狂い咲き

necropsy

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狂い咲き42

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 ただ彼は甘えきった生活が嫌で同棲生活をしていた頃、女性に甲斐甲斐しく家事などをしていた。


 彼なりに紐であっても愛情があって自分なりに尽くしていた。


 どこか、かいつまんだ話しであったが彼の過去をここぞとばかりに、追及しても仕方がない。


 少しずつ知っていけばいい。


 そう思いながら彼が大失敗したグラタンの話しに私は大笑い。岩石のようになってしまったハンバーグの話しなどを聞かされた


 彼にだって苦い経験はある。


 言いたくない過去だってあると思う。


 私なら学生時代の私だ。


 彼に聞かれたら、きっと私は嘘をついてしまうだろう。


 恥ずかしくてとても言えない。


 私はさらに、意地の悪いことを言った。


「その岩石ハンバーグが食べたいな」


 彼の眼差しに甘えていられるときだけは、甘えていよう。


 いつ彼が豹変するか。それはわからない。


 それを戦々恐々としていても、なにも始まらない。


 ただ彼が、私を意のままにできた。


 それに満足しているだけなら、どこかで私の我侭を突き放したり背中を向けるのは簡単だ。


 じっと彼を見やる。


「ふーん。私には作ってくれないんだ。誰かさんだけなのね」


「いや」


 彼のどこか、慌てふためく顔が可愛らしい。


「わかったよ。でも玲子は動けないだろう?」


 さらに、じっと彼を見る。苦笑まじりの彼は私に押されるように言った。


「わかったよ。なにか欲しいものがあれば、それも買ってくるよ」


 私は彼に、コンビニで売っている化粧水などの入ったお泊りセットがあることを話しそれが「欲しい」と言った。


 私が隣にいれば、なんの躊躇いもないだろう。男性が。いや、彼が買ってこられるだろうか。


 やはり彼は、女性の品を買うことに躊躇いを見せている。


「ふーん」


 私が頬杖をついてさらに彼を見ると。ついに彼は、私に押され負けして立ち上がった。


「自分が買ったように見せて、誰かに頼めばいいものね」


「いや」


 なんだか、彼には悪いけど。彼をからかい。いじめているのが、どこか可愛くて楽しい。彼が豹変したとき何百倍にもしてやり返されるかも知れないけど。
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