伴奏曲

necropsy

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伴奏曲20

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 なにを思ったのか、ジュリアが安藤に抱きついた。
 あまりの驚きに硬直とする安藤に神父が話しかけようとした。
 黙って二人のやり取りを聞いていたジュリアが「シッー」とくちびるに指をあてた。
 あまりの展開についていけない安藤はただただ身体を硬直とさせる。
 トン助。豚男。
 怪獣ごっこをするときは豚男に徹した。
 無意識にいじめられないように安藤は子供心に立ち回っていた。
 色白とまではいかないがあまり日に焼けるタイプではない。
 ここに来てもあまり日に焼けていない。
 思い返せば思い返すほどに無意識に安藤はこころに鍵をしていた。
 できるだけ傷つかないように意中の彼女がいても「どうせ自分なんかが――」相手にされるわけはない。
 両親は細身で恰幅がいい安藤とは裏腹であった。
 思春期に入るとさらにクラスメイトに上手く立ち回ろうとピエロに徹していた。
「どうしましたか?」
 思わず俯いた安藤はそっと涙を拭った。
 気疲れする毎日。
 反抗期も手伝い、安藤は両親にきつく当たった。
 自分を飾っていた鎧がなくなった自分にあるのは詰まらないプライドだけ。
 本当の自分は臆病でしかない。
 安藤は不思議なめぐり合わせに戸惑う。あのまま日本にいたら父親の本意に気づくこともなく荒くれていたままだったかも知れない。
 家を飛び出し、不祥事を起こせば母親が必死に相手に頭を下げる。
 それすら、いつしか申し訳ないと思う気持ちすらなくなった。
「懺悔しますか?」
 安藤は項垂れ続ける。
 父親の葬儀に呼ばれなかったことが、どれほど親不孝であったか。
「神はあなたを許します」


     *



 紛争ダイヤ。
 血塗られたダイヤモンド。
 富を得ても、その者のこころが必ずしも潤うとはかぎらない。
 愛すれば愛するほどにこころが壊れていった。

 根負けしたジョンが、あずさとはじめて向かい合う。
 畑を作ろうにも、この島にルールがない。運よく実ったとしてもこころないものが盗んでしまうことだって考えられた。
 あずさはしばらく考え込むと長老に警察の必要性を訴えかける。
 豊かな生活は贅沢品に囲まれることではない。
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