狂い咲き

necropsy

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狂い咲き38

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 引き裂かれた肌が、熱を帯びて激しく痛みだしてきている。


 ようやく彼の手が止まった。


 負けまいとする意思と、


 彼の思うがままを描いていく身体が歯痒い。


 私はすっぽりと記憶が抜け落ちたように昇りつめようとする。


 快楽と違った苦しさが今まで味わったことのないオーガズムとなる。




 心もとない灯りはどこを照らそうとしているのだろう。


 漂流し続けた小船から投げ出された私は、見知らぬ浜辺へと打ち上げられる。


 いつしか意識を失っていた私は、気がつくとマットレスに寝かされていた。


 薄っすらと目を開けるように、私は目を覚ました。


 身体中が激しく痛む。


 このまま眠ってしまいたくなるほどに、疲れきっていた。


 夢のなかで夢を見ている。


 なんとも言えない余韻に、私はその場を動けなくなっていた。




 見渡す鉄格子の中に彼はいない。


 今日も明日も、こんな日々が続いていくのだろうか。


 どこか、囚われの身のように思える。


 彼が姿を見せた。


 目を閉じようとした私に、「見せたいものがある」と彼は言った。


 彼は私にガウンを羽織らせた。


 乾ききった喉を潤す。とても冷えたドリンクが入ったグラスが手渡された。


 私は差し出されたドリンクを飲み干すとどこか夢うつつであった意識がはっきりとしてきた。


 彼は私の手を握ると鉄格子の外にでた。


 どこに連れて行かれるのだろうか。


 不安のなか、ただ、彼に肩を抱かれ私は坂道を下りていった。


 目前に広がり見せる、朝もやに煙る湖畔がとても幻想的な光景となって、私の視界のなかに見えてきた。


 思わず息を飲む。神秘的な光景に私はただその場に佇んだ。


「玲子に、一度でいいから見せたかった」


 瑠璃色を思わせる空が、朝焼けを覚えるのには、もう少し時間がかかりそうだ。


 私は彼に凭れた。


 彼は私の少し背後にいて、凭れかかった私に、「嬉しかった」とだけ言った。


 身体中が激しく痛む。


 ただ、佇んでいるだけでも辛い。


 彼は私を背後から、しっかりと抱きよせてくれる。


 幻想的な光景は神秘的であっても、どこか、殺伐としている。


 この光景が彼の意識すべてに感じられる。
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