狂い咲き

necropsy

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狂い咲き78

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 私はここで彼に甘えるべきか否か悩む。



 片意地を張るなら最後までと言いたいが、ここは素直になったほうがいい。



 意地を張りだすと引っ込みがつかなくなる。



「時間があるとき、ご馳走してね」



 彼はただ頷いたが、彼のことだから毎日になりそう。



 彼に会えるのは嬉しいが、やはり甘えきるのはどこか嫌だ。



「たまーにでいいからね。毎日じゃなくて」



 母を見て思う。



 なにも自分で決められず。言われたことだけに頷く。



 男に頼りきる人生なんて嫌だ。



 私は運ばれてきた品々に目をやった。



 少し頼み過ぎたかなと思いながら焼肉といったら大蒜。



 私が躊躇っていると彼は運ばれた品々を焼き始めた。



 まるですべてがお見通しとばかりに、彼が私の前に差し出してくれたのは無臭大蒜。



 彼がクスクスと笑う。



「俺にも金がない時期があった」



 その言葉に私は手を止めた。



「やれるだけやって駄目なら」



 彼の表情から読み取れるすべて。彼にだってそんな頃があった。







 片意地をどこか張る私に自分を重ねるような彼の眼差しはとても温かい。



 私の学歴が粗末であることを彼は知っていると思う。



 その私が今の不景気に再就職をする。



 それ自体が無謀なことだと彼はわかっている。



 私が自立した立派な一人の女性であること。それが彼を一番恥じさせない言動に思える。



 学生の頃は「で・き・な・い」と甘えたことを言って異性の気を惹いていたが今思えば恥ずかしいかぎりだ。



 自立しようとすれば失敗や挫折はつきものだ。



 その経験を生かし、彼の気持ちをわかってあげられるようになりたい。



 私も愚痴を言いたいときがあった。



 仲のいい同僚達に意見を求めることもあったが、ただ「うんうん」と頷いて欲しいときもあれば「こうして欲しかったね」



 その同調にさらに私は「そうそう」とばかりになる。



 あれこれわかり切ったことを言われるより聞き手にまわって欲しいことが多い。



 最後に私の気持ちが伝わったんだと思う一言があるだけで、納得できてしまう。



 もちろん岐路に迷ったときは心強い意見も欲しいが必ずではない。



 なにかヒントになる一言があればそこから導き出していけばいい。すべてはやる気だ。
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