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閃光
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ユウト達はヴァルの下部から放たれる強い光とともに白線を引きながら空へと昇っていく。そして地鳴りのように空気を震わせる轟音がレナとリナへと届いた。
レナは未だ術式を唱え続けている。
「軸足・・・固定。反動制御術式・・・展開」
その口調は重たく、絞り出すような危うさでかろうじてつながっていた。
術式が続いていくにつれ構えて踏ん張る足は柔らかな地面にゆっくりとめり込んでいく。レナの背後で支えるリナは次第に言葉を詰まらせていくレナを苦い顔をしながら黙って見ていることしかできなかった。
レナの脚の血の染みはゆっくりと広がっていく。それとまるで呼応するかのように魔槍の輝きは増していった。
遠く空を登るユウト達の光。突如土煙の中からその光を追うモノが現れた。
それはいくつもの黒柱の束。速度はユウト達に引けをとらなかった。他全ての黒柱の動きは一斉に止まっている。まるで全身全霊でユウト達を捕まえようと伸びていく黒柱にレナの表情は険しさを増した。
「魔力経路直結!膨張機関加圧開始!お願いッ姉さん!」
レナは叫び、歯を食いしばって強く瞳を閉じる。声と同時に行き場を失った血が服からあふれ出し雫となって連なり落ちた。
「レナ!震えを堪えて!あと少し、もう少しよ・・・!」
リナの視線は土煙の向こう、大魔獣の大口を捉える。しかし構えるレナの手の震えが止まらなかった。
大魔獣の伸ばす黒柱は重なり、太さを増しながら塔のような円錐を形作る。さらに勢いを増すと、今にもユウト達に届きそうなほどまで迫った。
その時、魔槍の放つ青い輝きの光の中、いくつかの影がレナとリナに駆け寄る。その影はレナの身体に向かって手を伸ばした。四対の手と腕がひしとレナの脚や腰を掴む。密着した先からその者たちの足も沈み込み、踏ん張ってレナを支えた。
瞬間、レナの手の震えは止まる。
リナは間髪入れず、レナの耳元でささやいた。
「撃って」
レナは瞳を開け、答える。
「当たれ」
声と共に魔槍を押し出した。
その動作は投擲をするには遅い。しかし手が開いたのと同時に魔槍はその場から姿を消し、輝きが消えた。
残ったのはレナの手から大魔獣とをつなぐ青い光の線。レナ達は空気の波に押し出され、後方へと押し倒されようとしていた。その途中、レナは青い光の先を目で追う。その瞳には扇状に吹き飛ぶ大地と飛び散る大魔獣の大口が写った。
レナ達は草原の柔らかな草の上へと倒れ込む。レナだけが仰向けにしっかりと開かれた瞳で空を眺めていた。
そこには一筋の白い線が伸びる。レナはほうっと息を吐いて全身の力が抜けた。
そして一緒に倒れ込んだ者たちを見渡す。その者たちは向くりと身体を起こす横たわるレナをのぞき込んだ。
「大丈夫?」「血が出てたよ」
「痛いよね」「・・・レナお姉ちゃん」
心配そうな瞳で四姉妹はレナを見つめる。レナは瞬きを繰り返しながら呆けていた。そこに遅れてリナが身体を起こす。レナはリナに視線を向けた。
「姉さん・・・」
打ち出した魔槍の結果を確認していたリナが振り向き、微笑んでレナに話しかける。
「がんばったね、レナ。ほんとに・・・ほんとにレナはがんばった」
「・・・うん」
レナの瞳は潤み、日の光で輝きだすとレナは堪えるように顔がくしゃくしゃになる。その様子を見た姉妹達は唖然とし、さらにレナへの追及を重ねた。
「やっぱり痛いんだ」「どうしよう」
「どうしたらいい?」「魔力が少なくなってる?」
姉妹達ははっとして仰向けのレナに抱き着く。ぎゅっと抱き着きながらしきりに「レナお姉ちゃん」と声を掛け続けていた。
レナは空いた片手でついには目を覆うと声を振り絞って答える。
「大丈夫・・・もう、大丈夫だから。ありがとう」
そんな姉妹達の様子をリナは困った微笑みで見つめながら小声でつぶやいた。
「すぐ泣いちゃうんだから・・・変わらないわね」
そう言ってリナは小さく鼻をすする。そして振り返ると空を見上げた。
レナ達の一撃は大魔獣に多大に影響を与えている。黒柱の動きは一気にその勢いを落とし、空から降り注いだ光線は止んだ。
ヨーレンとカーレンが支えた巨石は動きを止め、ゆっくりと地に降りるとその巨体を瓦解させていく。ふうとカーレンは息を漏らしてつぶやいた。
「なんとか、耐えてくれたわね」
「ありがとう、カー。私だけじゃ耐え切れなかった」
「ヨー兄さんだけじゃ、ちょっと荷が重たかったかもしれないってだけよ」
カーレンはぺたんとその場に座り込み振り返ってヨーレンを見上げる。
「私はそのちょっと分、手伝っただけ。礼なんていらないわ」
そう言って笑顔を見せた。
「ふっ、私の思いあがりだったかな。私もまだまだだよ」
ヨーレンは微笑んでカーレンに答える。そうして二人は空を見上げた。
ディゼル、ノエン、デイタスの最前線三人も武器を下ろして風に流される白煙の先を目で追う。調査騎士団もゴブリン殲滅ギルド隊も物見矢倉の観覧者も同様に皆が空の彼方を固唾を呑んで見つめていた。
星の大釜から喧騒が消える。風に撫でられる草原のささやきが聞こえるほどに静まり返っていた。
レナは未だ術式を唱え続けている。
「軸足・・・固定。反動制御術式・・・展開」
その口調は重たく、絞り出すような危うさでかろうじてつながっていた。
術式が続いていくにつれ構えて踏ん張る足は柔らかな地面にゆっくりとめり込んでいく。レナの背後で支えるリナは次第に言葉を詰まらせていくレナを苦い顔をしながら黙って見ていることしかできなかった。
レナの脚の血の染みはゆっくりと広がっていく。それとまるで呼応するかのように魔槍の輝きは増していった。
遠く空を登るユウト達の光。突如土煙の中からその光を追うモノが現れた。
それはいくつもの黒柱の束。速度はユウト達に引けをとらなかった。他全ての黒柱の動きは一斉に止まっている。まるで全身全霊でユウト達を捕まえようと伸びていく黒柱にレナの表情は険しさを増した。
「魔力経路直結!膨張機関加圧開始!お願いッ姉さん!」
レナは叫び、歯を食いしばって強く瞳を閉じる。声と同時に行き場を失った血が服からあふれ出し雫となって連なり落ちた。
「レナ!震えを堪えて!あと少し、もう少しよ・・・!」
リナの視線は土煙の向こう、大魔獣の大口を捉える。しかし構えるレナの手の震えが止まらなかった。
大魔獣の伸ばす黒柱は重なり、太さを増しながら塔のような円錐を形作る。さらに勢いを増すと、今にもユウト達に届きそうなほどまで迫った。
その時、魔槍の放つ青い輝きの光の中、いくつかの影がレナとリナに駆け寄る。その影はレナの身体に向かって手を伸ばした。四対の手と腕がひしとレナの脚や腰を掴む。密着した先からその者たちの足も沈み込み、踏ん張ってレナを支えた。
瞬間、レナの手の震えは止まる。
リナは間髪入れず、レナの耳元でささやいた。
「撃って」
レナは瞳を開け、答える。
「当たれ」
声と共に魔槍を押し出した。
その動作は投擲をするには遅い。しかし手が開いたのと同時に魔槍はその場から姿を消し、輝きが消えた。
残ったのはレナの手から大魔獣とをつなぐ青い光の線。レナ達は空気の波に押し出され、後方へと押し倒されようとしていた。その途中、レナは青い光の先を目で追う。その瞳には扇状に吹き飛ぶ大地と飛び散る大魔獣の大口が写った。
レナ達は草原の柔らかな草の上へと倒れ込む。レナだけが仰向けにしっかりと開かれた瞳で空を眺めていた。
そこには一筋の白い線が伸びる。レナはほうっと息を吐いて全身の力が抜けた。
そして一緒に倒れ込んだ者たちを見渡す。その者たちは向くりと身体を起こす横たわるレナをのぞき込んだ。
「大丈夫?」「血が出てたよ」
「痛いよね」「・・・レナお姉ちゃん」
心配そうな瞳で四姉妹はレナを見つめる。レナは瞬きを繰り返しながら呆けていた。そこに遅れてリナが身体を起こす。レナはリナに視線を向けた。
「姉さん・・・」
打ち出した魔槍の結果を確認していたリナが振り向き、微笑んでレナに話しかける。
「がんばったね、レナ。ほんとに・・・ほんとにレナはがんばった」
「・・・うん」
レナの瞳は潤み、日の光で輝きだすとレナは堪えるように顔がくしゃくしゃになる。その様子を見た姉妹達は唖然とし、さらにレナへの追及を重ねた。
「やっぱり痛いんだ」「どうしよう」
「どうしたらいい?」「魔力が少なくなってる?」
姉妹達ははっとして仰向けのレナに抱き着く。ぎゅっと抱き着きながらしきりに「レナお姉ちゃん」と声を掛け続けていた。
レナは空いた片手でついには目を覆うと声を振り絞って答える。
「大丈夫・・・もう、大丈夫だから。ありがとう」
そんな姉妹達の様子をリナは困った微笑みで見つめながら小声でつぶやいた。
「すぐ泣いちゃうんだから・・・変わらないわね」
そう言ってリナは小さく鼻をすする。そして振り返ると空を見上げた。
レナ達の一撃は大魔獣に多大に影響を与えている。黒柱の動きは一気にその勢いを落とし、空から降り注いだ光線は止んだ。
ヨーレンとカーレンが支えた巨石は動きを止め、ゆっくりと地に降りるとその巨体を瓦解させていく。ふうとカーレンは息を漏らしてつぶやいた。
「なんとか、耐えてくれたわね」
「ありがとう、カー。私だけじゃ耐え切れなかった」
「ヨー兄さんだけじゃ、ちょっと荷が重たかったかもしれないってだけよ」
カーレンはぺたんとその場に座り込み振り返ってヨーレンを見上げる。
「私はそのちょっと分、手伝っただけ。礼なんていらないわ」
そう言って笑顔を見せた。
「ふっ、私の思いあがりだったかな。私もまだまだだよ」
ヨーレンは微笑んでカーレンに答える。そうして二人は空を見上げた。
ディゼル、ノエン、デイタスの最前線三人も武器を下ろして風に流される白煙の先を目で追う。調査騎士団もゴブリン殲滅ギルド隊も物見矢倉の観覧者も同様に皆が空の彼方を固唾を呑んで見つめていた。
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