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狂い咲き114
しおりを挟むバブルの時にしっかり貯めこんだ預貯金がある。ご年配の方は第一次成長期、第二次成長期でさらなる預貯金がある方が多い。
その財産は少なくてもあと一代は持つだろう。
その頃には私は生きていないが一世紀先に衰退したスラム街が日本にできているかも知れない。
専門家がその話しをしても死んだ先の日本がどれだけ衰退しようと関係ない。
すべてが今だ。
私は兄に折り紙の鶴の折り方を教えてもらった。
くちばしや羽が上手くできない。
それ以上になんで私が他人の心配なんてしなければいいのだろう。
親戚ですら葬式は形式。結婚式は痛い出費を強いられる。
そんなものだ。
折り紙に視点を下ろす。あの子の「ありがとう」が今ならわかる。
母親がつねに傍にいてくれても闘病は辛いものだ。
苦しい闘病生活のなかで「元気?」そう訪れてくれる友達が形だけでもいれば嬉しい。
その子は闘病と寂しさの隣り合わせにいた。その子からしたら事務的な千羽鶴でも友達ができない闘病の日々はさぞかし嬉しかっただろう。
思わず私は涙をぬぐう。
もうその子の名前も顔すら私は覚えていない。その寂しさがどこか兄と似ている。
「ごめんね」
本当に私ってバカだなと思う。
思いやりは重い槍でいいはずなのに、本当に私はバカだ。
私は折り紙を手に便箋を選ぶ。
小百合さんはなにも言わず私の想いに寄りそってくれる。
本当に小百合さんは気遣いができる。
けっして、しゃしゃり出てはこない。
折り紙と便箋を買うと私はそのまま小百合さんと本屋に行った。辞書を探す。辞書を一度も開いたことのない私が辞書を探し続ける。
どこか滑稽に私は思えてならない。
意外と辞書によって特徴があるんだな。私は意味を開くと漢字が大きく書かれてある辞書を見つけた。
漢字もまともに書けない私にはありがたい一冊だ。
私は辞書を買うとそのまま自宅に帰る。小百合さんにお礼を言うことも忘れて彼の書斎に篭った。
先ずは折鶴を作る。
折り紙には「覚えてますか?」とゆっくりと私は書いた。
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