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離昇
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魔槍を担ぎ、術式を唱えるレナは額に汗を浮かばせている。呼吸は荒く、口ずさむ術式の言葉は途切れ途切れだった。
「軸足固定・・・はぁ、はぁ・・・反動制ぎょ・・・ぐッ」
言葉は続くことなく中断され、魔槍の光は衰えてゆく。レナはその場で膝をつくが歯を食いしばりながら立ち上がった。
そしてもう一度構えを取り直すと眉間に深いしわを寄せながら大魔獣を睨む。肩で息をさせながらもう一度、言葉を紡ぎ始めた。
レナから大釜の底へ向かって少し下ったところには鉄の荷車が停まっている。リナはその後部から中を覗いていた。
「奥に置いてある箱・・・そう、それよ!それを持ってきて」
リナはハイゴブリンの四姉妹に持って来てもらった箱を開ける。その箱は金属で頑丈に補強されていた。その中には四角く成形さらた皮の箱形をした鞄が並んでいる。次々にそれを取り出し、腰の皮帯に着けられていた空の鞄を外すと、新たに備え付けた。
「みんな、ちゃんとこの中にいてね。外より安全だから」
リナはそう姉妹達に語り掛け、地面に置いていた杖を拾い上げてすぐに走り出す。姉妹達の返答も聞かず、レナの方に向かって坂を駆け登っていった。
登りながら抱えるように握った杖から遠く黒柱に向かって結晶を撃ち出す。またすぐに腰の鞄から結晶を取り出し、立て続けに撃ち込むと、黒柱は破裂し黒毛となって舞い散った。
リナの背中を姉妹達は鉄の荷台の中から顔を出して見つめる。四人のうちの一人がすんすんと鼻を鳴らした。
「あれ?血の匂いがしない?」
その声に他の姉妹達も反応する。
「ほんとだ」
「リナお姉ちゃんけがしちゃった?」
「さっきまではしなかったよ」
姉妹達は首をかしげながら鉄の荷車の中からあたりを不思議そうに見回した。
リナはレナの元にたどり着く。レナは構えを取りながらもじっとして息を切らしながら動きが止まっていた。
「レナッ!」
名を呼んでレナの元にリナは駆け寄るもレナは返答せず、大魔獣の方をじっと見つめながらつぶやく。
「大丈夫、だいじょうぶ・・・みんな待ってるんだ。あたしが、撃たないと・・・」
リナは一歩下がってレナの全体を視野に入れて目を見開き、観察するように見た。
「術式は発動している。けど・・・魔力の流れが不安定。意識の揺らぎのせい?」
リナは一瞬考えこむように目を伏せると気合を入れてような瞳でレナをまた見つめ直す。そして力強く歩みを進め、レナから数歩分距離を置いた背後に回り込んだ。
「流れは見える。大丈夫、同調できる」
そう呟きながらリナはゆっくりと足を踏み出すとレナの背中に密着しそうなほど身体をよせる。レナと同じ方向を見据えながらその両手の手首を後ろからやさしく握った。
「・・・えっ、何?急に軽く」
「落ち着いて、レナ」
「姉さんっ!どうやって?」
レナははっとして周りを目だけで見まわす。
「あなたの術式と身体に同調しているの。この槍を撃ち出すのでしょう?その補助をするわ」
「わかった・・・お願い」
ためらうような表情でレナはしぶしぶ返答し、リナはさらに続けた。
「それと、問題があるんでしょ?教えて。重要なことよ」
「うん・・・脚の傷が開いてしまったみたい。この魔槍の術式展開で負担がかかるせいか途中で・・・少し、痛みがくる」
リナは態勢をそのままにレナの脚に目をやる。レナの片脚の膝周りで布が赤黒く湿っているのが革製の防具の間から覗いて見えた。
「レナっ・・・わかったわ。私の方にも負担が分散するはずだから少しは楽になるはず。やりましょう。合図は私に、発動はレナが」
「わかった」
そして大きく息を吸い込み術式を唱え始める。
「術式展開を再開。蓄積魔力全開放。威力重視。目標、眼下大魔獣中央・・・」
レナの手に握られた魔槍にまた光の線が浮き上がり、穂先が展開して輝きを増す。レナとリナは遠く大魔獣を凝視した。
ユウトはヴァルに乗ったまま大魔剣を振るう。その軌道にそっていくつもの黒柱が跳ね飛ばされた。
手に握られた大魔剣の刀身からは冷気が漂い振動は大きくなってきている。その様子を見つめながらユウトはうなった。
「そろそろ・・・まずいか」
「限界ガ近ヅイテ来テイルゾ」
「でもレナの魔槍がまだっス。まだ危ないっス」
ヴァルとラトムの言葉にユウトは悩む。そこにセブルが押し殺した真剣な様子で語り掛けた。
「ユウトさん。行きましょう。レナは・・・レナは必ずやり遂げてくれるはずです。ボクは信じます」
セブルの言葉を聞いてユウトは視線を空へと向ける。
「ああ、そうだな・・・オレも信じてる」
そしてユウトは大きく息を吸って背筋を伸ばした。
腰の鞄を空け、その中から丸薬を取り出し口へと運ぶ。思い切りかみ砕いで一気に飲み込んだ。
「セブル、ラトム、ヴァル。行くぞ!」
ユウトは叫ぶ。
「はい!」「はいっス」「了解」
それぞれが同時に返事を返し、ユウトはさらにユウトは続けた。
「ヴァル、離昇!」
「発進」
掛け声と共にヴァルはめり込んだ地面からぽんと跳ね上がる。その勢いはすぐに弱まるが次の瞬間強烈に突き上げる勢いを取り戻して空を駆けあがり始めた。
その勢いの反動か地表の土は一気に舞い上がり、遠く物見矢倉からは何かが爆発したように見える。そして舞い上がった土煙の中から一直線に空を目指すユウト達が現れた。
「軸足固定・・・はぁ、はぁ・・・反動制ぎょ・・・ぐッ」
言葉は続くことなく中断され、魔槍の光は衰えてゆく。レナはその場で膝をつくが歯を食いしばりながら立ち上がった。
そしてもう一度構えを取り直すと眉間に深いしわを寄せながら大魔獣を睨む。肩で息をさせながらもう一度、言葉を紡ぎ始めた。
レナから大釜の底へ向かって少し下ったところには鉄の荷車が停まっている。リナはその後部から中を覗いていた。
「奥に置いてある箱・・・そう、それよ!それを持ってきて」
リナはハイゴブリンの四姉妹に持って来てもらった箱を開ける。その箱は金属で頑丈に補強されていた。その中には四角く成形さらた皮の箱形をした鞄が並んでいる。次々にそれを取り出し、腰の皮帯に着けられていた空の鞄を外すと、新たに備え付けた。
「みんな、ちゃんとこの中にいてね。外より安全だから」
リナはそう姉妹達に語り掛け、地面に置いていた杖を拾い上げてすぐに走り出す。姉妹達の返答も聞かず、レナの方に向かって坂を駆け登っていった。
登りながら抱えるように握った杖から遠く黒柱に向かって結晶を撃ち出す。またすぐに腰の鞄から結晶を取り出し、立て続けに撃ち込むと、黒柱は破裂し黒毛となって舞い散った。
リナの背中を姉妹達は鉄の荷台の中から顔を出して見つめる。四人のうちの一人がすんすんと鼻を鳴らした。
「あれ?血の匂いがしない?」
その声に他の姉妹達も反応する。
「ほんとだ」
「リナお姉ちゃんけがしちゃった?」
「さっきまではしなかったよ」
姉妹達は首をかしげながら鉄の荷車の中からあたりを不思議そうに見回した。
リナはレナの元にたどり着く。レナは構えを取りながらもじっとして息を切らしながら動きが止まっていた。
「レナッ!」
名を呼んでレナの元にリナは駆け寄るもレナは返答せず、大魔獣の方をじっと見つめながらつぶやく。
「大丈夫、だいじょうぶ・・・みんな待ってるんだ。あたしが、撃たないと・・・」
リナは一歩下がってレナの全体を視野に入れて目を見開き、観察するように見た。
「術式は発動している。けど・・・魔力の流れが不安定。意識の揺らぎのせい?」
リナは一瞬考えこむように目を伏せると気合を入れてような瞳でレナをまた見つめ直す。そして力強く歩みを進め、レナから数歩分距離を置いた背後に回り込んだ。
「流れは見える。大丈夫、同調できる」
そう呟きながらリナはゆっくりと足を踏み出すとレナの背中に密着しそうなほど身体をよせる。レナと同じ方向を見据えながらその両手の手首を後ろからやさしく握った。
「・・・えっ、何?急に軽く」
「落ち着いて、レナ」
「姉さんっ!どうやって?」
レナははっとして周りを目だけで見まわす。
「あなたの術式と身体に同調しているの。この槍を撃ち出すのでしょう?その補助をするわ」
「わかった・・・お願い」
ためらうような表情でレナはしぶしぶ返答し、リナはさらに続けた。
「それと、問題があるんでしょ?教えて。重要なことよ」
「うん・・・脚の傷が開いてしまったみたい。この魔槍の術式展開で負担がかかるせいか途中で・・・少し、痛みがくる」
リナは態勢をそのままにレナの脚に目をやる。レナの片脚の膝周りで布が赤黒く湿っているのが革製の防具の間から覗いて見えた。
「レナっ・・・わかったわ。私の方にも負担が分散するはずだから少しは楽になるはず。やりましょう。合図は私に、発動はレナが」
「わかった」
そして大きく息を吸い込み術式を唱え始める。
「術式展開を再開。蓄積魔力全開放。威力重視。目標、眼下大魔獣中央・・・」
レナの手に握られた魔槍にまた光の線が浮き上がり、穂先が展開して輝きを増す。レナとリナは遠く大魔獣を凝視した。
ユウトはヴァルに乗ったまま大魔剣を振るう。その軌道にそっていくつもの黒柱が跳ね飛ばされた。
手に握られた大魔剣の刀身からは冷気が漂い振動は大きくなってきている。その様子を見つめながらユウトはうなった。
「そろそろ・・・まずいか」
「限界ガ近ヅイテ来テイルゾ」
「でもレナの魔槍がまだっス。まだ危ないっス」
ヴァルとラトムの言葉にユウトは悩む。そこにセブルが押し殺した真剣な様子で語り掛けた。
「ユウトさん。行きましょう。レナは・・・レナは必ずやり遂げてくれるはずです。ボクは信じます」
セブルの言葉を聞いてユウトは視線を空へと向ける。
「ああ、そうだな・・・オレも信じてる」
そしてユウトは大きく息を吸って背筋を伸ばした。
腰の鞄を空け、その中から丸薬を取り出し口へと運ぶ。思い切りかみ砕いで一気に飲み込んだ。
「セブル、ラトム、ヴァル。行くぞ!」
ユウトは叫ぶ。
「はい!」「はいっス」「了解」
それぞれが同時に返事を返し、ユウトはさらにユウトは続けた。
「ヴァル、離昇!」
「発進」
掛け声と共にヴァルはめり込んだ地面からぽんと跳ね上がる。その勢いはすぐに弱まるが次の瞬間強烈に突き上げる勢いを取り戻して空を駆けあがり始めた。
その勢いの反動か地表の土は一気に舞い上がり、遠く物見矢倉からは何かが爆発したように見える。そして舞い上がった土煙の中から一直線に空を目指すユウト達が現れた。
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