の者も同じようで、その身を微動だにできないでいる。しかしその中で一人、ずかずかとリナに歩み寄る者がいた。
レナは一団の最後方から大股でリナに向かっていく。その途中で手に持っていた短槍を勢いよく草地に突き立て、リナの目の前にしゃがみこんだ。
そして両手でうつむくリナの両肩をがっつり掴むと強引に引き立たせる。荒々しいレナの突然の行動に全員がぽかんと呆気にとられた。リナも何が起こったのかわからない様子で目を丸くしてレナを見る。レナはすぐ目の前のリナの顔を見ず、バツが悪そうな顔で視線を外したままだった。
「今ここにいる連中はここが一番危険だって知ってて集まってるんだ。お願いなんかしなくたって全力でやる。そんなかしこまったお願いなんてしなくていいんだ」
そっぽを向いたまま、レナは破れかぶれと言った様子で言い放つ。そしてすぐに手を放して振り返り、突き立てていた槍を引き抜いて元居た立ち位置へと引き返してしまった。
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