狂い咲き

necropsy

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狂い咲き57

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 男性にとっては、褒め言葉の一つに考えているのだろうが、化粧をしていない私の素顔が見れないとも聞こえる。




 いつの忘年会だったか。


 ある会社の男性同僚が酔いにまかせて自虐ネタを披露していた。


 やっとの思いで口説き落とした女性とラブホテルに行った。


 脱がせてみたら補正下着でがっちと固められた姿に唖然とさせられた。


 男性が連れて歩きたい女性は女優顔負けの美人かも知れない。


 でもそれは外見の好きで男性の優越感だ。


 外見が出産とともに崩れてしまったらどう思うのだろうか。


 彼は私にプロポーズをしてくれた。


 でも彼に「好き」と言われたようで言われていない。


 男女の交際にマニュアルがないのはわかっている。


「私をさいしょ見たときどうだった?」


 躊躇う彼の眼差しが驚き瞬きに変わる。


「私のなにがよかったの?」


 これじゃぁ、扱いづらい重たい女だ。でも聞きたい。私から積極的にアプローチをかけていたから、「ただなんとなく」でもいい。


 でも彼は、照れた笑みを見せる。


 ショットバーに来ると必ず直ぐに帰ってしまった彼の真意はどこにあるのだろうか。


「女なら誰でもよかった」でもいい。


 じっと彼を見れば見るほどに、悪戯を見つけられてしまった子供のような顔つきになる。


 母親にどこか甘えた言い訳をするような、なんともいえない顔を彼はする。


「ふーん」


 なにも答えない彼に私が頬杖をついて、さらに彼の顔を覗き込むと彼はまた「行こうか」と言う。


「あっそう」


 なるほど。


 この手があったかと私は思う。


 彼の豹変したすべてを言葉で責めるのはどうかと思う。


 もちろん一年前の出来事を私は許す気はない。でも私は彼が好きなんだと思うほどに、彼に思い切って振り回されるのもいいかも知れないと考えだしていた。


 だけど、やられっぱなしでは、どこか悔しい。


 ジャッジの審判はやはり公平でなくてはならない。


「答えなさい」


 私が立ち上がると彼は気を取り直したように私の肩を抱くと有無言わさず外に連れ出そうとする。




 彼が助手席のドアを開けてくれる。


 私が助手席に座ると彼はドアを閉めた。


 運転席に乗り込んだ彼は照れた笑みをどこか浮かべる。
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