ゴブリンロード

水鳥天

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衣装

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 ユウトはレナのと稽古を終えて自身のテントへと帰ってくる。手に持っていた木剣を立てかけ、テントの隅に置かれた樽の蓋を開けた。樽の中にためられた水を器で汲みとると一気に飲み干す。ふぅ、と一息ついたユウトの気配に反応したのか寝台の上でまだ寝ていたラトムが目を覚ました。

「・・・あっ!おはようございますっス!」

 ラトムは寝起きとは思えない元気さで飛び上がりユウトへ挨拶をした。

「おはよう、ラトム。昨日も遅くまで伝令おつかれさま」
「なんてことないっス!」

 得意げに胸を張るラトム。セブルはヴァルの頭の上で何も言わずにじっと見つめていた。

 ユウトはそれからセブル、ラトム、ヴァルと何気ない会話をしながら着替えを進める。早朝のレナとの模擬戦で汗を吸った服を脱ぎ、身体を拭いた。

 そして布に包まれた荷物を広げる。そこには新品の衣服がきれいに折りたたまれていた。

「それがヨーレンから渡された衣装ですか?」

 セブルがヴァルの上から覗き込みながら尋ねる。

「そう。マレイの指定でこれを着るように、だってさ」

 ユウトは手に取って広げて見せた。

 その生地の手触りからこれまで使ってきたものとは明らかに違っている。きめが細かく厚さもあった。色は以前よりより白さが増し、大釜の決戦で身に着けた甲冑を思わせる。ただ構造はそれまで使っていたものと大差なく、手間取らずに着ることができた。

 深い色合いの革製の半長靴と腰帯を身に着ける。

「・・・おおっ」

 ユウトは思わず声を上げた。

 窮屈な印象はなく動きやすい。軽く飛び跳ねたり、両腕を回しても腰をひねっても、着崩れしなかった。

「ウレシイノカ?」

 ユウトの様子を眺めるヴァルが尋ねる。

「えっ?あー確かにうれしいのかもしれない。あと驚きかな。こんなに着心地がいいものとは」

 はしゃぐ気持ちを自覚して、ユウトは少し照れくさくなってしまった。

「しかし、ちょっと派手じゃないか?」
「そんなことないですよ!似合っています!これまでの服装が地味すぎなくらいですっ」
「オイラはよくわかんないっス」

 意気込んでユウトに答えるセブルと首をかしげているラトム。

「そうか・・・まぁ良いものなのは確かなんだろうな。ありがたく使わせてもらうか」

 そう言ってユウトは光魔剣を腰に携えてマントを羽織った。

 ユウトは思案する。大釜の決戦でマレイが用意した白い甲冑を思い出していた。あの甲冑は確かにユウトの身を守り、戦闘力を引き上げている。しかしそれ以上にユウト自身を目立たせる効果は抜群だった。

 そしてマレイによって渡されたこの衣装もまたどこか華やかさ、派手さがある。決戦を終えて目覚めた時、ヨーレンが言っていたようにまだ決着はついていない、という忠告をユウトはマレイから念押しされているような気がした。

 ユウトはそんな事をうつむいて考えていると、突拍子もなく腹がくぐもった音を立てる。はっとして自身が空腹であると気づかされた。

「まぁ、今はいいか。朝食の用意を手伝おう」

 そう言ってユウトはセブルに手を差し出す。セブルはヴァルの上からユウトの手を駆け上りマントのフードのふちへととりついた。ラトムも遅れまいとユウトの肩へととまった。そうしてユウトは準備を終えると、自身のテントを後にした。



 草原では鉄の荷台からリナと四姉妹が降りてくる。リナは巻いた敷物を担ぎ、四姉妹は眠たそうに目をこすったりしていた。四姉妹は一列となってしっかりとした足取りで進むリナの後をついていく。リナは四姉妹の様子に気を使いつつ、所定の位置までやってくると敷物を一気に広げた。

 四姉妹はリナに促され、履物を脱いで敷物に上がり、横一列に並んで座る。四姉妹は座りながら首をこっくりとさせたりしつつ、いまだ夢見心地だった。

 そんな四姉妹とは逆にリナは立ち止まることなく荷台と敷物を行き来しては調理道具や食材を運び出している。そのうちユウトが加わり、レナとメルも伴って加わって朝食の準備は順調に進められた。

 それからほどなくしてオリオが先導しながらクロネコテン達も集まり、準備は整う。リナが軽くあぶった白いパンを配りだすころ、バターの香りにつられて四姉妹は覚醒し、瞳を輝かせながらリナからパンを受け取った。

 四姉妹のいただきますの掛け声を合図に食事は始まる。ユウトの新たな服装について話をしながら食事は進んでいった。

 そして朝食を終え、片づけを行っている頃、街道から降りた荷馬車がユウト達のもとへと近づいてくる。その気配に気づいたユウトが目をやると、ケランが手を上げながらおーい、と掛け声を上げていた。

 ケランの荷馬車は鉄の荷台のそばへに停車する。そして数人がケランの荷馬車から降りてきた。その中にはヨーレンにモリード、デイタスの姿がある。モリードとデイタスの姿にユウトは少し驚く。残りの数人は大工房衛兵だった。

 数人の衛兵はモリードを遠巻きに位置取り、周囲に気を配っている。ユウトは衛兵の放つ若干の空気の重たさを感じ取っていた。
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